カテゴリー : 講演記録

2007年 山下湘南夢クリニック講演「不妊と鍼灸治療」

ご自身で出来るからだ作り

不妊対策の身体作りには、身体の土台の力をつけることを目標にしていきます。

身体の土台の力が充実することで、暢びやかな心身がはぐくまれます。この健やかな心身ではぐくまれた精子と卵子があわさることでひとつの新しい生命ができます。

そして、土台がしっかりとした母体は、新しい卵を自らを開き、優しく受け入れることで一体となるわけです。土台の力である腎気が充実した母体にはぐくまれ十月十日の年月をすごし、実った果実が蒂から落ちるように出産の日を迎えます。

妊娠だけがゴールじゃないんですよね。受け止めた新しい命を誕生まで自分のお腹で育てるのが妊娠です。しっかりと身体作りをしてくださいね。

妊娠、出産にむけてご自身で出来る身体作りをご紹介しましょう。

身体作りの中心課題は、『生命力を養う』ことです。
からだの『生命力を養う』には、ふたつのポイントがあります。

それは東洋医学的に説明しますと、

腎気という土台の力を養うこと
脾気という胃腸の力を養うこと

この二つになります。この二つを養うための方法を考えていきましょう。

大切なのは、よく眠ること、充分歩くことなどです。

また、間食をやめ、発散(ストレス解消)などは自分の土台の力とよく相談して行うことも大事です。.

お灸をしましょう

お灸は手軽な健康法です。先ほど申し上げた身体の土台の力をつけたり、胃腸の力をつけたりするには最適です。是非習慣にしてください。

お灸は、出来れば鍼灸院で、あなたにあったお灸のポイントを発見してもらいましょう。ここでは、どなたでも使って頂ける基本的な身体を養うツボをご紹介しておきますね。

とくに、体外受精の周期に入った方はこれらのツボはお勧めです。また、卵を戻した後は、手足など末端の経穴はお休みにして骨盤の次髎などの経穴にお灸をしてください。

(経穴図プリント参照)

身体作りには、東洋医学的診立てが必要です

情報を整理しましょう

不妊でお悩みの方の御相談に乗ると、

『なにがなんだかわからない』
『優先順位をどう考えればいいのか迷う』
『なにをすればいいのかわからない』
『精神的な不安感で辛い』
『治療が進むほど、結果が出ないのに、体調だけが悪化する』
『年齢がどんどんすすむのが恐い』
『妊娠できないかもと思うと、次の治療が恐くて受けられない』

などといった、悩みが噴出してきます。

一番大事なのは、今のあなた自身の情報を整理することです。情報には、ご夫婦のお身体の問題について、西洋医学的な側面と、東洋医学的な側面の情報があります。

身体作りで大切なのは、東洋医学的な情報です。それは、目先の症状について考えるのではなく、あなたの人生を応援するのどのような方向性の身体作りなのか?といった観点で考えていくことが重要だと思います。

時間を大切にして、しっかりと「不妊!大作戦」をたててください。

そしてあなたの人生を応援できるような方針でお身体作りをしていってください。それは決して、不妊に効くといわれるツボにお灸をしたり鍼をしたりすることをさしているのではないのです。東洋医学で命をみるということは、流れの中の生命を応援していくことだと私は思っています。