カテゴリー : 不妊・婦人科の症例集 30代後半 不妊 つわり・妊娠中 婦人科

子宮内膜症、体外受精後の自然妊娠、子宮頸がんの円錐切除術(39歳出産)

概要

20代から続く非常に激しい子宮内膜症、生理に伴う体調の変化も大きく気分の落ち込み、疲労感が強い方です。妊娠には体外受精の適応との診断受け、体外受精を三回するも妊娠せず。そののち自然妊娠し、がん切除しましたが、無事に出産されました。

(この症例の弁証論治→妊娠中の円錐切除の弁証論治
【case:0042】

ご相談内容

37歳です。若い頃から非常に辛い子宮内膜症で悩まされています。チョコレート嚢胞もあり手術もしています。

34歳の時に妊娠を希望し病院を受診しましたが、子宮内膜症の状態が悪く『体外受精の適応』と診断され、人工授精を数回行いましたが、なんだかやる気がなくなってそのまま病院に行かなくなってしまいました。

三ヶ月前の生理が非常に重かったことで、このままではいけないと思っています。妊娠して出産したいです。どうしたらいいでしょうか?

東洋医学的診立て

2年前に子宮内膜症の状態から腹腔内の癒着が強く、ピックアップ障害が認められるということから体外受精を薦められているということですね。年齢要因もありますし、これ以上、不妊治療を先送りをしない方が良いかと思います。

ただし、現在37歳であるのに、翌日に疲れが残ること、様々なツボの反応も非常に疲れていることと、冷えも非常に強い状態です。このために気血の滞りが強くなっています。もう少し体調そのものもアップさせることが妊娠には必要ですし、ご自身のこれからの人生を歩む上でも必要なことと思います。のんびり、しっかり、がんばりましょう。

東洋医学的弁証論治
弁証:腎虚、肝鬱オ血
論治:補腎、活血化オ
治療方針:腎気をたてることを一番とする。必要に応じて理気し、活血化オしていく。またきつい肝鬱による腎気、脾気への負担を軽くする。

治療経過

週に1度のペースで鍼灸治療開始。
3ヶ月後 体外受精に挑戦ー移植ー娠出来ず
4ヶ月後 空砲
7ヶ月後 骨折にて入院、骨移植
1年後 自然妊娠、子宮頚癌の診断を受ける
妊娠15週 癌円錐切除、シロッカー手術
妊娠26週 子宮の伸びが少し悪く、つる感じ
妊娠30週 逆子
妊娠32週 逆子治った
妊娠33週 逆子(横位)
妊娠35週 逆子治った。頚管長も3センチあり、赤ちゃん2300グラム程度になった
妊娠36週 また逆子になってしまった。帝王切開の予定決まる
妊娠38週 逆子治った。シロッカー手術の抜糸
妊娠39週 主治医の指示により帝王切開にて出産。3000グラムオーバーの男の子。無事のご出産おめでとうございます

あとがき

いつも明るく前向きなお日様のような方で、辛い生理痛も頑張って乗り切り、多くの仕事もガッツでこなされていました。その生きる姿勢の潔さ、美しさはとても心地よいものです。きっと周りの方も頼りになさっているかと思いました。

不妊治療においても、常に自然体ながら前向きに捉えていました。ただ、子宮内膜症は非常にきつく、腰・骨盤内の状態を悪くしていたと思います。骨折の時は、骨折そのものも状態が悪く入院やその他の処置まで必要とされる状態でしたが、逆に言えば、身動きが取れない状態は、強制的な休養になり、ご本人の体の負担をとり、『無理だ』と言われていた自然妊娠を可能にしたのでしょう。

体を温養する力がもともと不足気味であるので、外的な冷えの影響を受けやすく、気血の滞りの症状を強く出してしまいます。気をつけて過ごされてくださいね。