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23 胃の病気   胃の冷えとストレスからのダメージ

23 胃の病機についてです。

まず第一に脾胃についての復習。

これが基本です。

おこをおさえて、さて、胃の病機を考えていきます。大きく5つ。
胃気虚弱、胃気虚寒、胃火上炎、胃陰不足、胃絡瘀滞です。

全体としてまとめると、こんな感じです。
胃気虚寒=胃気虚弱+内寒
胃火上炎=胃の熱症状+上部の症状
胃陰不足=胃の陰虚+胃失和降
胃絡瘀滞=出血の症状+オケツの特徴

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胃気虚寒(胃気虚弱+内寒)


原因:外邪の直中、生冷物の偏食、暴飲暴食、陽虚体質
症状:食欲不振、腹部膨満感、ゲップ、悪心、胃脘部の冷え、冷痛

胃火上炎


原因:偏食、辛み、酒肉類、大腸腑気普通(便秘)
症状:消化亢進 清穀善飢
胃気上逆(悪心、嘔吐、吃逆、口苦)
胃経に影響(歯齦腫痛、出血)

胃陰不足(慢性萎縮性胃炎)

原因:長期間の気鬱状態→熱を化す
長期間にわたり、熱邪が胃に停滞、
七情失調による清熱→陰液の消費、
重篤な病機または慢性病による胃陰消費

症状:胃の受納消化機能に影響→飢不欲食、食欲不振(食べたいけど食べられない)
胃の和降機能に影響(脘腹不快、吃逆、乾嘔)
全身の津液不足、口、咽喉の乾燥、消瘠、便秘、舌質紅、無苔(鏡面舌)

冷えの問題、そして長期間の肝鬱が熱に化火して陰液不足を起こしてくる問題と大きくわかれます。ストレスと胃は有名ですが、ストレスという肝のうつ熱が長期間にわたることで胃の陰液不足を引き起こし、新たな病態となっていくわけです。

22 気血津液は、場の設定を意識するのがまず第一

22:気、血、津液の病機

東洋医学では、気虚、とか、血虚。そして肝血虚とか、腎気虚などなど、言葉が案外複雑に絡み合わせてつかわれています。この何気ない言葉の乱用が話しを難しくするのですが、大前提は場の設定です。

この場の設定を意識し、その言葉がどんな場の設定によって使われているのかを考えると、見ててくるものが違ってきます。

ということで、気血津液の病機。

これは、まず気血津液とそれぞれの場で、まるごと一つの身体を3つの場にわけて考えることがスタートです。
そして、この3つと臓腑がいろいろに絡むのでわかりにくくなりますが、どの場を前提として考えているのかということを踏まえて考察していくことが大切だと思います。そうしないと、大きな場と小さな場。違う側面から考えている場を混乱して用いてしまい、目の前の人をしっかりと見ることが出来にくくなります。

さて、3つわけていきますね。レッツスタートです。

22−1 気の病機
22−2 血の病機
22−3 津液の病機

21 腎が困ったとき。腎陰と腎陽の弱り

21 腎 生命力の源として 腎陰と腎陽の虚損

腎は生命力の源です。
3つの役割がありましたね

1)蔵精、発育と生殖を主る 2)水を主る 3)納気を主る
という3点。

これは私たちの生老病死する一生を腎が下支えしていくということにつながります。
下支えする存在であるので、成長を支え、そして次の世代へとつなぐ生殖をも主ります

さて、その病機は、腎陰、腎陽のそれぞれの虚損。そして派生する問題です。

1)腎陰虚損
原因として、①房事不節(つまり、やりすぎってことですね、はい)、②邪熱が長時間尹文への侵入。③五志化火、やはり心の問題はでかい!

