カテゴリー : 不妊・婦人科の症例集 40代 二人目不妊

20回以上の採卵周期、二人目出産(44歳出産)

治療経過

37歳 ビッグママ治療室初診。
38歳 一回目の体外受精にて妊娠。妊娠中も鍼灸治療を継続。無事に出産。
40歳 自然妊娠ー化学流産。再度体外受精を始める。1回目の採卵の凍結胚を移植しても妊娠せず。その後3回の採卵をおこなう。
2回目採卵ーG2移植ー化学流産。
3回目採卵ー2個ー分割受精せず、1個ー6日目胚盤胞ー凍結ー次周期の移植ー妊娠せず。
4回目採卵ー移植できる卵にならず。この1年でFSHが13から26近くにあがってしまい、それにつれて採卵しても良い状態にならない。また採卵周期キャンセルも5、6回ある。

42歳 ビッグママ治療室再初診。Yクリニックへ転院ー『厳しい状態』と言われる。
11回目採卵周期ー3個空砲だった。
13、14回目採卵周期ーキャンセル。
15回目採卵周期ー4個採卵ー2個空砲。桑実胚を移植ー妊娠出来ず。拡張胚盤胞で1個凍結。
16回目採卵周期ー卵見えず、キャンセル。
17回目採卵周期ーキャンセル。
18回目採卵周期ー2個採卵、1個空胞。1個3日目胚で凍結。
19回目採卵周期ー胚盤胞で凍結。
20回目HR周期にて移植ー妊娠。

あとがき

治療経過への考察
無事に二人目のお子さんも出産なさり、本当によかったなあと私も嬉しい気持ちで一杯です。

一人目の妊娠ー出産が体外受精の介入でうまくいったことにより、二人目の問題解決も体外受精によってスムーズにいくのではないか?とご本人が思われたことは当然だと思います。しかしながら、子育てをしながらの不妊治療は予想以上に体力的な問題をひきおこし、妊娠するも化学流産、そして卵の質そのものの低下ということにつながったのだと思います。

この状況は、なかなか厳しいです。子育てをしながら、年齢要因と体力アップを願うというのは難しい。そのなかを、ご本人の『二人目の子供が欲しい、兄弟が欲しい』という切なる願いとご努力で無事に二人目を妊娠、出産なさいました。20回に渡る採卵周期への挑戦、そして鍼灸治療、食事のことなど色々な状況を改善しての妊娠となりました。

一人目の妊娠があっけないほどスルリと展開しています、これはその前に1年程鍼灸治療にて体調を整えたことも良い影響を与えたのではないかと思われます(このときは自然妊娠をという希望でした。半年程で自然妊娠が成立しなかったので、年齢要因も加味し体外受精への挑戦をお勧めし、妊娠ー出産となりました)。

二人目への挑戦は、子育てもあり、体外受精の治療を先行されました。2年程たっても妊娠が成立せず、FSHも上がってきてしまったということで当院受診されています。

治療経過を拝見していて、惜しいポイントは2つあったと思われます。ひとつは、40歳の時に自然妊娠が成立している体調のときのことです。残念ながら化学流産になっていますが、ここでもう少し体調を整えていたら妊娠の継続ができたのではないか。そして38歳の時の凍結胚を移植するときにも、よい結果につながったのではなかったかということ。このときの判定日ではHCGが18と出ています、この方の他の化学流産での数字のなかでは一番高い数字です。たぶんもう一息ご本人の状態がよかったら上手く妊娠ー出産出来たのではなどと思ってしまいます。

そして再開して一番はじめの採卵周期も、すんなり拡張胚盤胞で凍結出来ていますので、このあたりがポイントで、なんとか体調を整えておけばと思わずにはおれません。このタイミングを逃してしまい、不妊治療による身体への負担と、年齢要因のためFSHの上昇となり、なかなか妊娠につながらないという状況となってしまいました。

しかしながら、ご本人の頭の下がるばかりの地道な努力で、子育てで忙しい中、体調を回復され、年齢要因との追いかけっこをしながらも無事に妊娠へとたどりつきました。