15-3 痰の塊が病気の原因そのものになるもの。痰飲

15−3 不内外因:痰飲

不内外因のひとつに痰飲があります。不内外因は、内因でも外因でもないものとされます。痰飲は、水液の代謝の中でできてた病理産物であり、痰飲そのものが病因となる状態であるものです。

痰:はきだすもの(有形)
無形の痰→瘰癧、腫塊、粘調性があり身体のあちこちに分布
飲:岐伯、身体の局所に分布

肺:通調水道、宣発と粛降から津液の輸送を担い、痰が停留しやすいところです。貯痰は肺ですね。

病に致る特徴

:腸間にたまると、腸鳴音がアップ
胸脇に蓄ると、胸脇腸満、咳、脇痛
横隔膜にたまると、胸悶、咳、喘息、胸部浮腫、仰向けにねれない
皮膚(筋肉と皮膚) 水腫(浮腫よりもつよい)、無汗、身痛


:肺にたまると、肺は貯痰の像、咳、多痰、喘息、
心を阻害すると、心血の流れが↓、胸悶、動悸
胃にたまると、胃の和降↓、悪心、嘔吐、胃脘脹痛
頭を犯すと、精陽不振→めまい
乳房にたまる→乳房腫塊、脹痛
経絡筋肉に留まると、痰核(リンパ結節、焼き鍼)、肢体麻痺、半身不随
咽喉にたまると、咽中に拘束感→梅核気(精神的原因)
心竅に迷走、痰呆、神志失調、混迷

注;頭は諸陽の会、精明の腑
脈は滑、苔は膩

健やかな胃腸の動きがあり、肺気がしっかりと働いて水液の輸送をおこない、腎の気化作用によって排泄がスムーズであれば痰飲が生じることはありませんし、また逆に、痰飲を解消して行くにも、不内外因として形成された痰飲を取り除くというよりも、この3つの臓腑の働きを活発にして痰飲をけしさり、生じなくしていくということがカラダ作りの基本となっていきます。

その上で、形成された痰飲の状況が独立的に悪い場合は、西洋医学外科的アプローチが奏功することもあります。どんな選択肢が「いまの健康状態」に必要であるのかはしっかりと見極める必要があると思います。痰飲を外科的に取り除いても、痰飲を引き起こす状況がそのままであれば、身体の状況が好転しません。肺、脾、腎の健やかさがのぞまれるところです。