カテゴリー : 不妊・婦人科の症例集 30代前半 不妊 婦人科

左右共にある卵巣嚢腫、鍼灸をはじめて1ヶ月で自然妊娠(31歳出産)

概要

1年余り自分たちでタイミングをとり、病院にも通っていますがなかなか妊娠しなかった症例。BMI18.5、卵巣嚢腫が左右ともあり、生理周期も不規則で妊娠できるか不安。鍼灸をはじめて1ヶ月で妊娠。

(この症例の患者さまの声はこちら→「妊娠中の鍼灸治療の満足度に関するアンケート」8-1
【case:0203】

ご相談内容

なかなか妊娠できずに悩んでいます。結婚してすぐに子供が欲しいと思ってタイミングをとっているのですが、上手く行きません。病院にも通い、検査などもしてもらったところ、卵巣嚢腫が左右ともあるとわかりました。

生理周期も長めで、ここ最近は38日、36日、37日、33日、46日といった感じです。引っ越して神奈川県にきて、誰も知り合いがいないし、なんだかどうしていいのかもわかりません。

結婚したぐらいから足や肩が痛みます。病院にいったら、首はヘルニアのなりかけのような状態だと言われました。どうしたら妊娠できるのでしょうか?

東洋医学的診立て

お子さんがなかなか授からずに悩んでいらっしゃるのですね。お知り合いがいないこの土地で、ご主人は忙しく、とても寂しいですね。この小田原は風光明媚、河原の散歩も楽しいですよ。早く妊娠するのも大事なことですが、せっかくきた小田原をもう少し楽しんでみるのもよいのかもしれませんねえ。

さて、妊娠に関する課題ですが、病院にて

・左右の卵巣の卵巣嚢腫
・フーナーテストOK
・通水検査OK
・一般不妊検査、大きな問題なし

上記の点を踏まえると、年齢が若いこともありますし、西洋医学的な治療をあまりあせっても仕方がないと思います。病院のドクターが仰るとおり、もう少しお二人でタイミングをとることを中心として、体調をあげるようにしてみてはいかがでしょうか?

東洋医学的なお身体の問題としては、

・舌にオ斑があること
・首(大椎付近)に細絡があること
・少腹急結があること
・卵巣嚢腫があること

以上のことから、血の道の滞りであるオ血という状態であるとは思います。しかしながら、オ血の問題よりも

・体重がBMI19.5以下(現在18.4)
・食事の内容がタンパク質不足
・舌に歯根がある(全身の生命力不足)
・皮膚が薄い(全身の生命力不足、表面、末端にまで気血が行き届いていない)
・臍の引き(全身の生命力不足、くくりの力が弱い)
・神門硬結(ストレス状態)

上記のように、身体全身のパワーが足りず、そのためにストレスも起こしやすい状態です。生命力が足りないので、何かが滞ると、それが長時間停滞しがちになり、オ血という状態になっていると考えられます。

つまり、オ血の課題である血の道を整えたり、卵巣嚢腫などを大きな問題と考えるよりも、まず、全身の生命力をあげることを主眼として、その結果、オ血が解消すると思いますし、妊娠も期待できると思います。

30才、若いです。あせる気持ちはよくわかりますが、小田原の山、海を眺めて、少し深呼吸しましょう。お魚、肉、野菜、ご飯も食べて、いまの時間を楽しんでいただければと思います。

東洋医学的弁証論治
弁証論治:気血両虚 肝鬱瘀血
治療方針:脾気をあげることを中心とし、全身の生命力に余力をつける。オ血や気滞の解消は、中心の課題とはしない。体重がBMI19.5を越えても妊娠が成立しない、あるいは半年たっても妊娠しなければStep upも検討する。

治療経過

初診:右外関ー右臨泣 大巨(ST27)、関元(CV4)、三陰交
肺兪、胃兪、腎兪(BL23)、次髎(BL32)

2ヶ月後、生理がなかなかこないので病院へ、妊娠。
30wにて里帰り出産のために帰省

あとがき

卵巣嚢腫があることをとても気になさっていましたが、結果的に大きな問題とならず、体調をあげることでストレス状態の解消ができ、スムーズに妊娠されました。

頭で考えていると、混迷してしまいますが、案外、ご自身の体調をあげることが解決につながることも多いです。