カテゴリー : 講演記録

2015年 山下湘南夢クリニック講演『女子胞力を磨く、東洋医学鍼灸で出来ること。』

4 症例から「もう不妊治療そのものがむりなのでしょうか?」

さて、具体的な症例からお話しさせていただきます。 Aさんは、43才。 「40才から妊娠希望です。42才から体外受精をはじめました。沢山の薬を使い、誘発し、頑張って胚移植などをおこなってきましたが、妊娠にいたっていません。すでに5回の体外受精をおこない、そのクリニックからは、年齢要因で、もうこれ以上の不妊治療は難しいでしょうと言われてしまいました。」 とのお話しでした。

ずっと、がんばってお仕事をなさってきていらっしゃり、肩こり、足の冷え、耳鳴り、こむら返りなど、様々な体調不良に重ねて、目の疲れや不眠まで出現。尻すぼみとなっている不妊治療の状況に 「もう、不妊治療そのものが無理なのでしょうか?」というお悩みでした。 43才、体外受精5回、だんだん卵そのものがとれなくなっている。 確かに厳しい状況ではあります。 まず、この方の今の状況を考えましょう。

5 具体的な症例から Aさん続き

Aさんの状況は、脾腎の大地の状態が加齢やお仕事の疲労でだいぶ弱くなっていることと、ストレス状態で全体の気血の巡りがわるくなっており、腎虚肝鬱の状態であると判断しました。

肝鬱に対しては、ご本人に肝をすえて治療を中心にするという決心をしていただくことをお話しし、治療の中心を補腎、つまり大地を養うことに絞りました。治療は焦点が明瞭であればあるほどよく効きます。しっかりと大地を養うことで、少し時計を巻き戻してアンチエイジングし女子胞力をアップさせワンチャンス掴もう!!という作戦です。

具体的に、治療院では、様々な経穴を使い週に1-2度の鍼灸治療を定期的におこない、治療を通じてその中心となるところを指示させていただきご自宅でのお灸治療を毎日していきました。また、睡眠、生活リズムも合わせて改善していただきました。そして、高度生殖医療についても、大地に負担とならない、スマートで切れ味のよい治療と言うことで、山下湘南夢クリニックへの転院もお勧めしました。

その結果、鍼灸治療開始後3ヶ月、7度目の体外受精にて妊娠、妊娠中も鍼灸治療や自宅でのお灸をしていただき、45才で充分な大きさのべびちゃんを自然分娩なさいました。サロペットをはいて、「若いママが周りには多いけど、私も頑張ります」とにこやかに赤ちゃんを連れて挨拶にお見えになってくれました。本当に私も嬉しかったです。

難しい状況ではありますが、ワンチャンスを掴むことが出来たのは、本当によかったですね。