カテゴリー : 不妊・婦人科の症例集 30代後半 不妊 流産

流産歴があり体外受精を勧められたが自然妊娠で出産(38歳出産)

東洋医学的診立て

ドクターから、そろそろIVF-ET(体外受精ー胚移植)をと勧められているのですね。36歳であり、不妊治療歴も長く、腹腔鏡などによる自然妊娠への積極的な挑戦もなさっていますので、IVF-ET(体外受精ー胚移植)へのステップアップも、西洋医学的には妥当なところですね。

しかしながら、30歳で自然妊娠していらっしゃいます。ご自身の力で精子をキャッチし、受精卵を育て上げ、ちゃんと着床し胎嚢までは見えるところまで出来る力はもともとあるのです。

そういったもともと自然に妊娠着床する力があるのに、再度の妊娠がかなわないのは、どうしてなのでしょうか?

Sさんは、1度自然妊娠され、その後の検査でも大きな問題はないのですから、

排卵がないために妊娠しないわけでもなく、
卵管が詰まっているわけでもなく、
黄体機能が悪いわけでもなく、
キャッチアップ障害があるわけでもなく、
受精障害があるわけでもありません。

IVF-ET(体外受精ー胚移植)で救ってくれるのは、精子と卵子が出会えていない状況を出会わせてくれ、受精卵にしてくれるということです。

確かに、妊娠しないと言う場合に、消去法的に次のステップとしてはIVF-ET(体外受精ー胚移植)なのでしょう。しかしながら、IVF-ET(体外受精ー胚移植)が救うであろう精子と卵子の出会いは、1度自力で出来てるわけですから、ご自身が迷うのも当然でしょうね。

お身体を拝見しますと、強い冷えが続いており、それにより、妊娠が成立しにくくなっている状況のようです。流産というのは、身体の土台の力(腎気の力)を大きく損ねてしまうことがよくあります。Sさんの場合は、この流産の時に損ねてしまった生命力が回復できなかったために、一般不妊治療でなかなか妊娠が成立しなかったのではないかと思われます。36歳という年齢は、そろそろ卵子の質が問題になる年齢ですので、高度生殖医療を選択する場合にも、あまり先送りに出来る時間はありません。ただ、この冷えの状態をそのままに、ステップアップしても、「IVF-ETをしても妊娠しない」という結果につながるのではないかという恐れがあります。是非、時間を半年程度として区切り、身体を積極的に温め養い、子宮の力をつけていきましょう。半年ほど時間が経過しても、自然妊娠しない場合には、身体作りと平行しながら、すみやかにIVF-ETにステップアップし、ご自身に許された時間的なアドバンテージを失わないように積極的に不妊治療をしていきましょう。

また、この半年は、身体をしっかり作り上げ、整えるためにも、一般不妊治療はお休みし、薬もすっきり抜きましょう。半年後にIVF-ET(体外受精ー胚移植)をすることになっても、より結果が出やすくなる状況になると思います。

一緒に頑張りましょう(^^)。

東洋医学的診立て
弁証: 風邪の内陥、脾腎陽虚
論治: 疏風散寒、補肺 温腎補陽 益気補脾
治療方針: 第一に脾腎の陽気を温養し、肺気をたて風邪の治療をする。
 次に、腎気をたて、脾気がやしなわれることにより、任督衝の一源三岐の脈を充実させ、より妊娠しやすい状態となるようにする。