概要
30代前半に子宮内膜症、子宮筋腫治療のため生理を止めたことがあり、その影響か31歳から始めた体外受精では上手く行かず卵子提供を薦められていました。ご本人の頭の下がるような継続的な努力で無事に妊娠、出産なさった症例です。
(この症例の弁証論治→卵子提供しかない?~出産弁証論治)
【case:0038】
ご相談内容
31歳の時に婦人科にて、子宮内膜症や子宮筋腫の悪化を防ぐために投与されていたホルモン剤の影響で卵巣の機能が低下しているので、体外受精をしても妊娠出来ないだろうと言われ、卵子提供による治療を薦められました。
その後、新宿の高度生殖医療の有名クリニックにてもう25回ぐらい体外受精をおこなっています。採卵は25回ぐらいですが、よい卵がとれず、移植出来たのは4回だけで妊娠には致っていません。やはり、卵子提供しか妊娠ー出産する方法はないのでしょうか?
また、最近ウォーキングを始めました。でも2ヶ月ぐらい前から腰痛が発生してしまっています。少し休むと治りますが再開すると痛く、特に朝起きたときが辛いです。
東洋医学的診立て
卵子提供しかないと言われながらも、この5年本当によく頑張っていらっしゃいましたね。卵巣の状況が非常に悪いながらも年齢がまだ30代と言うこともあり、採卵受精できた卵は胚盤胞にもなっています。このせっかく出来た受精卵を大事に移植し、妊娠出産に至れるようにしていきたいと思います。
このためには、まず採卵できている今の状況では採卵を優先し、一つでも多くの受精卵を作ることを考えていきましょう。過去の状況でも採卵できる数が少なく、また移植したあとは特に採卵が難しくなっています。年齢的に採卵が出来る時間が残り少なくなっていますので、ご本人の『ここまでやったら納得が出来る』という状況までまず採卵を続けてはいかがと思います。
移植に関してですが、過去になんとか着床までは進むことがあったようですね。今の下焦(下腹部)の状況は支えとなる腎気が弱いために少しの負担でも過度な緊張感を持ちやすくなっており、それが妊娠自体の難しさ、そして妊娠の継続の難しさへと繋がっています。採卵を続けながら、この下焦(下腹部)の力を充実させていきましょう。毎日のお灸、棒灸などがとても効果的です。少しづつ続けていきましょう。
東洋医学的弁証論治
弁証:腎虚 肝鬱瘀血(おけつ)
論治:益気補腎 疏肝理気
治療方針:子宮を中心とする下焦の腎気をあげる。肝鬱が強ければ適宜払い、腎気への負担を取る。現時点で瘀血(おけつ)を中心とする治療は主軸にしない