カテゴリー : 不妊・婦人科の症例集 30代前半 30代後半 不妊

子宮内膜症4期、黄体機能不全、排卵障害を越えて(36歳出産)

概要

排卵障害、黄体機能不全、子宮内膜症と妊娠しづらい状況が重なる中、体外受精にて無事に妊娠。前置胎盤となり帝王切開となりましたが、無事に2800グラムを越える元気な赤ちゃんを出産なさいました。

(この症例の弁証論治→不妊 肩こり 子宮内膜症 オケツ
(この症例の患者さまの声はこちら→「妊娠中の鍼灸治療の満足度に関するアンケート」1-3
【case:0020】

ご相談内容

28歳で結婚してから自分たちでタイミングをとったり病院でもみてもらったりしていますが、なかなか妊娠できません。転院した病院で子宮内膜症の4期であるので、人工授精よりも、体外受精か腹腔鏡をしたほうがよいと勧められています。

年齢が32歳ですので、腹腔鏡でもいいのではないかとドクターがおっしゃるので、自分としても自然妊娠が期待できるという腹腔鏡に挑戦しようと思っています。ただ、肩こりがいつもつらくて身体全体が重い感じです。運動不足で血の巡りが悪いのかなあと思うのですが、どうしたらいいのかわかりません。生理も高プロラクチン血症があり、薬を飲まないと自力で排卵はおきません。どうしたらいいのでしょうか?

東洋医学的診立て

基礎体温表を拝見すると、薬を使わないと排卵がない月経周期になってしまったり、高温期になっても短めであったり、高温期の途中でがくっと下がったりと安定感がありませんね。東洋医学的な診立てを、腎気を中心とする気虚瘀血とさせていただきました。これは腎気という生命の土台の力が不足し全身のパワー不足をおこしていること。そしてその上に、瘀血(おけつ)という血の巡りの悪さがあるということです。どちらも妊娠を希望する方にとっては解決を急ぎたい課題です。

婦人科的な力の元をである腎気が足りないと、排卵をしっかりおこす力や、高温期をしっかり持続させ赤ちゃんの卵をふんわりと受け止める力などが不足しがちです。身体の力そのものがないと妊娠する力、妊娠を継続させる力も不足してきます。

また、sさんの瘀血という状態は、身体の力がないことと、冷えの入り込みにより全身に不要なモノがたまってしまい起こったいわゆる血の道の滞りです。身体の力をつけ、いらないものをすっきり排泄していきましょうね。婦人科的な状況が少し厳しいですから、西洋医学的な手当と併行しながら、妊娠に向けて一緒にがんばっていきましょう。

東洋医学的弁証論治
弁証:腎虚を中心とした気虚オケツ 風邪の内陥
論治:補気補腎 疎風散寒 活血化瘀
治療方針:まず第一に内陥している風邪を取り去り気血のめぐりを阻害させる要因を取り除く。腎気をたて瘀血を取り去る。