カテゴリー : 不妊・婦人科 コラム

排卵から着床、妊娠初期を乗り切るために(着床障害、血液凝固系、不育症)

妊娠12週を越えよう!

3000グラム50センチの出生を目指してのビッグママ治療室での取り組みについてご紹介します。

着床の時期から、妊娠初期の12週までを特に『血流活性化の必須ゾーン』と当院では名付けています。この時期にしっかりと治療の手を入れることの目標は
・着床を助ける。
・妊娠判定から胎嚢確認までにこぎつける。
・9週の壁を乗り越える。
以上の3点です。そしてこのポイントを、血流をしっかりとつけることで乗り切きることが、充分な大きさの胎盤を作るコツでもあります。胎盤が小さいと、赤ちゃんに充分な血流が届かないばかりか、流産をしやすい可能性もあります。

充分な大きさの胎盤を作り、赤ちゃんがしっかり大きくなるようにと願っています。3000グラム50センチは赤ちゃんへの宝物となります。そして、しっかりとした大きさの赤ちゃんが力強くおっぱいを吸ってくれることで母乳も出やすくなり、子宮の戻りもよくなります。よい循環が生まれるわけです。

少し東洋医学的な解説をしますね。

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子宮や卵巣のことを東洋医学では女子胞といいます。この女子胞は、東洋医学で考えるところの五臓(肝心脾肺腎)と深く関係をもっています。女子胞は、生命の土台の力である腎気に強く支えられ、気血をめぐらせコントロールをする肝によって周期性を持ちます。まず肝と腎との関係が一番大切なのです。

肝ーのびやかな心身をつくります。人間がストレスや気の鬱滞によって非常に大きく左右されやすいと言うことがよくわかりますね。鍼灸が得意とするところです。

腎ー生命の土台です。生命を支える土台としての腎は、卵子をはぐくみ、受精卵を受け止め成長を促し、出産までしっかりと胎児を滋養していきます。鍼灸、ご自宅でのお灸、温灸などが特に力を発揮します。生命の土台の力ですから、簡単には充実させることができませんが、この充実こそが、血流活性化が必要な妊娠初期から12週までの時期を支えます。

12週の時期を超え、女子胞が胎とお母さんの身体をしっかりと結びつけてくれてからは脾胃(胃腸の力)に問題がシフトしていきます。お身体を拝見していますと、背部兪穴(背中の経穴)の変化がこの通りです。脾胃の負担がきつくなり、脾胃のツボが大きく陥凹して手入れの必要を感じさせる場合が多いです。

しっかりと充実した赤ちゃんのために(3000グラム50センチを目指して)

妊娠の初期(~12週まで)は腎気の充実、下焦の血流確保が一番大切なポイントです。

子宮の中に沢山の存在するというキニノーゲンという物質は、血管新生作用があるとされています。不育症の理由に血液凝固系の活性化により血栓ができやすいことがあげられていますが、他にこの初期の段階でのキニノーゲンが胎盤形成に重要な役割を果たし、このキニノーゲンに対する抗体が不育症で初期流産を繰り返す方に高頻度に見られるとされています。初期の子宮の血流確保のためにこのようなシステムが人間にあることはまことに不思議。

このキニノーゲンに対する抗体を持つ方は、子宮内の血流が悪く流産につながりやすい。治療法としてヘパリンがあげられています。また、不育症の問題は、リスク要因であって決定要因ではありません。こういった要素があっても、何らかの理由でこの時期をすり抜け挙児に至っている方も多いでしょう。

妊娠初期の血流をしっかりと確保し胎盤が形成されていく時期を助けることで、血流がよくなること、大きな胎盤が作られることが期待されます。大きな胎盤はしっかりとした赤ちゃんを育んでくれます。当院で治療なさった方から3000グラムを充たしてのご出産報告をよくいただきます。そして『胎盤が大きいわねえ~』と助産師さんに言われたという、私にとって密かに嬉しい報告も多いです。3000グラム50センチを目指して頑張りましょう。