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鍼灸院の謎③ 二人三脚で歩む、私の鍼灸の世界
大学病院で研修を重ねるうちに、私は少しずつ「自分がやりたい鍼灸」の形が見えてきました。
当時は鍼灸だけではなく、マッサージも組み合わせた施術をしていました。
いまでもマッサージは大好きです。
実は、施術を受けるなら私はマッサージ派です(笑)。
当時、患者さんによっては、鍼灸よりもマッサージの時間が長い日もありました。
私の理想は、マッサージで全身を少しゆるめ、そのあとにちょこっと鍼灸で身体を整えること。
そんな施術ができたらいいなと思っていました。
ところが、少しずつ患者さんが増えてきます。
一人ひとりに十分な時間をかけたい。
でも、予約は埋まっていく。
どうしようかと随分悩みました。
そして出した結論が、
「私は鍼灸だけでやっていこう」
ということでした。
思えば、弟子入りした鍼灸院も鍼灸だけでした。
その頃は不思議に思っていましたが、結局、自分も同じ道を選ぶことになったのです。
鍼灸院、隣は何をする人ぞ
ところで、ここで一つ不思議なことがあります。
「鍼灸院」と一言で言いますが、実は中でやっていることは全然違います。
これは一般の方には、なかなか伝わっていません。
例えば私が行っているのは、中医学という考え方をもとに、身体全体のバランスを考えながら鍼とお灸を使う方法です。
お灸も、もぐさを小さくひねって直接すえる方法を中心に行っています。
これに三角温灸など、しっかり温めるお灸を組み合わせることもあります。
ところが、こうしたやり方をしている先生は意外と多くありません。
鍼の打ち方も違う。
お灸も違う。
考え方も違う。
同じ「鍼灸」という看板でも、中身は驚くほど違うのです。
先日、関西に住む友人から、
「横浜でいい鍼灸院を知らない?」
と聞かれました。
横浜で開業している先生の顔は何人も浮かびます。
でも、私は困ってしまいました。
その先生がどんな理論で、どんな施術をしているのか、実はよく分からないのです。
もちろん、腕が悪いという話ではありません。
それぞれに信念があり、それぞれの鍼灸があります。
でも、「鍼灸」という言葉があまりにも大きすぎて、実際には何を得意としているのか、どんな治療をしているのかが見えにくいのです。
だから簡単にはおすすめできない。
私はそう感じました。
属人性の高い世界
整体の世界でもそうでしたが、鍼灸の世界もまた「属人性」がとても強い世界です。
同じ資格を持っていても、考え方も技術も、本当にさまざまです。
だから「鍼灸が効くかどうか」よりも、「誰から受けるか」の影響が大きいのかもしれません。
治療院選びは、本当に難しい世界です。
結局のところ、人と人とのご縁なのだと私は思っています。
私自身も、患者さんとの出会いの中で育ててもらってきました。
一緒に悩み、一緒に喜び、一緒に歳を重ねていく。
私にとって鍼灸は、患者さんと二人三脚で歩んでいく仕事なのです。
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