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二人目不妊、医療介入なしで自然妊娠(40歳出産)

概要

39才の二人目不妊。37才の時に自然妊娠しているので、病院などに通わずに自然妊娠を希望。無事に妊娠出産。

(この症例の患者さまの声はこちら→「妊娠中の鍼灸治療の満足度に関するアンケート」13-2
【case:0220】

ご相談内容

39才です、早く二人目を授かりたいです。

37才の時に第一子を自然妊娠で授かり出産しました。現在39才ですが、不妊治療などはせずに、自然な形で第二子も授かりたいと思っています。

39歳 152㎝ 48kg(あまり体重の増減はない、ピルを飲んでいたときは50kgぐらいだった)

20代のころから、生理痛が重く、低容量のピルを長く服用していましたが、35歳の頃に肝機能が悪くなり中止しています。

普段の状態

  • 秋や冬に体調が悪い。風邪を引きやすいと言うことはない。食欲は普通、食事は規則的だが、子供と一緒なのDHEA絵早食いになりがち。食事はおいしく、空腹感もある。子供と一緒に完食が多い(体重の増減はあまりない)喉や口が渇くこと、苦いこと、違和感などないお酒はほとんどのまない、たばこも吸わない。
  • 便通は1日1回でスッキリです。良好。
  • 小便は1日10回ぐらい、時々残尿感があり、夜トイレに起きる。寝つきは普通、寝起きも普通、疲れが残ることがよくある。

婦人科の状況

  • 20代から30代前半、生理痛がひどくて低用量ピルを服用。肝機能の悪化で中止。
  • 初経は14歳、28日型で定期的、生理痛がひどく二日目三日目がつらい。
  • 生理の高温期にイライラしたり非常に身体が冷える。顔にブツブツができ、やたらと甘い物が食べたい。出産は順調、母乳も良く出た。産後おおきな体調はなかったが、生理の終わり頃から頭痛がするようになった。

東洋医学的診立て

早く第二子を授かりたいというご希望ですね。確かに年齢的に39歳ですので、妊娠も少ししにくい状況ではありますが、第一子もスムーズに自然妊娠していますので、同じように自然な妊娠になる可能性は高いと思います。

年齢要因的に子供を授かる可能性の期間が限定されているということもありますので、基本的なチェックは行う必要はあるとは思いますが、このあたりもご夫婦の考え方でよいのかなと思います。

お身体を拝見していくと、お腹のツボである:中注(KI15)、気海(CV6)、関元(CV4)といったご本人の生命力を表すツボが抜けています。

背中のツボ:厥陰兪(BL14)から心兪(BL15)の陥凹、上背部の細絡。胆兪(BL19)、胃兪(BL21)、と言った経穴、三焦兪(BL22)も少し陥凹がみられます。また次髎(BL32)や骨盤経穴は動きが悪い感じです。

手の経穴:列缺(LU7)という全身をともす灯りを判断する経穴のかげり。合谷(LI4)、外関(TE5)と言った経穴のかげり、陽池(TE4)の冷えなどあります。

足の経穴:大都(SP2)公孫(SP4)に冷えこそげ、右の臨泣つまり、三陰交(SP6)奥に冷え、足三里(ST36)陥凹、陰陵泉(SP9)ゆるみ、だいたい胆経突っ張りなどがあります。

全身の力を表すツボがお腹の経穴を中心に抜けがはっきりしていること。列缺(LU7)の陰りなど、生命力を灯りを示す経穴の陰りがあることなど、全身の気虚がうかがえることと、足を中心として末端の冷えがきついこと、心下の詰まりなど気の滞りが強い可能性が高く、季肋部には細絡があり、舌裏の怒脹、上背部の細絡、生理痛が重いこと卵巣の腫れなどがあることから、東洋医学でいうところの血の滞りの可能性がうかがわれます。

全身の気虚があるために気血の巡りが悪く、気の滞りが血の滞りをよび、悪血を生じている可能性があるのではないかと思います。産後に生理の後半から頭痛がするようになっているのも、素体の力がおちているために、高温期の維持が少し身体に負担となっている可能性がうかがえます。

早く二人目を授かるために

  • 第一子も自然に授かっています。年齢要因も気になりますが、お身体の状態をもう少しupさせて、自然妊娠を望むというお二人の考え方は選択としてありだと思います。ただし、鍼灸治療を始めてから半年程度を目安に、妊娠が成立しない場合は基本的なチェックは受けてもいいのかなと思います。
  • 産後に少し生命力を落としてしまっていることが気になります。第二子は第一子を妊娠した時の体力を取り戻せると自然にやってくることが多いです。食事に少し注意を払い、第一子妊娠時の体重までは増えても良いと思います(+2kg)
  • 身体に力が入りやすいタイプです(肝鬱)、リラックスすることを心がけ、気血の巡りをよくしていきましょう。また足の冷えに対して、上部ののぼせが出やすいタイプです(上実下虚)。妊娠は下焦(下腹、足腰)の力の充実が大切です。鍼灸治療に加え、セルフケアも取り入れていただけるとより妊娠が早いと思われます。
  • 手足の冷えがきついこと、血栓ができやすいのではと思われる家族歴がありますので、妊娠初期が要注意だと思います。手入れをしっかりとしていきましょう。

