弁証論治:,

0002 不妊 アトピー 花粉症

..治療経過

20XX年12月初診
1)左湧泉ミニ灸 膻中7 気海10 右内関、左公孫 三陰交灸頭鍼
2)左胃兪、右三焦兪 左腎兪 次髎 鍼して温灸
自宅施灸 三陰交 左公孫
20X+1年3月妊娠
20X+1年11月無事に女児を出産 おめでとうございます(^^)
..<問診>

33歳、女性 専業主婦
身長:161cm、体重:50kg、血圧:105/65
家族構成:夫

主訴・・・①不妊、②花粉症、③アトピー

..【主訴について】
①不妊・・・自分たちでのタイミングのち、病院でのタイミング指導を受けたところ。

②花粉症・・・高校生の頃から徐々に起こった。年に5-6回ほど発症するが、1日だけ急に出るときもある。31歳の時に3年ほど小青竜湯を服用したが、効果はなかった。

③アトピー・・・32歳の頃、仕事忙しく、睡眠時間が4時間ほどの日が3ヶ月ほど続き、極度のストレスもあった。その頃、急に発症し、現在まで断続的にアトピーが出る。アトピーは、出るときは数ヶ月が出続けて治まるを繰り返している。体調不良や疲れ、ストレス、睡眠不足で起こっていると思う。
アトピーが出る部位は、首の横と後ろ、手首の内側、手の甲、右目の上、時々すねのところ。
病院にかかったこともあったが、ステロイドが微量に入った薬を飲むことで症状が一時的に治まるが、またぶり返すというのを繰り返すだけなので、服用は止めた。
アトピーは夏の暑さ、ストレスと連動している。
ただ全体的には改善傾向ではある。

..【その他に治したいこと】
足のむくみ・・・高校生の頃からふくらはぎから足先にかけてむくむ。特に夕方にむくむが、朝もむくんでいる時もある。季節的なものは無く、年中むくんでいる。高校生の頃、運動をするとむくみは良くなった。
結婚してから水分を多く取るようになり、むくみがひどくなったが、32歳の頃痩せてから、少しむくみはましになった。
外食や不健康な食事をするとむくみがきつくなる。家でちゃんとした食生活をするとむくみはましになる。

疲れると顔色がくすむ・・・高校生の頃から起こる。

..【ふだんの状態について】
…(体調の悪い変化)
春、クーラー、季節の変わり目、深夜、気を使った後、睡眠不足の時、食後、食べ過ぎ、飲み過ぎ、便秘

…(体調の良い変化)
入浴後

…(風邪)
よく風邪を引く。
風邪を引くと、くしゃみ、鼻水、寒気、喉痛、肩こり

…(食事)
食べる量は、普通。
食事時間は規則的で、30分以上かけて食べる。
食事前の空腹感はよくある。
普通に噛んで食べ、いつもおいしく食べれる。
食後にお腹が張ったり、胸焼けは、無い。
よく食べるのは、玄米、野菜、キノコ類、海草類、パスタ類、インド料理。
好きなもの・・・果物洋菓子、インド料理などの香辛料のもの。
嫌いなもの・・・羊肉、獣臭いもの、鶏肉の脂身、そのままの牛乳。
間食は毎日で、サツマイモ、お菓子、甘栗、ベーグル、洋菓子、アイスなどを食べる。

…(水分)
1日に200ccのコップで10杯以上、計2000cc以上飲む。
ルイボスティー、タンポポ茶、玄米コーヒー、酵素ジュースなどを主に飲む。
時々、豆乳、日本茶、麦茶、ローズヒップ、ショウガ紅茶などを飲む。
喉の渇きはよくある。違和感は無い。
結婚後水分を多く取るようになったら、喉が乾く気がする。

…(飲酒)
ほとんど飲まない。

…(タバコ)
21~25歳まで5年間、1日15本ほど吸っていた。

…(大便)
1日に1回は出る。
便秘でおなかが張ってつらいのは時々あるが、便秘薬は使用しない。
便が出切らない感じは時々。
便はバナナ、量はこぶし大。
便器に付着することは時々。
臭いは時々臭う。

