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『体外受精を決断できません』どのように考えたらいいでしょうか?

2)IVF-ET(体外受精ー胚移植)へステップアップするとき

IVF-ET(体外受精ー胚移植)にしようか、どうしようかと迷っている方のポイントとなるのは、

Ⅰ)年齢
Ⅱ)不妊治療歴、その長さ
Ⅲ)ご自身の生命力

この三つです。

ケース1)年齢は高いが、不妊治療歴は短い場合。

この場合は、年齢要因でIVF-ET(体外受精ー胚移植)、ICSI(顕微授精)に直行してもいいのですが、 案外、タイミングや人工授精などで上手くいく場合があります。具体的な例でお話しをしましょう。

問い:年齢40歳。結婚して半年たつが妊娠しない。一般不妊検査では大きな問題はなく、年齢のためだろうと言われている。

アドバイス:基礎体温も二相性で綺麗であり、ご夫婦とも大きな問題がないようですね。年齢が40歳ですので、いますぐIVF-ET(体外受精ー胚移植)などへのステップアップをするのも間違った選択ではないと思います。

ただ妊娠への挑戦期間が半年ですので、ステップアップのご決断がつかないようであれば、鍼灸治療で妊娠への身体作りをしながら、排卵検査薬などを使い、しっかりとタイミングをとっていただき、半年程度を目安に自然妊娠への挑戦期間としましょう。そののちは年齢要因のことを考え、早めに体外受精の選択へとステップアップしましょう。

結果:鍼灸治療を開始後4ヶ月、生理が4回来たところで妊娠。妊娠中も4ヶ月までは週に2回、その後は週に1回の鍼灸治療を行い、無事に出産。

ケース2)年齢が高く、不妊治療歴も長く、年齢が40歳を越えている、あるいはFSHが常に10以上の場合。

この場合は、まず1度IVF-ET(体外受精ー胚移植)をやってみることをお勧めします。IVF-ET(体外受精ー胚移植)をしてみてはじめてわかる不妊原因もありますので、挑戦してみるのはよいことだと思います。そして同時にご自身の生命力を底上げするように鍼灸治療もスタートします。

FSHが常に10を越えていれば、排卵誘発も上手くいかないケースが多く見受けられます。病院選びも慎重にし、やらなければいけないことの優先順位をしっかりと押さえましょう。【病院選びがポイント!!】

ケース3)年齢が高く、不妊治療歴も長いが、年齢が35歳以上、あるいは37歳から39歳まででFSHが一桁の場合。

37歳を越えてくるとFSHが一桁であっても、3ヶ月先、半年先には数値があがってしまう可能性があるということを頭の中に入れておきましょう。

しかしながら、妊娠には案外、ご自身の生命力がポイントになっている場合が多いのです。しっかりと期間を区切り、結果が出なければ速やかなステップアップということを意識して、生理が6回分(半年弱程度)、自然妊娠に挑戦してみるのもいいのかと思います。

ケース4)年齢が若く、不妊治療歴が長い場合。

年齢が若くても不妊治療歴が長い場合は、同じことを繰り返しても結果に結びつかないことが多くあります。まずは半年ほど鍼灸治療を中心に妊娠を目指した身体作りをしましょう。

妊娠には、排卵誘発を多くかけることが答えではない場合がたくさんあります。お身体を整えることで、意外なほど多くの方が、それまで何度も人工授精を繰り返しても妊娠しなかったのに、自然な流れの中で妊娠されています。試してみてください。

そしてこの半年は今までの薬を抜く期間だと考え、病院は全てお休みしてみましょう。ただし腹腔鏡や子宮鏡でポリープを取るなどの治療はちょうどよいチャンスなので挑戦してみるのもよいかと思います。

半年後、妊娠していなかったら、改めて2~3回人工授精を試してみるのもよいですし、IVF-ET(体外受精ー胚移植)へステップアップするのもよいかと思います。同じことを漫然と繰り返しても結果が出ないことが多いです。

何をすべきか、しっかりと見据えましょう。よいご縁がありますように。