カテゴリー : 不妊・婦人科 コラム

不妊治療を終えるとき

1-3)体外受精は答えにならないケース

二人目不妊の方を拝見していて、体外受精が解決してくれているのは、ピックアップ、受精が中心で、妊娠そのものをフォローしているのではないのだなということを実感することがあります。

 あるAさんのケース、一人目を39才自然妊娠出産。その後41才から二人目妊娠を希望するも妊娠せず。42才から体外受精をスタート。よい受精卵ができ移植するものの妊娠出来ず(7回のIVF)。43才の終わり頃、お正月休みのタイミングで自然妊娠、44才で出産。

 自然妊娠をしているのですから、よい受精卵を戻したらスンナリと妊娠しそうだとは私も思います。でも、妊娠って、キャッチや受精の問題が解決されてもなんらかの『ご縁』がないと成立しないものだと言うことはつくづく感じることがあります。

不妊治療において、高度生殖医療は、確かに大きな力です。でも、高度生殖医療をしないことイコール妊娠が望めないではないという当たり前のことを最近私たちは忘れているのかも知れないですね。ここまでやってダメならば無理だろうと考えちゃいますよね。

高度生殖医療イコール不妊治療でしたら、やはり医療としての限界や分岐点はあると思います。これを生命の流れの中での不妊治療と考えると、妊娠する、しないという問題そのものがあまりポイントを置くところではないと感じることがあります。

私は、身体が伸びやかで軽く気持ちよくなる、その人の人生の文脈を充実して生きていけるようにすることを治療齲目標にしています。そしてこのなかで妊娠がスムーズに乗ってくれればその文脈でのフォローになりますし、妊娠のご縁がなくても、その人の人生の文脈をよりよく生きるためのフォローにはかわりはありません。

卵が先かニワトリが先かになりそうですけど、気持ちよく生きるために出来ることをしてみましょうよと思います。

妊娠、確かに大きなテーマ、大きな願い。
それでも、私はいま、このとき、この時間を幸せに生きていられる様にと願うのです。
だって、それでも私たちは生きているのだから

1-4)体外受精の進め方、やめどき

1つのクリニックで採卵3回。これで上手く行かなければ一度は転院を考えてもよいのかもしれません。体外受精は1回で結論がでる治療ではありません。ある程度は同じクリニックで挑戦しなければ、同じ事の繰り返しになり、なにをやっていいのかわからなくなります。

年齢別に考えてみましょう。
30代前半の方
 タイミングや人工授精が自分にどの程度効果的なのかを考えながら、治療を進めていきましょう。少し治療に疲れてしまったら、1年ぐらい休んでもいいかと思います。このときに、ご自身の不妊治療が進まない原因を考えてみるのもよいかと思います。ご自身にとってどのように考えたらよいのかと言うことを整理する意味でも不妊カウンセリングを一度受けてみるのもよいかと思います。

30代半ば~後半の方
 ここが頑張り所。とにかく体外受精を先送りしないことは大事です。ただ、採卵をして、卵そのものの状態が悪い、受精卵の状態が悪いと言うときには、むやみに治療を重ねても費用ばかり嵩んで前に進まないこともあります。体外受精の治療はきっちりと進める意思を持ちつつ、身体作りの必要性も検討しましょう。むやみに急いでも仕方がないので、治療に対して少し引いたしてんで全体を俯瞰して、必要順位を考えて前にすすむことが大切です。

40代の方
 自分の時間をいかに効率よく使うかがポイントです。生殖医療には凍結技術もありますので時間稼ぎもしながら、スマートで技術力のあるクリニックを選び不妊治療を進めると共に、身体作り、生活の見直しなどもしていきましょう。