『鍼治療を受けています、アドバイスをお願いします』

海外在住の方から、不妊治療に関して、鍼灸治療に関してご質問を受けました。
ご本人の了解をいただいて、ブログにてのお返事とさせていただきました。

皆さんへご参考になればと思います。

TMさんからのご質問

はじめまして、TMと申します。
年齢は、38歳。4歳の息子が一人います。
158㎝、46㎏です。
昔から体力がなく普通にはたらくのがとても困難でした。
10ヶ月ほど前に化学流産しました。

半年前より、とあるアジアの国に住んでいます。
妊娠希望で、初めての排卵誘発とタイミング法で不妊治療中です。
現地に赴任して間もなく、重度肩凝りと全身の倦怠感から、鍼灸にも通い始めました。

海外生活&不妊治療で不安に押しつぶされそうな時、先生のHPを拝見しました。
日々のウォーキングの仕方や、忘れかけていた体の奥に封じ込めでしまっている母性や、優しさを少し思い出せたような気がします。
とても感謝しております。ありがとうございます。

普段は、毎日足首の隠れる靴下着用、毎朝の1時間弱のウォーキング、日本から持ってきたせんねんきゅう、棒灸をしています。食生活は、野菜が大好きなのですが、こちらに来てからは肉も少し食べるようにしています。

海外に居るため、少しアドバイスを頂けたらと思いお手紙書きました。

鍼の先生は現地の方です。排卵前、排卵後、どちらも同じ所に鍼を打ってるのですが、これは大丈夫なのでしょうか?排卵後に足のツボは辞めた方が良いときいたことがあり不安です。それから、背中と腰に打っているとき、低周波を流します。肩凝りには凄く良いのですが、子宮に対してはどうなのでしょうか?お灸はしないです。

そのほか、生活に関するアドバイスを頂けますと幸いです。何から書いて良いかわからず、まとまりのない文書で申し訳ございません。
宜しくお願いいたします

本日、いつもの鍼に行って来ました。
気海・関元・足三里・三陰交のツボを教えて 頂き、自宅でお灸することにしました
こちらの先生は妊娠するまでは、足のツボも低周波も大丈夫とおっしゃいます。
今のところ、週一回鍼に通っていますが、1カ月をワンサイクルとして、 排卵 前後
何日目など、鍼に通うタイミングも教えて頂けますと幸いです。

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私からのお返事
『TMさん こんにちは。
慣れない海外での毎日、大変ですね。そしてお子さんもいらっしゃると言うことですので、
何かと気を使うことも多いでしょう。早く暮らしになれるとよいですね。

お身体を直接拝見していないこと、また情報がTMさんからいただいたお話しの中からだけというかなり限定的な状況です。お身体作りや不妊治療に対するアドバイスというのは基本的に個別具体的なものになりますので、あくまでも、こういった状況の中でお答えできる範囲であるということを前提とさせてください。

さて、不妊治療についてですが、基本的にお一人お子さんがいらっしゃるわけですから、一人目を妊娠した時と同じような体力の状況や生理の状態になることが大切です。出産や日々の生活であまりにも疲れてしまっているとそのことが、妊娠し辛いことにつながっているかもいれません。少し振り返ってみてはいかがでしょうか? また、体重などをチェックして、その増減もポイントです。特に減ってしまっている場合は、第一子妊娠時お体重を目標に増やすようにすると良いケースを多く経験しています。

鍼灸治療についてですが、まず一番大切なポイントは『目の前の治療家を信頼すること』です。あなたを実際に見て下さって、治療をしてくれているのは、目の前の先生です。赤ちゃんを授かりたいというご希望に添うよう一生懸命努力をなさって下さっていると思います。

赤ちゃんを授かりたいから、生理が、排卵日がと気になることが多いかと思います。しかし、一番大切なのは、『体調がよいこと』です。それは細かい症状が取れるということではなく、『全体の体調がよくなった』『気分良く過ごせることが増えてきた』という感じがとても大事だと私は思っています。

鍼灸治療を受けるときに、『肩こりが・・』とか『排卵が・・』などと細かい症状や状況を指定せずに、丸ごと一つの身体の状況をみていただき、現時点で出来る最良の調整を受けることが大切だと思います。その積み重ねが、体調をよくしていき、『生命力の余力でおこってくる妊娠』に結果的に近道になるだろうと私は感じています。急がば廻れです。

『排卵後に足のツボは辞めた方が良いときいたことがあり不安です。それから、背中と腰に打っているとき、低周波を流します。肩凝りには凄く良いのですが、子宮に対してはどうなのでしょうか?お灸はしないです。』

これらも、あまり細かく気になさらなくてよいかと思います。
東洋医学の一番のポイントは、『丸ごと一つの身体として考える』ことです。自分自身では一番気がつきにくい観点だから、他の人に診立てていただく必要があるのですよね。
排卵後の足のつぼも、必要な方もいれば、そうでないかたもいらっしゃります。
これは身体を見ずにはいえないことですし、また鍼灸そのもののやり方などによっても大きく変化します。

ご自身としてチェックするのは、細かいやり方そのものよりも、『全体として体調がどう変化しているのか』という事だと思います。初めに訴えられた重度の肩こりや全身の倦怠感が好転しているのならば、よい状況だと思います。続けてみるのがよいかと思います。

また、私は低周波などを用いませんが、実践されている先生はそれなりのご経験を積み重ねて、TMさんの治療にあたっているのだと思います。先生がよいと判断されているのならば、お任せして良いと思いますし、ご自身が不安に思ってしまうのならばそのことについて、先生とお話しして治療の選択を決めてみてはいかがでしょうか?代替の方法を提案して下さるかもしれませんね。

鍼灸治療の頻度やタイミングですが、これもどこがよいと狙うよりも、ある程度の間隔で全体の体調upを考えていく方がよいかと思います。体調が良い状況ですと、低温期の卵の成長もよくなると思いますし、身体が伸びやかな状況にあれば、排卵や高温期の着床などもスムーズでしょう。週に1度以上の頻度にしておくと、どのタイミングにもそれなりによい影響が出てくると思います。女性の身体は、1ヶ月のリズムだけではなく、もう少し大きなリズムもあります。今の高温期の状況が今周期の妊娠にも大切ですが、次の卵を養って卵巣の調整にも大切な時期でもあります。そして生理が来て低温期の状況がよければ、しっかりと主席卵胞が育ち、力強い排卵、高温期がのぞめます。1ヶ月の中でのホルモンの状況、そしてリレーとなっていく大きな流れでのホルモンの変化も大事ですね。

そして、体力がアップしていくということは、妊娠して、しっかりと継続し、胎を養う身体ができていくということです。妊娠がゴールではありません、妊娠して胎をはぐくみ、力強く出産し、子供が母乳を飲んで育ち子宮は戻っていく。そんなリズムが大切なのかなと思います。

よい流れにのれますように。』