カテゴリー : 講演記録

2009年 徳島講演『不妊!大作戦』—攻めと底上げの二重作戦—

4)子宮卵管造影(HSG)
生理あとにおこなう、X線による検査です。超音波下でおこなわれることもあります。卵管の通過性をみておくことは、自然妊娠の可能性について大きな答えが得られますので、必要不可欠な検査です。また、子宮の形状やポリープの有無、卵管周囲の癒着の有無など多くの情報が得られます。場合によっては、通水テストや通気テストで代用することもあるようですが、子宮卵管造影の方が診断性が優れているといわれています。

また、この検査のあとに、妊娠するケースもあるなど、検査と治療を兼ねていると言われる場合もあります。

私はいままで、卵管造影を2回、3回と行い、完全閉塞しているので、IVF-ET(体外受精ー胚移植)受精しか選択肢はありませんと言われ、『体外受精のための身体作り』をしている間に、自然妊娠なさったという症例を複数経験しています。

鍼灸の初診から数ヶ月で自然妊娠され、無事にご出産なさいました。緊張しやすい人は、普段から卵管が閉塞した状態になりがちだったり、造影の時により緊張して閉塞状態になるのでしょうか? 完全に閉塞しているかどうかというのは、腹腔鏡を用いて、染料を流し実際に通してみると言う方法が用いられるようです。

『卵管閉塞』というと、手術療法や、IVF-ET(体外受精ー胚移植)しかないと言われます。実際に、時間を無駄にしないためにも、それが最良の選択肢である場合がほとんどなのでしょう。しかしながら、時間が許せば、身体作りをかねて、IVF-ETの前に半年ほど鍼灸治療を受けてみて下さい。ポロッと妊娠することがあるかもしれませんし、身体作りはその後のIVF-ETにきっと役立つことでしょう。

5)頚管粘液の検査
精子は、子宮頚管を通り、子宮腔内まで達していきます。頚管粘液は精子の通り道として重要な役割を果たすため、量や性状とても大切であると考えられています。またプロゲステロンが上昇すると頚管粘液の量が急激に減少します。プロゲステロンは基礎体温を上昇させますので、体温があがってきたら、頚管粘液も減少し、自然妊娠しずらくなるとも考えられます。しかしながら、面白い表があります。(不妊治療ガイダンス65ページより)

基礎体温の最終低温日を0とします。

-1 頚管粘液のピーク
0 基礎体温最終低温日
1 20%が排卵
2 30%が排卵(排卵のピーク)
3 20%が排卵
4 15%が排卵

つまり、基礎体温の最終低温日の前日が頚管粘液のピークです。そして、ピークから3日後が排卵のピークであり、4日後でも20%も排卵するということです。

『伸びるおりものが出たから排卵だ、タイミングだ!』とか、『基礎体温が一番下がったから排卵』というお声をよく伺うのですが、だいぶ違いますね。最終低温日から4日後に排卵というのは、イメージを持っていなかった方も多いと思います。

『伸びるおりものがでて4日後が妊娠しやすい』という言葉を聞いたことがありますが、これらのことをおっしゃっているのかと思いました。(私は4日後よりも3日後ぐらいかなと思いますが、とにかく、伸びるおりものがでて直ぐではないということですね)。

また、排卵検査薬はLHのサージをチェックすることができます。LHはサージのはじまりから1日半ほどしてピークになり、1日ほどして卵胞が破裂すると言われています。

ご自身で基礎体温を計測し、体温表に頚管粘液の状態と、排卵検査薬の情報を書き込んでみましょう。より正確にご自身の排卵タイミングがつかめるのではないかと思います。

6)フーナーテスト
医師から排卵日頃を指導してもらいタイミングをとり、性交後の頚管粘液に精子が進入しているかどうかを調べる検査です。

運動性のよい精子が沢山進入していれば、妊娠の可能性が高いと考えられます。

頚管粘液の中に見られる精子は良好形態のものが多く、その運動性も高いことが確認されているからです。逆にいえば、フーナー検査が良好なのに、なかなか妊娠しないということは、卵管などの要因(卵管の閉塞や、キャッチアップ障害など)がある可能性が高いとも判断できます。

精子の進入があっても、運動性が悪い場合は、抗精子抗体がある可能性が考えられる場合があります。

精子の状態は日によってかなり違いますので、複数回行うことが必要です。

また、子供のいる夫婦の場合でも、20%ほどはフーナー検査が不良であったというデーターもあります。

フーナーテストの判断基準
(400倍視野当たりの運動精子数で判定)

優 15個以上(妊娠率が高い)
良 14-10個(妊娠が充分期待できる)
可 5-9個 (妊娠が期待できる)
不可 4個以下(妊娠率は低い)