ご相談にお答えして:落ち込みやすい、気力がでない、適応障害、妊娠したい。どうしたらいいでしょうか?
妊娠をしたいけれど、ご自身の体調に自信がなく前に一歩出ることができないというご相談は案外多くあります。
こういったときに、私は精神的な面で強くトラブルがある場合には、精神科などの受診をお勧めします。薬に対してのコントロールが上手なドクターにかかり、症状にあまり拘らない方が身体の立ち上がりが早い感じがしています。
また、ご自身がいま出来ること、許されていることを把握し、『自身の持てる身体作り』をめざすことで、体調が回復し、気力が回復し、精神的に安定することはよくあります。
若い年代ならではの多くの精神的なトラブル。一歩踏み出して人生を前に押し進めていただけたら嬉しいです。
ご相談
結婚して4年たちます。もともと体調が悪く適応障害という診断を受けたこともあります。
20代に仕事でとても無理をして、体重が50キロから40キロ近くにも落ちてしまうこともありました。
結婚して夫と出会い、赤ちゃんが欲しい、一緒に生活したいと思うようになりました。
でも、体調はよいと思える日がありません。身体がだるかったり、ほってったり、いつも眠さがあり、疲れやすい感じです。
また精神的にも不安定です。
生理前や雨が降る前などとくに、だるくて、あちこちが痛み、気分が落ち込みます。
早く妊娠、出産したいと思っていますが2年前に流産してから2年たっても妊娠出来ません。
どうしたら早く妊娠、出産出来るでしょうか?
私からのお返事
気力を充実させて元気に生きたいというご希望ですね。
とてもよくわかります。
元気な身体、安定した精神は、気持ちよく生きていくためのお宝ですね。
大事に育てていきましょう。
20代前半でのお仕事は、お身体にとってだいぶ負担だったようですね。
ここで体重が10キロ落ちたことにより、身体の中にいらない熱(陰虚熱)が発生するきっかけになってしまったと思います。全身が非常に弱った(気虚)中、身体の内側におこった内熱(陰虚熱)は、様々は不定愁訴(ほてり、だるさ、精神的な不安定さ)を引き起こしてしまったのだと思います。結婚を機に、精神が安定し、体重も増えたのは本当によかったですね。ご主人の優しさのたまものですね。
だいぶ回復されたとはいえ、今現在も不安定さは残っているようですね。胃腸の力をしっかりさせ、身体を充実させていきましょう。そして、赤ちゃんが早く来てくれるようにしていきましょうね。
・弁証 脾気を中心とした気陰両虚
・論治 益気補脾 益気補陰
・治療方針 脾気を立てることを中心として、補気補陰していく。脾気がたつことによって腎気が持ち直すことを期待する。脾腎の陰気がたち肝鬱が納まることを期待するが、場合によっては肝鬱も取り去る。
方針:
胃腸を中心にしっかりと生命力を高める。そして胃腸が整うことで精神的な不安定さも減少していくことを
期待する。身体にある余計なもの(内湿)の排出を促し、気分の落ち込みなどを防いでいく。
鍼灸治療:
右の内関(ミニ灸2回)、膻中(CV17、7)、気海(CV6 10)、大巨(ST27)
左の公孫 右足三里 左右三陰交
厥陰兪7 左胆兪脾兪(BL20)、左胃兪、左大腸兪(BL25)右次髎(BL32) 申脉
自宅施灸指示:内関 中注 関元(CV4) 足三里 三陰交
経過:
初診から8ヶ月後
体力がついてきたと思う、寝込むことが減ってきた
10ヶ月後
そろそろ不妊治療を再開してみようという気持ちになった
12ヶ月後
不妊治療を始めたら、生理痛や腰痛がひどくなっている
めまいやほてりも出現
→それでも、それほど気にせず治療を進めることが出来ている
24ヶ月後
体外受精にステップアップ
不妊治療のホルモン剤などで体調悪化。それでも、治療を進めていけている。
1回目の採卵→移植 妊娠出来ず
30ヶ月後
2回目の採卵→良好胚が多数凍結出来た
32ヶ月後 移植、無事に妊娠、出産
患者さんからのメール
「スタッフの皆様
○○です、お世話になっております。
○月○日3000㌘越えの女の子を無事出産することができました!
母子共に健康です(^^)
赤ちゃんはむくむくしてきれいな状態で生まれてきました。
自分が母親になれたなんて、いまだに信じられない気持ちです。
でもとってもかわいいです。
こんなにかわいい子を抱くことができたのは、
先生はじめビッグママ治療室のスタッフの皆様のおかげです。
本当にありがとうございました。
とりあえずご報告まで。 」
あとがき:
メンタル面での課題が多いときに、その症状に振り回されてしまうことも多いかと思います。
そんなときには、まず身体の調子をよくしてみるということから始めるのがよいのかなと思います。そして身体の自信を取り戻すと自然に気力もわき、精神的な安定に繋がることも多いと思います。
身体と心はひとつですね。