不妊:相談その① 病院では『問題ない』強い冷え、痩せ、お腹が弱い−0134

なかなか妊娠しない。本当に困ってしまいますね。
確かに、妊娠は自然な授かり物でもあります。
待つ時間も大切。
しかしながら、やはり、本当の課題はなんなのか、探してみることも大事ですね。

今日は、20代で妊娠をのぞみ、検査では『問題はない』といわれながらも7年の月日がたってしまったケースです。手足先の強い冷え、痩せ気味、お腹が弱い。どれも妊娠への課題となりそうですが、どれもさほど大きな問題にはならないような課題です。前に進むときには課題の整理が大切です。

どんなことが課題になっているのか、
どういう道筋をとっていけばよいのか、
一つずつ解決への道筋を一緒に悩み考えたカップルの相談です。

相談:夫も私も病院での検査は問題ないといわれています。
しかしながら結婚して7年妊娠出来ません。
35歳になりました。
人工授精も何度もしてみましたが妊娠できません。
どうしたら妊娠できるのでしょうか?

私はもともと痩せ気味(BMI16.67)で、お腹が弱くすぐに下痢をしてしまいます。
手足先の冷えも強いです。どうしたら妊娠出来るのでしょうか?

気になること:
16才と21才の時に卵管から出血があり、お腹に血と水がたまったことがあります。2,3週間入院をしましたが、妊娠には何ら問題はないといわれていますが、いまになると本当に問題がないのだろうかという思いがあります。

クーラーや暖房で体調が悪くなります。特に冷えには弱くて、手足先が芯から冷える感じです。いろいろと対策はしていますが、急な温度の上がり下がりには特に弱くて身体がだるく、つかれやすいです。

生理の2,3日前から便秘、イライラがあります。排卵時にはお腹にチクチクとした痛みがあります。2年前ぐらいから体外受精にステップアップしようと考えていますが、なかなか思い切れません。

ご相談にお答えして:
ご夫婦でいろいろな努力をなさり、がんばっていらっしゃりますね。
二つの課題を感じました。
①西洋医学的なステップアップ。
②ご自身の体調のこと。

このふたつの課題は結局、『妊娠ー出産』という課題を解決するためには、一つの道となりますが、少し分けて考えていくことが、課題の解決をスムーズにすると思います。

一つ目の課題:
西洋医学的なステップアップですが、年齢要因的に半年ぐらいを目処にスタートすべきだと思います。現在35才、一刻を争う状態ではありませんが、ご自身でおっしゃるとおり、あっという間に年月は流れてしまいます。これから半年以内に自然妊娠が成立しなかったら、自然妊娠への道を探りながらも、ステップアップして体外受精を実際に始められるようにしましょう。つまり病院受診などの準備はすぐにスタートし、体外受精のステップである採卵が半年ほどの時間が経過したらすぐに始めるように準備をしておくわけです。病院選びなども迷うと思いますので、ご自身が行ってみたいト思われる候補の病院を複数相談なさるのもよいかと思いますよ。Nさんのお気持ちを受け止め、必要なポイントを明示してくれるクリニックに通うことが大切かと思います。

二つ目の課題、ご自身のお身体についてです。
元々のお身体の状態が少し弱めですね。それは何かあるとすぐに下痢気味になり、なかなか体重が増えないという胃腸のパワー不足が根底にあるようです。

中学校のころは、BMI20.27ぐらいあり、それなりに充実し、月経も順調であったと思います。しかしながら、婦人科疾患にて入院安静がきっかけで、体重が37キロ(BMI16.67)に落ちてしまったことは、入院そのものは安静だけだったであるのに、ご自身にとっては非常に大きなストレスとなり、このストレスが弱い胃腸への負担となってしまったと思います。

そして体重が回復することなく現在にいたっていしまっているのは、ご自身の身体のスケール(器)が一段小さくなってしまったということだと思います。

仕事を始めてから、とくにお腹の弱さと手足末端の冷えが気になり始めているということは、体重が戻らないまま小さな器(気虚気味の素体)に仕事の緊張が加わったため、ストレス状態がより強く、継続的になってしまっていることを示しています。

ご自身できをつけていらっしゃるので、それなりの状態はキープしていらっしゃりますが、妊娠という身体の余力が必要な場面では、その余力が不足しているといわざるおえません。

やはり目立つのは胃腸のパワー不足ですね。空腹感がめったになく、食事も時々美味しいと感じる程度で胸焼けがするということは、胃腸の弱さは明瞭です(脾虚)

お身体を体表観察で拝見すると
1)胃兪の大きな陥凹奥の冷え抜け
2)足三里の長い陥凹など

上記から胃腸のパワー不足は明瞭です。
また、体重を落として以来胃腸のパワーが弱まったままであることから、全身を防御する肺気のパワーが低下し、外の環境変化について行けなくなっていると思います。つまり、胃腸のパワーがないために、全身を守る力が不足しているということです。

これが28才で結婚後、特段の問題はないのに妊娠が成立しずらいということに繋がっていると考えられます。

東洋医学で言う五臓の脾気を中心に肺気、腎気とも余裕がなく、気を張ってなんとか日々を過ごしている(肝気の課題)状態から、余裕のある身体作りを胃腸の状態をよくすることからはじめていきましょう。そして妊娠に影響すると言われる衝任脈に気血を注ぎ入れ女子胞(子宮)のパワーをあげていきましょう。

弁証論治
脾気を中心とする全身の気虚肝鬱 衝任脈の弱り
益気補脾 温養衝任

治療方針:
妊娠に拘わらず、まず全身の力をつけ、余力をつける。そののちに、女子胞力(子宮の力)をつけていくことがポイント。ただただ女子胞力(子宮の力)だけをつけるという目的ではなかなか到達できないと思います。全身の力up→女子胞力upです。

また、年齢要因もそろそろ気になるお年頃。『原因がない』ということに拘わりすぎず、逆に体外受精に挑戦してみて、そこからどんな要素が浮き上がるのかと言うことからアプローチするのもよいかと思いますよ。

続きの治療経過はこちら

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