カテゴリー : 不妊・婦人科の症例集 30代前半 不妊

若いのに良い卵がとれない、極度の冷え性(32歳出産)

概要

30歳という若さ、日本で一番と言われるクリニックでの体外受精ー胚移植を何度かしたものの妊娠しないとう状況。採れる卵の数も年齢からすると少なく、受精卵の状態もよくない。少し遠回りしてカラダ作りの後に良い卵がとれ無事に妊娠ー出産。
(この症例の弁証論治→身体作りをして出産弁証論治
【case:0047】【神奈川/平塚】

ご相談内容

知人から「このクリニックが日本で一番」と言われ、専門不妊クリニックにて体外受精の治療を受けていますが、良い卵が出来ず妊娠がなかなか出来ません。

この数年、冷え性が特に辛くどんどん悪化傾向にあります。クーラーに弱く、冬でも夏でも冷えに悩んでいるという状況です。目が疲れやすく、肩こりも辛い状況です。

どうしたら妊娠出来るでしょうか?早く妊娠したいです。

東洋医学的診立て

30歳という若さであり、有名クリニックでの数回にわたる高額な治療を受けても妊娠が成立しないと言うお悩みですね。

お身体を拝見すると、冷えが身体の中に入り込んでいるような著名な身体を温め養う陽気が不足している状態です。このため、外的要因(冬やクーラー)などにも弱く、体力も失いがちという悪循環になっています。

身体を温め養う力をつけ、子宮を温養し、良い卵をつくり、受精卵を受け止める力をアップさせていきましょう。高度生殖医療が解決してくれる問題ではないポイントの問題です。焦る気持ちはわかりますが、ここは少しまってカラダ作りに時間をかけることをお薦めします。

東洋医学的弁証論治
弁証:風邪の内陥、腎陽虚、任督脈の弱り
論治:去風散寒、温腎補陽、養任督脈
治療方針:まず第一に疏風散寒し、腎の陽虚、全身の気逆をより悪化させる風邪の内陥を取り去る。第二に、腎の陽気をたてることを中心に督脉を温養、同時にまた腎の陽気をたてることで脾の陽気を救い脾胃の負担を取り除き、任脉の充実を導く。

不妊治療の方針:年齢が若い割に、IVF-ET(体外受精ー胚移植)をしても卵の取れる数が少なく、受精卵の状態も良くない状態は、現状のまま、IVF-ETを繰り返しても、同じことである。外的要因として受けてしまっているクーラーなどの状況をしっかりと防御しつつ、鍼灸治療で身体の状態を改善し、冷えが改善され、子宮を養う任督衝脉の状況がよくなってから、IVF-ETの再開を試みるべきであろう。目安として半年程度を考える。

治療経過

4回目のIVF-ETの周期中、6個受精、すべて8分割で停止→IVF-ETでの治療を急がないようにアドバイス、自宅での施灸指導、棒灸指導

初診から2ヶ月後
5回目のIVF-ET、3日目胚移植、妊娠せず→IVF-ETでの治療を急がないようにアドバイス、身体作りを優先してもう少し時間をおいてみようと助言

初診から9ヶ月後
6回目のIVF-ET、2つ成熟卵、3日目5細胞移植、妊娠し、無事に出産。おめでとうございます。

あとがき

体外受精での治療はお金もかかりますし、受精卵を戻すという直接的な感じがしますので、一日も早く赤ちゃんの顔がみたいという患者さんの焦る気持ちはよくわかります。

しかしながら、状況がよくないときには繰り返しても同じ結果となってしまうことがよくあります。今回の症例でもご本人に半年は高度生殖医療はお休みしては・・・というアドバイスを何度かさせていただきました。

ちゃんと排卵して卵が出てきている。その上でもう一歩の卵の質が問題という場合は、年齢が35歳以下のケースならば半年はカラダ作りに専念する方が、結果として経済的にも、ご自身の肉体的にも負担が小さくスムーズだと思います。

今一歩がなかなか遠い。それが不妊治療なのかも知れません。