カテゴリー : 講演記録

2009年 徳島講演『不妊!大作戦』—攻めと底上げの二重作戦—

西洋医学的不妊治療

『不妊の定義』

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『不妊』とは?
赤ちゃんが欲しいと思っているのに授からない状態

不妊の6大検査

基礎体温のチェック
経膣超音波診断
精液検査
子宮卵管造影(HSG)
頚管粘液の検査
フーナーテスト(性交後テスト

→決定的な要因がないか押さえておく

1)基礎体温の測定
基礎体温は、体のホルモン状態を中心にコンディションを知る、一番わかりやすくて、手軽で、最も基本的なデータです。

毎朝目覚めたときに、起き上がらない状態で測定する体温のことで、「基礎体温表」などに記入してグラフ化していきます。基礎体温表は、パソコンなどでダウンロードする一ヶ月ごとのタイプよりも、薬局などで購入する、半年ほど一覧できるタイプのものが、わかりやすいので、おすすめです。

基礎体温には低温相と高温相があり、それぞれが2週間づつのサイクルで交代していくのが、理想的な排卵周期となります。

低温相と高温相の体温の差は0.3℃以上で正常といえます。生理周期が規則正しい場合でしたら、数周期の基礎体温をチェックすることによって排卵日を予測をし、妊娠の確率が高い日に性交のタイミングをとることができます。

また、高温期が10日未満の場合は、黄体機能不全の有無を究明するのにも役立ちます。

参考:黄体機能不然の診断基準(不妊治療ガイダンスより)
 高温相持続 9日以内
 高低の温度差 0.3度以内
 子宮内膜の熱さ 8ミリ以内
 プロゲステロン 10ng/ml未満

2)経膣超音波診断
不妊治療で最も多く使われる診断法の1つですね。毎回の内診でも必ずといってよいほど利用されている場合も多いと思いますので、なじみがある方も多いと思います。

膣内に親指程度の太さの超音波プロープ(超音波断層装置)を挿入し子宮内膜や卵胞をテレビモニターに映し出してその様子を観察します。卵胞の大きさなどから、排卵日が推定できるため、以後のさまざまな検査の判断材料として利用されています。また、経膣超音波診断により子宮筋腫、子宮腺筋症、卵巣嚢腫などの診断もされることがあります。

3)精液検査
精液検査男性不妊は不妊原因の約40%と高い確率を占めているので、精液検査はとても重要です。

実際には、精液を採取した後、精子の数、運動の状態、その形などを顕微鏡を使って詳しく調べます。

WHOの基準があります(1999年)
 精液量 2ml以上
 精子濃度 1ml中に2000万個以上
 精子運動率 前進運動精子50%以上、または高速直進運動精子25%以上
 正常形態精子 30%以上  
 生存率 50%以上
 白血球 1ml中に100万個未満
 イムノビーズテスト 50%未満の結合性
 MRAテスト 50%未満の結合性

精液検査、いやがる男性も多いですね。

以前に、女性の検査ばかり進み、タイミングの治療などもしていたのに、なかなか妊娠せず、調べてみたところ、重度の男性不妊であったケースがありました。
 
精液検査をいやがるご主人と大げんかになり、不妊治療自体が進まなくなってしまったというお悩みを受けたことがあります。男性は精神的に案外デリケートな方が多く、いやがるものを無理矢理とか、『男性も検査を受けるのが当たり前』と強く出て、大げんかというのも、本末転倒な出来事だと思います。

ただ、万が一、精子が一匹もいなかったり、精子が自然妊娠レベルに達していなければ女性側だけの検査や治療が意味のないことになりますね。どうしても検査をいやがるご主人の場合、フーナー検査などで精子がある程度良好な状態で存在することだけは確認しておくことが、精液検査をいやがるご主人を持った方の初めの一歩ではないかと思います。