胎盤形成時期への鍼灸アプローチ しっかりとした胎盤と3000㌘越えの赤ちゃん0327

昨今、赤ちゃんが小さいという問題はよく語られるようになりました。

これは、YouTubeで見ることができます。

食事でこんなに変わる、脳の発達や病気  / 京都女子大学 辻 雅弘先生

これは京都女子大学辻雅弘先生の講演で、赤ちゃんが小さいと知能の低下と関連するというお話で、お母さんは十分体重を増やししっかりと栄養をとりましょうというお話です。

☆小さい赤ちゃんはなぜ生まれる?

小さい赤ちゃんが生まれる理由は多くあります。もともとの個性ということもありますし、母体側、胎児側、そして胎盤、臍帯などの理由もあります。

小さい赤ちゃんの話はこの講演での話しのよううに、母体側の体重の側面がひとつ。そして胎盤血流問題のと二つの側面があるのではないかと私は妊婦さん達をフォローする臨床を通じて感じます。

☆私が妊婦さん達の鍼灸治療を通じて感じる赤ちゃんが小さい理由2点

・母体の瘠せ。

・血流の悪さ、胎盤。

この二つの課題について、症例を通じながら具体的におはなししていきましょう。

母体の瘠せについては、こちらで説明しています。
→やせた方の妊娠、体調をupさせ出産へ(BMI15.6)
 https://bigmama-odawara.jp/old/YASE.HTM

今回はもう一つの課題、血流の悪さ、胎盤の課題です。
この症例のNさんは、十分に胎盤が育ち、大きな赤ちゃんを出産することができ、とても喜んでいらっしゃりました。それでは、Nさんのお話です。

☆胎盤形成時期への鍼灸アプローチ しっかりとした胎盤と3000㌘越えの赤ちゃん。

 

当院には、不妊不育という二つの課題で来院される方がおおくいらっしゃります。

もともとは不妊の方が中心でしたが、臨床を勧めるうちに『不妊』と言う中に、かなり『血流の課題』『血液凝固系の亢進』など、不育症と重なる課題を多くもつ方がいらっしゃるのに気がつきました。

☆不妊と血流問題

この血流問題は、不妊治療を考える上で大きなポイントとなります。

つまり、妊娠をするには血流、それも子宮血流をどうのように十分に行き渡るようにするかがポイントなのです。

この子宮血流をあげるという鍼灸アプローチが、結果的に『胎盤が大きい』『妊娠中のトラブルを防ぐ』ということにつながることを臨床を通じて順次知ることとなりました。

・不妊
・着床障害
・妊娠初期
・妊娠9週の壁
・不育症
・お母さんの瘠せ

これらをしっかりとアプローチしていくなかで、

出産報告に、『胎盤が大きいと言われました』という報告を多く頂くことにつながりました。

今回は、第一子と第二子で大きな違いがあった症例です、

☆第一子のご出産が小さい赤ちゃんであった方のケースからわかること。

私は第一子が小さかった方や、出産時に血流に関するのではないかと思われるトラブルがあった方には、不育症の検査をお勧めしています。

そして、この不育症の検査のうち、『血流の問題』『血液凝固系の問題』で多くの方が問題を指摘され、不育症対策をして第二子への妊娠、出産につながり、第一子とは違う安定した出産につながったという報告をよく伺うことにつながりました。

☆不育症の検査を考えるとき

不育症の検査は、適応である場合に勧められます。ただ、私は流産を2回しているなどの適応を満たしていなくても、お身体を拝見してきっと引っかかるなと思った方には、検査をしている病院で相談してみてねとお話をしお勧めしています。

この不育症の検査は、

・自費で費用が高い

・産科の先生に指摘されなかった

上記のこともあり、全員が受けるということにはつながってはいません。

☆☆体外受精や顕微授精などの高度生殖医療受精と血液凝固系の検査

確かに自費の不育症の検査は高額で、病院で勧められることが少ない検査です。
しかしながら、受けて頂いた方は、かなりの確率で問題が指摘されています。

このことは、体外受精など高額の費用が掛かっている方には結果的にとても感謝されています。

それは体外受精をして心拍確認後の流産を2回してからの不育症の課題への挑戦となると、時間もお金も膨大にかかるからです。とくに治療が40代にさしかかっていれば時間は取り戻せません。

これらの経験と、私が『もしかして、血流の問題をもっているのでは?』と思った方の妊娠をフォローさせて頂くことが多くなるにつれ、確実に不妊、胎盤、赤ちゃんの大きさに確実につながることもわかってきました。

☆胎盤形成期の鍼灸アプローチ

今回は、第一子の経過と、体表観察から血液凝固系の亢進を感じました。しかしながらご本人が妊娠初期への鍼灸のアプローチをしっかりすることで対応したいということで、不育症の検査をうけたり、薬剤などを用いずに、妊娠、出産をなさいました。そして結果的に2回の出産に大きな違いを感じられてたということがあった症例です。

☆不育症や、血流問題は絶対要因ではありません。

不育症や、血流問題は絶対要因ではありません。

ただし、この課題へのアプローチを十分にしておくことは、不妊の解決。そして安定した妊娠経過につながり、『十分な大きさの赤ちゃん』につながるんだということは何度も経験させていただいております。

