カテゴリー : 不妊・婦人科の症例集 20代 不妊

冷え性で自力で生理がこない、体調を整えて自然妊娠(28歳出産)


[2023/05/09:更新]

概要

婦人科で高プロラクチン血症、自力で生理がこないなどの治療をしていましたが、体調そのものが悪い状態でした。通院をやめ体調を整えることに専念したところ1年ほどで自然妊娠、出産となりました。

(この症例の弁証論治→赤ちゃんが欲しい弁証論治—自力で生理がこない、不妊、体調を整え自然妊娠
【case:0057】

ご相談内容

『2年ほど前から冷え性がとても強くなりました。手足がひどく冷たく、感覚がない感じがします。生理も自力ではこないため、婦人科に通院中です。高プロラクチン血症やホルモンの状態が悪いと言うことで薬を飲んでいますが、体調そのものが悪く、辛いです。

早く妊娠したいと思っています、どうしたらいいでしょうか?』

東洋医学的診立て

妊娠したいというご希望と、体調そのものが悪くて日々が辛いということですね。とてもよくわかります。

お話しを伺い、お身体を拝見しますと、全身のパワー不足(気虚)の状態が根深いように思えます。生理が来ると言うことは全身の余力です。余力がないために、生殖機能までを充分に整えることができないのでしょう。

胃腸の力不足、土台の力(腎気)の不足によって、全身の気虚が引き起こされ生理の不順、女子胞力(子宮の生命力)の不足を引き起こしていますから、急がば回れで、まず体調を整えていくことにしましょう。お若いのですからあせらず、少しずつ体力を回復させ、生理の問題も解決していくようにしていきましょうね。

東洋医学的診立て
弁証:気虚 腎陽虚
論治:健脾温腎
治療方針:脾気をたて、腎気を温陽し身体を温める力をつけていくこと、 そして、気虚を解決し、衝任脉を健やかにしていくことを目標とする。

治療経過

治療開始半年後ごろ
 全体に身体の調子がいいとおっしゃるときが増えてきました。いままでの疲 れやすさがだんだん解消しているようです。

治療開始後10ヶ月目ごろ
 真夏には、生理が遅れ気味になりましたが、全体として生理が整ってきまし た。高温期が14—15日程度続くようになり、しっかりとした二層性のグラフを書くようになってきました。

治療開始1年目
 ほぼ生理の問題が解決し、体調も非常に良好になってきました。「いつ妊娠してもおかしくないねえ。これでもう、半年ぐらい経過をみても妊娠しなかったら産婦人科での不妊治療を再開してもいいかもね」 などというお話を患者さんとしました。

治療開始1年2ヶ月目
 妊娠、無事の出産となりました。

出産から2年
 産後は生理が非常に整い、ほぼ狂うこともなく順調とのこと。 また、以前は、疲れやすくて、疲れるとすぐに生理がこなくなったり、ばてたりと言う感じだったのが、すっかり元気になって、身体が丈夫になったとのこと。 その後、順調に二人目の妊娠、出産となりました。よかったですね。

あとがき

出産は、女性にとって、身体が大きく変化するときです。出産をきっかけに、リウマチや喘息などの虚損病を引き起こすことがありますし、また逆に、この方のように、身体が整い、丈夫な身体に生まれ変わることもできます。

本症例の方の場合、目先の症状の変化にとらわれず、しっかりとした身体作りをすることを、ご本人と治療者が一緒になって頑張ってこれたお陰で、このよう な良好な経過を取ることができたのだと思います。