病態としては陰の不足と虚火内熱

陰の不足=真陰不足→補腎益精
足腰だるい、遺精、閉経、耳鳴り、視力の低下、めまい、踝疼痛

虚火内熱→滋腎養陰
虚火上炎ー潮熱、五心煩熱、咽乾盗汗、歯齦疼痛

2)腎陽不足
原因として、先天不足、房事不節、寒涼な薬剤の長期使用、心脾両虚の波及
病態としては腎気不固と陽虚内寒のふたつ。

①腎気不固
腎気の不足から、腎の不納気。性機能↓、膀胱機能↓、大腸の失禁、早産、滑産

②陽虚内寒
身体の冷え、寒がり、陽痿、早泄、水陽な白帯、不妊(男女)
小便不利、遺尿、頻尿、下利清穀、五更泄瀉(腎特有)

→温腎補陽、温養行水(八味地黄丸、五車腎気丸)

20−2 肝気鬱結から肝風内動まで

20−2 肝気鬱結から肝風内動まで

肝の病機、大きな流れはこちら

では、もう少し細かく押さえていきます。

肝の病変は、肝気鬱結から始まります。つまり何かがぎゅーーーっとなっていると。その原因はストレスだったり、湿痰オケツ。なかなか手強い奴らです。

1)肝気鬱結
始まりはこの肝気鬱結からです。
原因
 七情内傷による肝失疏泄
 痰湿オケツが肝血に停留

病態としては、気滞が中心。つまり、気滞の特徴である・脹痛・郵送性、情志活動で変化します。

肝経に阻害
 梅核気、胸脇脹痛、睾丸脹痛、腫塊、生理痛、小腹

肝木乗土
 肝気犯胃ー脘腹脹通、悪心嘔吐
 肝気犯脾ー腹痛、下痢、下痢してすっきり、脘服より下

2)肝火上炎(実)
肝気鬱結(気滞)の状態が長く続くことで化火しこの病態となります。

原因
 肝気鬱結が長く続くことで化火
 激怒→肝気の昇発太過→肝火
 五志太過→内火や肝火上炎

症状
 頭顔面部ー劇しい頭痛、頭脹、めまい、目赤、突発性難聴、
 肺、胃血脉を損するー急性出血(喀血、鼻血)
 全身の熱症状ー口渇、口苦、怒りやすい、イライラ、便秘、不眠

3)肝陰不足
1の肝気鬱結が長期間続き、肝火上炎の状態になると、陰液、津液の消費がおこります。それによって肝陰不足の状況となります。

肝陰の不足は下虚(腰膝がだるい、無力、遺精、滑精)の状態

 肝血不足ー筋脉失養、関節屈伸不利、しびれ、
 眼睛失栄ーめがかすむ、乾く、視力低下
 血虚生風ー皮膚が痒い、痙攣

4)肝陽上亢
最後陰が陽を制約できないという状況になり、肝陽上亢、そして一番怖い状態である、肝風内動へと病態が進みます。上盛(めまい、耳鳴り、顔面潮紅、情志不安定、脈弦細数)の症状となります。

肝陽上亢
 ↓
 ↓陽の昇動太過
 ↓
肝風内動(脳卒中)
 軽い:筋肉ピクピク、手足の新鮮、顔面筋、項部痙攣
 重い:劇しい頭痛、手足痙攣、人事不省、混迷」

20−1 肝が大暴れするってどういうこと。まずざくっとした流れを!

20 肝の病機

肝は気の升降出入を主ります。これは全身の気血の動きに大きな影響を常に持っているということです。

肝は疏泄を主る https://bigmama-odawara.jp/blog/archives/1703
肝は蔵血を主る https://bigmama-odawara.jp/blog/archives/1707

さて、肝の病機はこの大きな流れをつかむことが必須です。

大きな流れはこの下の肝気鬱結から始まり、その状態が長く続くことで肝火上炎つまり火がでます。そして火が出た状態が続くことで肝陰不足、肝陰の不足が陰虚陽亢である肝陽上亢を引き起こし、危険な状態としては肝風内動があるということです。