☆症例:胎盤形成時期への鍼灸アプローチ、妊娠出産へ。

☆☆主訴

不妊、不育、なかなか妊娠できず、妊娠しても流産になってしまいます。35才です。第一子は妊娠を希望してほどなく自然に授かりました。

☆☆流産を3回

第二子を希望して3年たちます。その間に流産を2回、化学流産を1回しています。

病院ではよくあることといわれ、特段の問題を指摘されず、様子をみていますが、この1年は妊娠すらできなくなっています。

☆☆第一子の妊娠の経過、妊娠中毒症

第一子は途中から妊娠中毒症に近い症状が出現し、いろいろなトラブルがありましたが、病院の対応もよく、なんとか無事に少し小さめの赤ちゃんを出産することができました。

☆☆現在の状況

足はとても冷えて、身体の芯から冷える感じがあります。またしもやけもできます。

風呂上がりや、寝入りばなに急にぐっとした冷えを感じることがあります。

この半年は特に冷え感がつよく、足首、腰の冷えを強く感じています。ふとしたきっかけでおこった肩の痛みもなかなか治らず、なんだか体中がぎくしゃくしているかんじです。

早く妊娠したいと思っています。また妊娠したら流産をせずに生みたいと思っています。

どうしたらいいでしょうか?

☆ビッグママからのお返事

なかなか第二子の妊娠にいたらない。また妊娠しても流産が多いというお悩みですね。

流産も何度もなさり、小さなお子さんを育てながらの日々は大変だったと思います。

東洋医学的なお体の状態を拝見しますと、

1)身体の土台となる底力(腎気の力)が不足気味であること

2)土台の力が不足気味であるので、身体が気を張って頑張って日々を過ごそうとしているので、気の鬱滞状態を招いている。

つまり、土台の力不足(腎気不足)があることそのものがまず妊娠を主る女子胞(子宮)の力の不足となります。

その上で、土台の力不足だと、全身の生命活動を支えるために、気を張り頑張って身体は生命力を偏らせて日々を過ごしていきます。必要とされるところに集まり、その集まりがなかなか解消されないという状態になるのです。

土台の力不足と気の停滞は、上実下虚という、身体の上部はのぼせがちなのに、足腰は冷えているという状態を引き起こし、より妊娠を遠ざけます。

また、この足腰の冷えが、妊娠の継続も妨げる原因となります。

・弁証 陽虚を中心とした腎虚 肝鬱 心熱
・論治 温陽補腎 疏肝理気、
・治療方針 基本的に温陽補腎を中心とするが、上焦に熱が籠もりがちになることが多ければ理気、清熱も適宜加えていく。

☆☆不妊カウンセリング

 流産の回数や、第一子の妊娠中の途中経過から、不育症の検査を受けることも検討してもよいのではないか。(→ご本人から検査は希望しない)

 不妊治療そのものは、もともと妊娠する力がありますから、あせらずに半年ほどは体調をあげることに専念しましょう。

年齢要因もありますので、36才ぐらいを目処には体外受精などを考えてもいいのかと思います。

☆治療経過、6ヶ月ほどで自然妊娠、無事な出産へ

初診:

1:右足三里(鍼+お灸)、左陽池、外関、復溜(鍼+お灸)照海、太谿温灸
中脘、気海温灸
2:身柱温灸
3:左三焦兪、右胃兪、腎兪 次髎
自宅施灸指示 右足三里、復溜 左外関、陽池、中脘、気海
週に1度、6ヶ月ほどで自然妊娠。

妊娠後は、週に3回の施術に切り替え。胎盤形成期の鍼灸アプローチをしっかりとおこなう。
自宅養生も指導。

☆出産へ

10ヶ月後、第一子のようなトラブルもなく無事に出産。

助産師さんから非常に立派な胎盤とほめられ、第一子の時よりも700グラム以上大きい3000㌘を越えた赤ちゃんを出産。

第一子の時は出産後の自分の体調が非常に悪く辛い時間が長かったが、今回は子供が大きいのに、自分の体調は非常によかった。

妊娠初期の手入れがこれほどまでに、赤ちゃんや出産の経過に影響するものなのかと驚きましたというメールを出産報告と共に頂きました。

☆第一子と第二子の体重差700グラム以上はどうして?

無事に妊娠、そして心配なさっていた流産をすることなくのご出産に繋がり本当によかったなと思います。

また、メールで『この子は肌つやもよく、ちょっと小さめの第一子の1ヶ月検診の時の大きさで生まれてきてくれました』という報告は印象的でした。第一子と第二子の体重の差が700グラム以上あったということです。

妊娠初期の胎盤形成期をしっかりと鍼灸でケアすることは、妊娠の経過そのものを安定させますし、また充分な大きさで赤ちゃんが生まれてきてくれるということは、赤ちゃんそのものにも大きなプレゼントになりますし、お母さんにとってもとても育てやすいと思います。

☆☆『胎盤がしっかりと大きいと言われました』という多くのお声

『胎盤がしっかりと大きいと言われました』というお声は本当に多くの患者さんの出産報告で頂いています。

はじめは、無事の出産の結果だなと思っていたのですが、妊娠初期の手入れをしっかりとなさった方からそのお声が多く聞かれることに気がつき、『胎盤形成時期の鍼灸治療』のよさを実感しています。

妊娠初期の手入れは、妊娠が継続出来ない方や、流産を繰り返しているという方におこなっていましたが、結果的にそれが、『しっかりとした胎盤作り』につながり、流産の危険性を下げ、充実した胎盤から栄養をしっかりと受け取れる環境で育つ赤ちゃんという流れになってきていると思います。

また、充分な大きさの赤ちゃんを産むと言うことが、赤ちゃんの成長にはとても大きな助けとなります。是非、実践してみてくださいね。

いやいや、つきちゃんお灸も冷えにいいですよ。