カテゴリー : 講演記録

2015年 山下湘南夢クリニック講演『女子胞力を磨く、東洋医学鍼灸で出来ること。』

10 女子胞力の図

東洋医学では、丸ごと一つ人間をみていきます。また、ホログラムの考えをもちいて、全身がそのばに投影されているとみることもあります。たとえば手のひらに全身が投影されていると考えるので手相を考えることができるのですよね。手のひらに全身が、そして運命までも描かれていると考えるわけです。これは顔でも、足でも同じです。いろいろな場処をひとくくりの場として考えるわけです。このときに忘れてはいけないのは、あくまでもそれはホログラムであり、全身そのものをみるよりはちょっとピンぼけになる可能性が高いということです。それでも、小さな場を設定した方が見渡しやすいので使うわけです。

ここでは、妊娠を女性の生殖器中心に考えていきます。

この場合は、肝(伸びやかな心身)と腎(土台の力)との関係が一番大切です。

肝ーのびやかな心身をつくります。

この部分は、一番鍼灸が得意とする部分です。数回の鍼灸治療で妊娠した!などという話や、あきらめたとたんに妊娠したなどという話はこの肝の部分の調整だけで妊娠が成立したということです。人間がストレスや気の鬱滞によって非常に大きく 左右されやすいと言うことがよくわかりますね。

腎ー生命の土台

生命を支える土台としての腎は、卵子をはぐくみ、受精卵を受け止め成長を促し出産までしっかりと胎児を滋養していきます。鍼灸、ご自宅でのお灸、漢方薬がとくに力を発揮するところです。生命の土台の力ですから、簡単には充実させることができませんが、この充実こそが、現代の難治性不妊に対応出来る力強い応援となります。

充分な血流、そして受精卵をしっかりと受け止める力の充実が臨まれます。

卵管ー精子の旅、受精卵の旅

この部分は、生殖の特殊性が一番強く出る部分です。卵管の機能が失われると、肝気、腎気ともに健やかであっても妊娠が成立しません。西洋医学、体外受精などが力強くサポートしてくれる部分です。

妊娠をみていくと、このように、鍼灸が得意なところ、漢方が役立つところ、自宅でのお灸手入れが役立つところが明確になっていきます。そして、西洋医学が必要な部分もはっきりします。

患者さんにとって『妊娠』という目標に一番近い道はどのような道なのか、しっかりと不妊カウンセリングをおこない、一緒に目標を探すことが大切ですね。