…(小便)
1日の13回。
残尿感は無い。
尿切れが悪いことはめったに無い。
尿の色が黄色いことは時々ある。
夜間排尿は朝6:30頃に1回、時々起きることがある。

…(睡眠)
就寝01:30、起床8:15。
寝付きは普通で、夢を見ず、寝起きは良い。
寝付きが悪い日や何度も目を覚ます日、お酒を多めに飲んだ日などの翌日は疲れが残ることがある。頻度は時々。寝付きが悪い日や何度も目を覚ます日の翌日は肩もこっている。

..【婦人科の状態】
初経11歳。
生理期間は5日間で、周期は28~30日。
生理前に時々いらいら、生理初期に時々、下腹部から太ももにかけての鈍痛。
生理血は濃く、小さい塊や粘った膜が混じる。
量は普通で、生理2~3日目が出血が多い。
..不妊治療の状況
一般不妊検査問題なし、病院で薬を使いながらのタイミングで半年
..<時系列>

11歳・・・初経。

高校生・・・花粉症を発症(現在まで)。
足がむくむようになる(現在まで)。
疲れると顔がくすむ(現在まで)。

30歳・・・結婚。
水分を多く取るようになる(現在まで)。
むくみひどくなる。

31歳頃・・・花粉症のために小青竜湯を3年服用する。

32歳頃・・・多忙、睡眠不足、ストレスでアトピー発症(現在まで)。
体重が2~3kg減る。
痩せて、足のむくみがましになる。
妊娠希望する(現在まで)。

33歳現在・・・花粉症、アトピー。

..<切診情報>

..【脈診】
左尺 輪郭甘い
右尺 細い、やや弦ぽい
右関 やや硬くて、浮位が弦ぽい

..【舌診】
舌尖に紅点あり
歯痕
胖嫩

..【腹診】
脾募うすくあり
右季肋部の肋骨に細絡
中カン~下カン 硬い
神闕から関元に掛けて舟形の抜け
中注 やや突っ張り

..【経穴診】
右太淵 やや腫れ
両列缺 かげり
右神門 硬結
両霊道 こそげ
内関(右>左) 陥凹
右合谷 冷え、やや発汗
右後谿 大きい陥凹
右外関 こそげ、発汗
右陽池 冷え

三陰交(右>左) 弛み
右陰陵泉 冷え、突っ張り、硬い
足三里(右>左) 大きい陥凹
右申脈 動き悪い
左公孫 発汗、陥凹
左大都 ゆるい
左湧泉 冷え
復溜(右>左) 弛み

..【背候診】
大杼 弛み
肺兪(右>左) 大きい陥凹
両心兪 弛み
Th8 陥凹
筋縮 開いてる
左脾兪 陥凹
左胃兪 深い陥凹
右胃兪から下が筋張りで三焦兪が下端
左腎兪 深い陥凹(トップ)
左気海兪 陥凹
大腸兪の高さのラインにやや細絡あり
左次リョウ 下から冷えが上がる

..<五臓の弁別>
..【肝】
32歳頃・・・多忙、ストレスでアトピー発症
アトピーはストレスで起こっている
アトピーはストレスと連動している。
アトピーが出る部位は、首の横と後ろ。
運動をするとむくみは良くなった。
体調の悪い変化・・・春、気を使った後、便秘
体調の良い変化・・・入浴後
寝付きが悪い日や何度も目を覚ます日の翌日は肩もこっている。
生理前に時々いらいら、生理初期に時々、下腹部から太ももにかけての鈍痛。

