カテゴリー : 講演記録

2010年 山下湘南夢クリニック ゲスト講演『不妊と鍼灸治療』

身体作り

睡眠:お肌の綺麗になると言われている時間は卵巣にとってもとても有難い時間です。10時から午前2時までの睡眠は宝になります。

運動:足腰を使う運動が最適です。いわゆるエアロビクス的な心肺運動を指すのではなく、歩くことを中心に、しっかりとした土台作りを目指します。

お灸:毎日、ご自宅でお灸による身体作りをしましょう。続けることでとても大きな効果をもたらします。

食事:間食をさけ、美味しく頂くことを心がけましょう。『何か良いものは?』と探し求めるよりも、日々の心のこもった食事を頂くことが一番だと思います。極端にタンパク質を制限したり、大豆製品の取りすぎも身体にかえって負担となる場合があります。極端をさけ、楽しくいただきましょう。

赤ちゃんと出会うために

我が子に会いたいという気持ちは誰もがもつ素直な感情です。

一生懸命我が子に出会うための旅をなさる皆さんの

負担が少しでも軽くなるように、

一日でも早く出会えるように、

明るい気持ち、楽しい気持ちを持ち続けられるように、

そんな応援の気持ちでいつもいます。

こうのとりは気まぐれで、待つ時間は長く切なく辛いものかもしれません。

私の師である伴先生が、そんな皆さんに『待つ時間を過ごすための暝想法』を教えてくださいました。ぜひ、お試しください。少しでもお力になれればうれしいです。

待つ時間を過ごすために

考えるということはとても精力を使うことです。根気が必要なんですね。この精力とか根気というのはどこから来ているのかというと、腎に貯められている根本的な力から来ているわけです。

腎気がしっかりしていると、しなやかで正確な思考ができますけれども、腎気が弱ってくると、根が腐った樹のように不安定なひねくれた考え方になったり、そのような根をがっちり固めようとするために頑固になったりします。

このような時は、考えるということを休むという方法を取り、腎気を休めることが建設的です。けれども、人間の不思議と申しましょうか、このような時は、まるでチベットの山奥で強い寒風に吹かれてからからと激しく回る風車のように、根のない思考が頭の中をめぐってしまいます。考えないようにしようと考えると、どうすれば考えないことができるのだろうと考え、考えを止めるにはどうするかなどと、禅の本を読み始め考え込んでしまうわけですね。

まさに思考というのは、人間の特徴であり、その人生の健全なあり方に対して、両刃の剣となるものです。

そこで、考えを止める方法の一つを提案しておきます。

それは暝想をするということです。暝想というと何かおどろおどろしいものですが、ここでお薦めするのはとても単純なことです。それは、「身体の声を聴く」ということです。自分自身の身体と対話してみるわけです。

まず、その声を聴きたい部位を選びます。痒いところ痛いところなどは、すでに身体がその声を発しているわけですから、そこにある思いに耳を傾けていきます。思い当たらなければ、身体の中心である臍下の奥の丹田(女性であれば子宮)を選ぶとよいでしょう。

その身体を得、その身体を使った時のことなど、ゆっくりと思い起こして、小さな声も聞き逃さないように、深く深く心を澄まし、ゆったりと耳を澄ましていきます。そこにある、悲しみや、喜び。重さや、広がり。を感じ取ります。

人は、一つの、宇宙です。その、宇宙の、中の、宇宙の、一部の、一点の、声を、聴いていきます。

全身の力みを抜いて、その部位に耳を傾けます。横になってもかまいません。ゆったりと、ゆっくりと、こころをほぐしながら、よりよく聴けるよう、耳を澄まし続けます。

その、小さな、声を聴き逃さないよう。心を込めて、さまざまな角度から、その声に耳を傾け、聴き続けます。

怒りがあれば、悲しみが裏に必ずあります。その悲しみは何なのでしょう。理解されなかった悲しみ。乱暴に扱われた悲しみ。喜びの表現を無理に押しとどめられた悲しみ。

この怒りが、堅い塊となって、人の筋肉によろいのように巣食い、自分自身のやわらかな心をまもろうとしています。けれどもそれが、実は、心を閉ざす基になったり、人とのさらなるいさかいの原因になったりします。

そこにあなたの愛を注いでみましょう。あなたの小さなものをいつくしむ心を、自分自身の悲しみに注ぎ込みます。感情があふれてきたら、それを押し止めずただ流します。ゆったりと大いなる宇宙にまかせきって、すべての思いを流していきます。

ありがとうございました。