カテゴリー : 不妊・婦人科 コラム

不妊治療~具体的な事例を通じてのアドバイス。『闘え奥さん~』から

35才 8年経過の不妊治療開始は遅すぎる!!

ご自身の本の中で、不妊治療を考える方へのアドバイスとして163ページに、30歳以上の人には、「なるたけすぐ!!」病院を受診するように勧めていらっしゃいます。「いずれはIVFにと考えているのならば、一年でも、半年でも、3ヶ月でも早くステップアップするべきだったと今では考えています」と結んでいらっしゃいます。たぶん43歳の本の後書きを書かれた頃にご自身が実感なさったことから書いていらっしゃるのだと思いますが、私も大いに賛成です。

>27歳結婚 避妊をせずに8年妊娠せず(本にて)

これはもったいないです。避妊をせずに夫婦生活をもって、2年過ぎていれば何才であっても、一度病院にて、基本的な検査をされるのがよいかと思います。

定期的に生理が来ていても、男性不妊要素、卵管要素などがあれば、段階的なステップアップではなく、一気に体外受精など考えるジャンプアップも考慮されます。30歳前に、ご自身の状態を全体的に把握するのはとても大切です。

一本木さんの場合は、子宮内膜症がかなりきつい状態でした。ドクターによっては、一気にジャンプアップが進められてもおかしくはないケースだったのかもしれません。

ここで、タイミングー排卵誘発ー人工授精ー手術ータイミング・・・というかなり時間のかかる治療法を選択なさっています。もしこのように時間のかかる方法の選択をなさるのならば、30才でスタートしておけばよかったのではと思います。卵の質そのものが下がってくる35才スタートでは遅すぎたのかも知れません。

生理の『そのとき、そのとき』で、『妊娠に向けて大いなる期待をこめて』ということは、よくわかります、本当にそうですよね。でも、同じカテゴリーの方法(身体の中での出会いを間接的に応援する)で、何度も30代の後半の時間を使って何度も挑戦してしまうのは、もったいないと思わざるおえません。30才ならばこの時間のかかる方法もOKですが、35才を過ぎて年齢要因がきになる状況になる状況で子宮内膜症がきつければ、手術を選択せずに、「いきなり体外」で一度試すのもアリなのかもしれないなと思いました。

40才 体外受精を考える・・37.5才を区切りに

>35歳 不妊治療開始~40歳
>タイミングー人工授精ー子宮内膜症手術ータイミングー人工授精

ここが時間の流れ的に、もったいなかったかと思われます。

35歳の治療スタートでしたら、せめてガクンと妊娠率が下がる37.5歳までには体外受精に挑戦してみてもよかったのではないかと思います。

体外受精の治療を未経験の方は、

 「体外受精を挑戦すれば妊娠出来る、それが最後の砦だ」

という漠然とした期待感をもっているかと思います。このことは、一本木さんも本で、皆さんへのアドバイスとして書いていらっしゃいます。でも、体外はミラクルなものではなく、ただ、「精子と卵子の出会いを助ける」だけであるわけですから、年齢要因を助けてくれたり、体調を妊娠しやすくさせてくれるわけでもありません。

体外受精を開始して

『こんなに体外受精が、いろいろなトラブルがあって先に進まなかったり、すんなりと妊娠出来ないものだとは思いもしませんでした』

こんな声を私は何度も伺いました。

体外受精ー胚移植という夢の様な治療ですが、挑戦してみると、ただ単に受精卵を作って移植してくれるということがメインで、それ以外を治してくれるわけではないのだということに気がつくことが多いと思います。

ご主人の理解がなかなか得られず、時間がだんだんたってしまうなどということもよくありますね。

言い方はちょっとお金のことなので野暮ですが、「100万円」という不妊治療への予算があったら、

 30歳で使う100万円と、
 35歳で使う100万円と
 40歳で使う100万円は、

 妊娠を考えたときにはかなり使い出が違うと思われます。

ただただ、闇雲に「早く体外へ」とは言いません。体調の問題がきつい方の場合は「急がば回れ」東洋医学などのお手伝いを先行させ、身体を整えてということが必要なケースもあると、実感として感じています。ただ、30代後半の方の場合は、「身体を整える」ことと、「年齢要因」の問題と、同時並行で考える必要が、強く、強くあることを感じます。

 一本木さんの場合は、手術を考えた時点で、手術をせずに体外受精に一度挑戦という選択肢があってもよかったのかもしれないなあと思いました。また、体外が視野に入っていれば、採卵だけでも先にしておくという選択も考えられるのかなあと思いました。