カテゴリー : 不妊・婦人科の症例集 30代後半 不妊

つらいホルモン剤、アトピーの悪化を押さえて体外受精で妊娠(39歳出産)

治療経過

初診から週に2回のペースで鍼灸治療。アトピーは不安定ながらも少し落ち着く。2ヶ月後の体外受精にて妊娠。

妊娠判定から12週まで週に二回のペースで来院。下腹が硬く冷えた感じ。全体に皮膚が枯れていて、背部輸穴も生命力の希薄さを感じる。ただし、本人は頑張って肝気を張っていて聡明な印象。
1)下腹棒灸 (後谿ー左申脈)ミニ灸2回 足三里(灸頭鍼ーミニ灸)
2)肺兪棒灸
3)身柱温石 腎兪、脾兪、胃兪、次髎(鍼、温石、ミニ灸)

12週から歩くとひどくお腹がはるので、無理して歩かないように指導。結代脉がひどく、脾兪の落っこち陥凹がきつい。

20週過ぎから調子がよくなってきた。

30週からおなかがよく動く。胃の調子が悪い感じがする。アトピーはいつもの悪化の時期だが、さほどきつくなく例年同理。妊娠するとアトピーはひどくなるといわれていたのに、経過がよくてうれしい。
1)下腹棒灸、足三里灸頭鍼 ミニ灸三陰交 右内関プラスミニ灸
2)腰温石マッサージ、ヒアルロンサンローション、
3)胃兪、三焦兪、脾兪、腎兪 中膂兪(温石、ミニ灸)ホホバ塗り 

予定日まであと11日、出産を促すための鍼灸。アトピー悪化、おかながかゆい。むくみがでていて、とくに右下肢が辛い。
1)右後谿+ミニ灸、下腹棒灸、足三里灸頭鍼、三陰交灸頭鍼2回、左湧泉ミニ灸
2)肺兪(7)
3)腰温石マッサージ、下肢マッサージ
4)胃兪、三焦兪、左胆兪、次髎 (鍼、温石、ミニ灸)

無事に3000gオーバーの女児を39歳にて出産。

あとがき

アトピーとの長い治療歴があり、妊娠に関しても、妊娠そのものそして妊娠期間中の体調管理が非常に大切となる症例でした。不妊治療では、『不妊』に注目しがちですが、『妊娠できるからだ』をつくることが妊娠の近道であり、しっかりとした母体側の身体作りが出産やその後の子育てに大事だとつくづく思います。

出産後にご本人からいただいたメールです。しみじみと胸が熱くなりました。

『・・・・退院後初めて深夜にヒロシと二人きりで過ごして、なかなか寝付かないヒロシを抱っこして体温と体重を手に感じた時に、なんとも言えない温かい感情があふれてきて思わず涙してしまいました。新宿の加藤クリニックに不安な気持ちで通っていた時のことを思い出し、本当に無事産まれてきてくれて良かった、とありがたい気持ちでいっぱいになりました。・・・・・』

おめでとうございます、幸せな気持ちのシェア、ありがとうございます。