カテゴリー : 不妊・婦人科の症例集 30代後半 不妊 流産 一般の症例集 胃腸・便通

冷え性からの、残尿感、腰痛、不妊、流産(38歳出産)

概要

寒い、冷えるという身体を温める力が不足し、妊娠するも化学流産につながってしまうという訴えです。残尿感、腰痛なども気になります。鍼灸治療で無事に妊娠、出産なさいました。

(この症例の弁証論治→不妊 腰痛 冷え性 弁証論治
【case:0100】

ご相談内容

もともと強い冷え性で、中学校の頃は寒さでプールに入るのもイヤなほどでした。

便秘がちで7日に1回ぐらい出ます。そして便秘を繰り返した後には下痢をします。残尿感がいつもあり、座っていればいつまでも出る感じです。病院にも受診していますが状況はかわりません。夜間尿も必ず1度はあります。寝る前は立て続けに3回ぐらいトイレに行きます。寝つきも悪く寝起きもよくありません。夢をよくみます。3、4年前から疲労が残ることも多くなりました。

不妊治療の一般検査は問題はありませんでした。自己抗体が普通の人よりも高いようです。タイミング指導を5回受け、人工授精を3回しています。2回妊娠しましたが、2回とも化学流産となってしまっています。どうしたら妊娠し、しっかりと継続できるようになるでしょうか?

東洋医学的診立て

東洋医学の世界では、一人の、丸ごと一つの生命の流れをみていきます。そしてよく診るために5つの肝心脾肺腎という観点からみていきます。

○○さんの場合は、中学時代から身体を温め養う(温養といいます)腎の力が不足していました。この腎の力は、生命力の源、身体をしっかりと下支えする力です。腎の力不足が、全身のだるさや、疲労感につながりますし、また腎の問題は下半身の問題とつながりやすく、尿に問題がでやすくなったのでしょう。

結婚後、体重が増えることができたのは、脾(胃腸の力)の力はそれなりにあったので、身体を充実させることができたためです。妊娠することが出来たのも脾の力により気血がそれなりに生成されていたためです。しかしながら、充実した身体を下支えする腎の力が弱かったために、妊娠が継続できない状態にありました。

また増加した体重を支えるにはしっかりとした腎気が必要です。腎気が不足気味であったため、体重を支えきれず、ふくらはぎの違和感や股関節の問題が出現しました。身体の気血は滞りが強くなり、生理の血に塊が混じりやすくなるという新たな問題の出現へともつながっています。

いま、この『妊娠することは出来る』という時点で、しっかりと生命を下支えする腎気の力をつけましょう。腎気がしっかりしてくれば、しっかりと子宮を支え、養い、せっかく成立した『妊娠』を継続する力がはぐくまれます。また、体重が増え充実してきた身体を支えることもできます。尿の問題、股関節の問題なども解決していくことができるでしょう。

また、いまの時点は、生理の血に塊が混じるなど、新たな問題が生じ始め、妊娠そのものが成立しづらくなる悪循環へと陥いる可能性をも感じさせます。いま、この時点がとても大事な時期です。しっかりと養生していきましょう。一緒にがんばりましょうね。

東洋医学的弁証論治
弁証:腎虚を中心とした気虚
論治:益気補腎
治療方針:もともとの腎虚を中心とした気虚がきついため、いろいろな症状をだしているが、腎気の底上げをし、生命力を高めることを中心としていく。