..主訴 不妊 肩こり腰痛肥満
身長160センチ 体重70キロ（BMI27.5) 血圧110－70 年齢41歳
仕事 医療事務職
20代 体重52キロ
頭痛 スタート 目の奥と横 頻度は同じぐらいで継続
肩こりの感じはない、何かに集中すると症状が出現
30代の始め
首の不快感が出始める、整形外科ではストレートネックと言われる。
36歳 体重60キロ
強い頭痛から 病院受診 MRIにて左脳梗塞あとがみつかる
肩こりは頭痛からきているといわれる。
37歳
脳神経外科より膠原病の疑い、脳外科より左の脳に影がある（判然とはしない）脳梗塞の疑いを指摘される
不妊治療スタート
排卵の頃、生理の前に頭痛を感じる。疲れと連動（現在まで継続）
38歳
タイミング（自分たちでは4年）で妊娠しないため色々な検査
子宮内膜症 子宮筋腫 チョコレート嚢胞など指摘される
人工授精スタート
39歳 体外受精に挑戦 2個採卵凍結
MRIで子宮筋腫が9個あるのがみつかる。
40歳 手術 半年経過観察 胚移植ー妊娠反応なし
41歳 転院
体外受精を繰り返すも、胚盤胞が拡張期まで進まず凍結出来ず
体重70キログラム
この２，３年、仕事が前より忙しく、夜の間食が増えた（以前は9時以降は食べなかった）
頭痛の頻度が増え、体重が増えた。生理前にお腹にガスがたまる様な感じがする。
普段の状態について
風邪はあまり引かない、引くと左右の頭痛、鼻水、喉の痛み
食欲は普通、早食い、空腹感があり、食事はいつも美味しい、腹脹などもない。
間食は毎日、ヨーグルト 飲水は1000cc程度
口の違和感などない
便通は1日に2回、最近ガスが出る感じがある。便器に付着することは時々、バナナ状
小便は1日8回 残尿感、尿切れの悪さ 夜間尿などない、時々黄色い
睡眠は午前1時起床は6時、寝つきはよい、眠りは深く、寝起きは普通、時々疲れが残る。
..婦人科について
40歳子宮筋腫9個、チョコレート嚢胞左、手術（何ら症状は感じなかった）
生理は31日型、5日間、以前よりも出血は少ない
小さい塊、たまにえばった膜が出る、初日2日目に出血が多い、
生理の２，３日前ゴロから、胸の張り、腰の痛み、下腹の痛み、イライラ、頭痛（左右）、右下肢のだるさがある。生理が来ると納まる。
排卵時には時々、右下肢のだるさ、右腰痛、右腹部痛がある。
..切診
舌やや色褪 やや膩苔 歯痕、戦、胖嫩、裂紋ややあり、舌裏怒脹+
尺位、左りんかくが甘い、右弦、左関上浮いて固い
腹診 心下つまり少しあり
脾募あり、右はぐっと上の方まで
下腹（小腹）冷え左中注冷え、
大巨ゆるい、左は冷え
右内関ゆるみ、発汗
右太淵腫れ、
右陽池、冷え
右神門硬結 左右とも腫れ右＞左
右霊道陥凹
足全体むくみ
左大都やや陥凹
三陰交ややゆるみ
右足三里少しゆるみ
大椎を中心に首盛り上がり、左肩盛り上がり
督脉（背骨）全体に冷え感があがってくる、接脊が冷えの中心
肺兪（左右とも発汗）
左厥陰兪ゆるみ
左脾兪陥凹緩み大きい
左三焦兪陥凹緩み大きい
..五臓の弁別
…【肝】
何かに集中すると頭痛（側頭部、目の奥）が出現
排卵前、生理前に頭痛
生理の２，３日前ゴロから、胸の張り、腰の痛み、下腹の痛み、イライラ、頭痛（左右）、右下肢のだるさがある。生理が来ると納まる。
舌やや色褪 戦、舌裏怒脹+
脈左関上浮いて固い
…【心】
心下つまり少しあり
右の内関ゆるみ
右神門硬結 左右とも腫れ右＞左
右霊道陥凹
…【脾】
体重70キロ、若い頃からだんだん増えている、とくにこの２，３年増加
脾募あり、右はぐっと上の方まで
左大都やや陥凹
三陰交ややゆるみ
右足三里少しゆるみ
督脉（背骨）全体に冷え感があがってくる、接脊が冷えの中心
左脾兪陥凹緩み大きい
…【肺】
首の不快感が出る（30代始め）
右の太淵腫れ
大椎を中心に首盛り上がり、左肩盛り上がり
督脉（背骨）全体に冷え感があがってくる、接脊が冷えの中心
肺兪（左右とも発汗）
左厥陰兪ゆるみ
…【腎】
頭痛の部位ー目の奥
強い頭痛から病院受診 脳梗塞あとが見つかると言われる
排卵前、生理前に頭痛、
頭痛は疲れと連動
睡眠はこの2，3年5時間程度、疲れが時々残る
生理の出血が以前より少ない
生理の２，３日前ゴロから、胸の張り、腰の痛み、下腹の痛み、イライラ、頭痛（左右）、 右下肢のだるさがある。生理が来ると納まる。
