カテゴリー : 不妊・婦人科の症例集 40代 不妊

40代からの不妊治療。年齢要因と負担の大きな治療(45歳出産)

概要

不妊治療で具合が悪くなってしまったという方は多くいらっしゃいます。そして『負担の大きな治療』そのものが、『不妊状態を作っている』と考えられるケースもよく拝見します。この症例は上手に病院を変え、しっかりと身体作りをし、45歳で出産に至った症例です。

(この症例の弁証論治→年齢要因で妊娠出来ない弁証論治(45才出産)
【case:0138】

ご相談内容

40歳で結婚しました。今43歳です。1年ほどタイミング療法を受け、その後42歳から体外受精をしていますが、まだ妊娠できていません。体外受精での治療は、

1回目卵が発育せず採卵できず
2回目採卵、受精、胚移植し着床反応は出るも卵が育たず
3回目採卵するも移植した卵は着床せず、培養した卵は桑実胚でストップ
4回目採卵するも受精後分割せず
5回目採卵するも受精せず

と、だんだん体外受精の治療経過そのものも移植出来る卵が育たない状況になってしまい、不妊治療のクリニックからは、年齢要因から不妊治療が難しくなっていると言われてしまいました。もう少しがんばってぜひ赤ちゃんを産みたいと思っています。どうしたらいいでしょうか?

東洋医学的診立て

5回にわたる体外受精で結果が出ず、不妊治療のクリニックから『年齢要因のために治療が続かない』と言われてしまったのですね。それは辛かったでしょう。

確かに不妊治療では年齢要因はとても大きいです。しかしながら経過をうかがうとちゃんと採卵が出来ていますから、なんとか体調を良くして卵の質をあげたいですね。そしてもう一点、ご自身に負担が少なく、治療がスムーズに展開される病院に変更してみたらいかがでしょうか。

お身体についてですが、20代半ばから高音の耳鳴りがあり、肩こりも強く、ストレス状態が強いタイプの方ですね。30代より仕事が忙しくなり責任も増し、強くストレスを感じ始めた頃より体調が悪化。もともとの耳鳴り肩こりに加え、足の冷えも自覚し始めています。この時点でぐっとストレスが身体に負担となり始めています。

この状態によって、生命力には一段と負担がかかり、こむら返りや入眠困難なども出現し、生命の土台の力である腎気の弱り、ストレス状態の悪化という悪循環により妊娠に大切な肝血の不足までも明瞭になってきたのではないかと思われます。

不妊、肩こり、足の冷えに加え、なにかするとすぐに疲れてしまうという訴えから、生命の土台の力(腎気)の弱りが明瞭であり、首の後ろの大椎(だいつい)のふくれている感じ、太淵、合谷の発汗などから風邪の内陥も疑われます。

また毎日の間食や季節の変わり目の体調の悪さや薄くある脾募などから内湿(身体の内側の湿気)の存在も疑われます。

東洋医学的弁証論治
弁証:腎虚肝鬱 風邪の内陥
論治:疎風散寒 益気補腎 疏肝理気
治療方針:
・風邪の内陥を取り去り、生命全体への負担をとる
・腎気をあげることを中心とし、肝鬱そのものは治療目標としないが、場合によっては疏肝理気し調整する。

生命の土台の力(腎気)をあげることを中心としながら、身体に負担になっている風邪の内陥をとりさります。ストレス状態が強いのですけど、出来ればそれには手をつけず、場合によっては疏肝理気して調整しましょう。

不妊治療について
上記の方針が一番妊娠を意識したときにスピーディーな身体作りとなります。またの不妊治療のクリニックのやり方はお身体に合っていないようですね。どうしても体調が悪化し、妊娠出来ないという悪循環に陥っています。クリニックの転院を考えましょう。どちらにせよ、治療を急ぎましょう。しっかりと一緒に頑張りましょうね。