東洋医学的弁証論治

弁証:腎虚肝鬱瘀血
論治:益気補腎 疏肝理気、活血化瘀
治療方針:腎気をあげ、全身の気虚を救うことを中心とする。適宜肝鬱を払うことで気血の巡りをよくし、オ血の阻滞とならないようにしていきたい。

治療経過

初診:
中注(KI15)、気海(CV6)、関元(CV4) 温灸
左外関(TE5)、左陽池(TE4)、三里三陰交(SP6)、左公孫(SP4)(鍼してお灸)
左胆兪(BL19)、右胃兪(BL21)、三焦兪(BL22)、次髎(BL32) 鍼して温灸、お灸。

セルフケア:中脘(CV12)、気海(CV6)、関元(CV4)、三陰交(SP6)

3ヶ月後:妊娠成立
妊娠の経過について:第一子が早産だったことや、妊娠初期に少し病院では成長が遅めといわれたことから、鍼灸治療の頻度をあげ、しっかりと子宮血流を出すようにしていく。

つわり、むくみ、貧血などもあるが、無事に経過
正規産で無事い3000g弱の元気なベビちゃんを出産

患者さんからの報告

こんにちは。年末に無事3000g弱の赤ちゃんを出産しました。いまは里帰りで実家に甘えております。小田原に戻った時にはまたお世話になる事があるかもしれませんが、その時はよろしくお願いいたします!

ビッグママから

無事の出産おめでとうございます。

妊娠初期はいろいろと不安な状態にもなりましたが、あのときにしっかりと鍼灸の手入れやセルフケアをなさり、がんばったことが、しっかりとした胎盤につながり、無事の十分な大きさの赤ちゃん出産につながったと思います。よかったなあとしみじみ思います。

お写真、なんか風格がありますねえ。二人目の子供ってあっという間に、動き回り、走り回り、飛び回り大変だとは思います。私もいま3人の孫と格闘、振り回されています。楽しい育児タイムになると思います。がんばってくださいね。

なお、体力がなくなって大変だ〜と思ったら、一歩先手を打って身体をいたわってあげてください。子育てが忙しいと自分のために時間を取ることが難しいとは思いますが、もしご主人のご協力を得られたら治療にいらしていただくのもよいですね。

また十全大補湯という漢方薬が授乳中でも飲める身体の力を補う漢方薬として有名です(ドラッグストアでも手に入ると思います)実際に服用するならば、薬剤師さんなどに相談していただければとは思いますが、年齢高めの出産、育児は思ったよりも体力をもっていかれます。少し先手で手を打っておくのがよいかなと思いますよ。がんばってね。

十全大補湯についてはこんなご意見もあるようです。ご参考まで。

「“おっぱい育児”をサポートする漢方薬」(phil漢方 No.75より)
https://www.philkampo.com/pdf/phil75/phil75-13.pdf

あとがき

二人目不妊のコツ

年齢要因がある二人目不妊の場合、焦るお気持ちよくわかります。
今回のケースも39才と年齢が高めですが、ご本人が一人目も自然妊娠だったこともあり、はっきりとお気持ちが決まっていたので、無駄な体力をつかわずに治療に集中出来たなと思います。

二人目不妊は一人目と同じ方法で授かるケースが多い

二人目不妊は一人目と同じ方法で授かるケースが多いです。
つまり、人工授精で授かった方は人工授精で。
体外受精で授かった方は体外受精で。
自然に授かった方は自然で。

そんな原則はあるように思います。ただ、産後に生命力を落としてしまうと、医療介入をしても妊娠そのものの成立しにくくなります。

この場合、二人目不妊ということで年齢要因が気になりますが、急がば回れということになります。

この年齢要因があると、妊娠を早く、早くとあせり、病院へすぐにいかねばと思ってしまいますが、過去の妊娠、出産の経験がある場合は、病院での治療が必須ではないケースが多いです、また逆に病院での治療で解決出来る課題が不妊の課題に直結していないケースも多いですね。一人目を自然妊娠出産、二人目がなかなか授からないといって、体外受精などおこない、良好胚を移植しているのに妊娠しないというお悩みは良く候います。

第一子の妊娠まで体力を戻すこと。現在の妊娠しない要因がどういったことなのかを考え、ご自身に必要な努力をしていただけたらいいと思います。

今回のケースは39才という年齢要因がありますが、ご希望同理の早めの自然妊娠がやってきてくれて、本当によかったなと思います。

年齢要因があると、妊娠を早く、早くとあせり、病院へすぐにいかねばと思ってしまいますが、過去の妊娠、出産の経験がある場合は、病院での治療が必須ではないケースが多いです。

第一子の妊娠まで体力を戻すこと。現在の妊娠しない要因がどういったことなのかを考え、ご自身に必要な努力をしていただけたらいいと思います。

ご希望同理の早めの自然妊娠がやってきてくれて、本当によかったなと思います。