Th8 陥凹
筋縮 開いてる

..【心】
アトピーは夏の暑さ、ストレスと連動している。
アトピーが出る部位は手首の内側。

舌尖に紅点あり
右神門 硬結
両霊道 こそげ
右後谿 大きい陥凹
両心兪 弛み

..【脾】
花粉症に小青竜湯を服用したが、効果はなかった。
アトピーが出る部位は手首の内側、右目の上、時々すねのところ。
高校生の頃からふくらはぎから足先にかけてむくむ。
特に夕方にむくむが、朝もむくんでいる時もある。
季節的なものは無く、年中むくんでいる。
結婚してから水分を多く取るようになり、むくみがひどくなったが、32歳の頃痩せてから、少しむくみはましになった。
外食や不健康な食事をするとむくみがきつくなる。
家でちゃんとした食生活をするとむくみはましになる。
体調の悪い変化・・・クーラー、季節の変わり目、食後、食べ過ぎ、飲み過ぎ、便秘
間食は毎日
結婚後水分を多く取るようになったら、喉が乾く気がする。
便秘でおなかが張ってつらいのは時々ある。
便が出切らない感じは時々。
便器に付着することは時々。
お酒を多めに飲んだ日などの翌日は疲れが残ることがある。

右関 やや硬くて、浮位が弦ぽい
脾募うすくあり
中カン~下カン 硬い
内関(右>左) 陥凹
三陰交(右>左) 弛み
右陰陵泉 冷え、突っ張り、硬い
足三里(右>左) 大きい陥凹
左公孫 発汗、陥凹
左大都 ゆるい
左脾兪 陥凹
左胃兪 深い陥凹
右胃兪から下が筋張りで三焦兪が下端

..【肺】
花粉症に小青竜湯を服用したが、効果はなかった。
アトピーが出る部位は手首の内側、手の甲。
よく風邪を引く。

右合谷 冷え、やや発汗
右太淵 やや腫れ
両列缺 かげり
大杼 弛み
肺兪(右>左) 大きい陥凹

..【腎】
32歳頃・・・多忙、睡眠不足でアトピー発症
アトピーは体調不良や疲れ、睡眠不足で起こっている
高校生の頃からふくらはぎから足先にかけてむくむ。
特に夕方にむくむが、朝もむくんでいる時もある。
季節的なものは無く、年中むくんでいる。
運動をするとむくみは良くなった。
疲れると顔色がくすむ・・・高校生の頃から起こる。
体調の悪い変化・・・クーラー、深夜、気を使った後、睡眠不足の時、
体調の良い変化・・・入浴後
小便1日の13回

左尺 輪郭甘い
右尺 細い、やや弦ぽい
神闕から関元に掛けて舟形の抜け
中注 やや突っ張り
右外関 こそげ、発汗
右陽池 冷え
左湧泉 冷え
復溜(右>左) 弛み
右申脈 動き悪い
左腎兪 深い陥凹(トップ)
左気海兪 陥凹
左次リョウ 下から冷えが上がる

..【オ血】
右季肋部の肋骨に細絡
大腸兪の高さのラインにやや細絡あり
生理血は濃く、小さい塊や粘った膜が混じる。

..【気虚】
歯痕
胖嫩

..<病因病理>

高校生の頃から足のむくみがあった。このむくみは飲食の不摂生でひどくなり、水分を多く取ることでもひどくなることから、脾虚による内湿の可能性が高いと考える。高校生の頃、運動をするとむくみがましだったのは、運動で気血の巡りが良くなり、下に溜まりやすい内湿も巡り、足のむくみがましになったと思われる。

高校生の頃から脾気の虚損があり、それが内湿を生み、夕方疲れて腎気の支えが弱まると足のむくみを強くしていたと思われる。疲れると顔がくすむのも、腎気の弱りの現れであり、脾気の虚損を支えるために腎気にも負担が掛かっていたのではないかと推察される。

ただ、高校生の頃は器が充実していく時期でもあり、脾虚を腎気が支えるという状況はその後も続いていたと思われる。31歳までは大きく体調を崩すことなく、自分の器の範囲で過ごせていたと考える。

