弁証論治:

0020:不妊 肩こり 子宮内膜症 オケツ

…病因病理

お体を拝見すると、目立つのが、オケツ所見です。首骨盤部の細絡、舌辺の明瞭な瘀斑、舌裏の怒脹、左三陰交から復溜のかけての詰まった感じ、左少腹急結などです。また、同一視することはできませんが、西洋医学的な所見で腹腔内に広がる子宮内膜症の存在も指摘されており、オケツの存在は肩こり、不妊と大きく関わる状況でしょう。

夏に体重が落ちて全身状態が辛くなるようなもともと気虚気味ではないかと思わせる状況のうえ、現時点でも関元の抜け、左三焦兪の陥凹、寝起きが悪く翌日に疲れが残ることが時々あるなど腎気不足を思わせる所見があります。また肺兪の発汗、左右太淵の腫れ、喉の違和感、いがらっぽさなど風邪を引き込んでいるとも思えます。

気虚腎虚気味の状況では毎日の日常生活をおくるのにも肝気をはって頑張らなければならない状態となり、この腎虚肝鬱の状態が長い間続くことによりオケツを生じてしまったものと思われます。

現在のオケツの状態は、皮膚の外側胆経や骨盤部に大きく広がる皮膚の荒れや舌の状況など全身に広がる状態であるのに生理痛がほとんどないという状態です。これは子宮骨盤部での気滞そのものはそれほど強くなくこのオケツ状態が気虚腎虚から広がったものであるからではないかとも思われます。

またその上に、風寒の邪が内陥したことにより、肝鬱の状況がさらにきつくなりオケツ状況を悪化させたのではないかと思われます。

…弁証論治

弁証:腎虚が中心の気虚瘀血(オケツ)
風邪の内陥
論治:疎風散寒
活血化瘀(オ)、益気補腎

まず第一に内陥している風邪を取り去り気血のめぐりを阻害させる要因を取り除く。
腎気をたて瘀血を取り去る。

…生活提言

基礎体温表を拝見すると、薬を使わないと排卵がない月経周期になってしまったり、高温期になっても短めであったり、高温期の途中でがくっと下がったりと安定感のない基礎体温の状況であるとわかります。

婦人科的な力の元をである腎気が足りないと、排卵をしっかりおこすこと、高温期をしっかり持続させ赤ちゃんの卵をふんわりと受け止める力などに不足しがちです。身体を身体の力そのものがないと妊娠する力、妊娠を継続させる力も不足してきます。

身体の力がないことと、冷えの入り込みにより全身に不要なモノがたまり、いわゆる血の道の滞りという状況もおこしています。身体の力をつけ、いらないものをすっきり排泄していきましょう。