排卵時にも時々右下肢のだるさ、右の腰痛、右腹部痛がある
舌やや色褪 歯痕胖嫩、裂紋ややあり、
尺位、左りんかくが甘い、右弦、
下腹（小腹）冷え左中注冷え、
大巨ゆるい、左は冷え
右陽池、冷え
足全体にむくみ
督脉（背骨）全体に冷え感があがってくる、接脊が冷えの中心
左三焦兪陥凹緩み大きい
…【風邪の内陥】
首の不快感が出る（30代始め）
大椎の大きな盛り上がり
肺兪発汗 太淵の腫れ 督脉の接脊を中心とする冷え
…【オ血】
強い頭痛から病院受診 脳梗塞あとが見つかると言われる
子宮内膜症 子宮筋腫 チョコレート嚢胞など指摘される
..病因病理
２０代の若い頃から頭痛がスタートしている。何かに集中すると側頭部と目の奥に頭痛を感じると言うことから、肝鬱によって引き起こされている可能性と、目の奥の頭痛まであることから腎気の弱りがあったのではないかと思われる。
３０代初めに首の不快感が出始める、整形外科ではストレートネックではと言われる。その後、３６才の時に強い頭痛から左脳梗塞あとがみつかっている。
西洋医学的には形態からストレートネックのための首の不快感と診断されているが、この方の首は大椎を中心として大きく盛り上がり肺兪の発汗などの状況から風邪の内陥がうかがわれる。もともとの肝鬱を起こしやすい頭部の状況と腎気の弱りがあったところに風邪の内陥がおこり、継続的に腎気への負担と気逆が続いたことで、長く続く肝鬱気滞となり、その結果、頭部にオ血が発生し脳梗塞という状況がおこった可能性がうかがわれる。
このあとも、脳梗塞の疑いを指摘されたり、膠原病の疑いという西洋医学的な診断がでている。大きな病変にはいたらないものの、風邪の内陥と腎気への負担が継続し続けているためではないかと考えられる。
こういったなか、３８歳頃から仕事が忙しくなり、体重が増加。同時に不妊治療も本格的におこなわれるようになった。それにともない頭痛の頻度も増えている頭痛は疲れと連動し、生理の前にも頭痛を感じガスがたまる感じも出現。腎気の弱りと肝鬱が強くなっている可能性がうかがわれる。
現時点の体表観察や問診からも、首の不快感、大椎の盛り上がり、肺兪発汗 太淵の腫れ 督脉の接脊を中心とする冷えなどから風邪の内陥は明瞭である。その上に、子宮筋腫、チョコレート嚢胞など下焦における瘀血状態、そして右は大きく丈夫までせり上がる脾募、急激な体重上昇などから内湿、下肢のむくみ、三焦兪の陥凹、疲労と連動する頭痛など腎気の低下も明瞭である。
..弁証論治
腎虚 風邪の内陥 オ血 督脉の冷え
疎風散寒、補腎、温通温養督脉
治療方針
風邪の内陥をとりさり、腎気を救い、督脉を温通温養させることによって腎気の底支えをつくる。オ血にてついては、東洋医学では腎気の底支えと督脉の温養で対応できる範囲としあとは西洋医学にゆだねる。督脉腎気の温養によって女子胞に余力が伝播する様にし妊娠に向けた身体作りとする
..治療経過
40歳 ビッグママ治療室受診
41歳
3月 採卵、桑実胚止まり
5月 採卵ー胚盤胞凍結出来た
6月 ドミノ周期 採卵ー凍結、移植 妊娠出来ず
8月 採卵 空砲
10月 採卵 胚盤胞凍結（7日目であまりよくない）、左頭部に熱感のある頭痛
10月末、11月、連続して排卵済み
42歳
1月採卵 １つ桑実胚止まり、ひとつ拡張期にならずダメ
2月 採卵 １つ5日目胚盤胞で凍結、もう一つは拡張期にならずダメ
2月末 2個移植 妊娠せず
3月 採卵 胚盤胞にならず。
4月 転院、採卵 多精子受精 体重のことを強く指摘される
5月 採卵 3日目でひとつ凍結 もう一つは受精せず
6月採卵 胚盤胞が２つ凍結
7月 2段階移植（自然周期）ー移植出来ず
9月 移植出来ず
10月 移植 判定日hcg７５－ 化学流産、継続できず。鍼灸の治療頻度を週に2回にする
11月ポリープ手術
12月採卵 凍結3日目
43歳
2月 鍼灸治療頻度を週に3回にする
3月 採卵ー2個とも空砲（血流、その他はよかった）
5月 移植 2段階 判定日hcg22 低い
鍼灸治療を極力多く入れる（1週間に４，5回）hcg↑、Pもだんだん↑
鍼灸治療の頻度をあげたら、首、肩こり、頭痛がなくなり、首が痛くなく曲がる
6月 不妊クリニック妊娠にて卒業
鍼灸治療は週に3回で継続 首の大きな膨らみが減ってきた、頭痛なども良好
44歳 無事に元気なベビちゃんを出産
おめでとうございます。
