【訳者私見】
口鼻からの出血でも、心配のいらないものもあり、深い病態のものもあるというこ
とを述べています。
単に体の中の余分な熱があふれ出ただけであれば、お椀に一杯吐いても大丈夫と。
陰虚によるものは、治しがたしと。
また、当然、腎よりの出血と考える、唾血、喀血も治しがたいのでしょう。
曲沢、神門、魚際。これは手の少陰心(神門)で血を引き、手の太陰肺の火穴で熱
を納め、手の厥陰心包の合穴で逆気を納めという発想でしょうか?かなり直接的な
配穴だと思われます。出血を熱があふれることと考えているのでしょう。
嘔血は、太淵、長強。督脉を動かして上逆している邪熱を納めようという発想で
しょうか?。
胃から出血する吐血に対して、前谷、上脘、丹田、隠白、脾兪、肝兪。
前谷は、手の太陽の栄穴であり、清熱散表の効果が期待できます。
上脘丹田で、脾腎の虚を補い、隠白脾兪で脾気をたて、といったところでしょ
うか?。丹田を用いるのは、上逆を押さえようという発想かもしれませんね。脾気
をたてることが全般的な目標であり、また肝兪で、血を納めるのでしょうか?。
鼻血には(言意)(言喜)、二間、三間、風府、委中、合谷とあります。
陽明大腸経の二間、三間、合谷と続きますね。このあたり反応(熱)のあるところ
を取穴し、風熱を納めるという発想と、理気しようという発想でしょうかねえ。風
府、委中、合谷の組み合わせも、風熱をおさめるといえるでしょう。また、合谷は
四総穴のひとつであり、”面目は合谷におさむ”という声もありますね。(言意)(言
喜)は反応でしょうか?。
(亥欠)血には肝兪、太淵、咳による出血なので、肝は血を蔵すという発想から、血
を納める作用を肝兪に期待しているのでしょうか。また、太淵で肺気をたてるとい
う発想でしょうか。
唾血に肝兪。肝兪は補養肝血、養肝益目の作用とあります、また肝は血を蔵します
ね。営血を補い、瘀を消し熱を清めると穴性学ハンドブックにあります。
血とのかかわりが深い穴ですね。