32歳の時、仕事が多忙な日々が3ヶ月続き、アトピーを発症することとなった。疲れや睡眠不足でアトピーが出ていることから、ずっと脾気を支えていた腎気をこの頃一段落としてしまったことが窺える。このアトピーは夏の暑さやストレスとも連動していることから、腎気の虚損が肝の根の不安定さとなり、肝の鬱熱を抑えきれず熱が浮きやすくなり、体表に痒みを生じさせ、その鬱熱を夏の暑さが助長していると思われる。また霊道のこそげ、列缺のかげり、内関の陥凹などから、アトピーは経絡など弱い部分に出ているのではないかと推察される。

現在、お体を拝見すると、左腎兪の深い陥凹(トップ)や左気海兪の陥凹、神闕から関元に掛けて舟形の抜けなど腎気の虚損がかなりきつく、左脾兪の陥凹、左胃兪の深い陥凹、足三里の大きな陥凹などから脾胃の強い虚損も窺える。それに加え、列缺のかげりや右合谷の冷え・発汗、肺兪の大きな陥凹など肺気の弱さも窺え、そのために風邪を引きやすくなっていると思われる。

妊娠を希望されて1年が経つが、腎気の虚損がかなり深いので、しっかりと腎気を立てて下焦を充実させ、身体の土台を安定させることが妊娠にとっても大切であると考える。

また主訴の一つである花粉症に関してだが、外的要因である花粉で引き起こっており、32歳の過労の頃にひどく悪化もしなかったことから、花粉の飛散量が症状の出方に大きく関係していることが窺える。ただ内湿を溜め始めたと思われる高校生の頃から花粉症が発症していること、睡眠不足で花粉症が出やすいことを考えると、腎脾をしっかりさせて内湿を捌ければ、症状を減らせる可能性も考えられる。32歳の多忙な頃に痩せて少し足のむくみがましになったことから、内湿が多少落ちたことが推察されるが、花粉症の症状に変化を及ぼすほどには、小青竜湯では内湿を取ることが出来なかったと思われる。

..<弁証論治>

弁証:腎虚、脾虚湿盛、肺気虚
論治:補腎、健脾除湿、補肺気

<治療方針>

脾肺を同時に補いながら腎気を中心に立てて、まずは全身的な気虚を救う。肝鬱がきつい時は疏肝も適宜行うが、基本的には腎気を補って根をつけることで肝気の安定も図りたい。

全身的な気虚から脱し、肺気がしっかりしてきたら、より腎気をしっかりさせるようにして、妊娠へと近づけるようにしたい。脾気の虚損は時間経過が長いので、脾気も補いながら、腎気を立てた方がより良いと考える。

..<生活提言>

アトピーを発症された32歳の頃の多忙な時期にかなり身体の力を落とされたと思われ、それがうまく回復されていない状況がお体を拝見した感じから窺えます。そのためなかなか妊娠しにくいというところに繋がっているかと思われます。まずはしっかりと身体の土台の力をつけていくことが、妊娠のみならずアトピーや花粉症の改善にも繋がるかと思います。

身体の力を養うのに大切なのが質のよい充分な睡眠です。寝起きも良く、それほど睡眠に問題は無いように思われますが、少し就寝時間が遅いので、できれば日付をまたがないで就寝できるとより質の良い睡眠になるのではないかと思います。

また胃腸の力を落とさないことも身体の力を養うのに大切です。結婚されてから水分を多く取っていらっしゃいますが、足のむくみが悪化していることからも少し水分を取り過ぎているように思われます。水分を多く取るようになって逆に喉が渇くとのことですが、過剰な水分摂取が胃腸の負担となり、排泄しきれない水分となって体に溜まり、必要な水分が体をうまく巡れなくなり、喉が渇くという悪循環を作り出しているように思われます。少し水分を減らして、胃腸への負担を軽くしましょう。

体に余分な水分があると気血の巡りも悪くなります。そうすると体の気血が偏在して過剰なところには熱が生じて、アトピーのように痒みを生じやすくなったり、下に溜まりやすい水分は足のむくみとして現れたりします。体に負担にならない程度の運動は気血の巡りを良くしてくれるので、ストレス発散も兼ねて散歩程度の運動はお薦めします。