元気がもともと弱かったり、日常生活が不摂生だったり、またあるいは、飲食労倦
したり、気を使いすぎたために、真気を損傷し発生した病です。
肉体的にやせる、目がかすむ、歯がぐらつく、髪が抜ける、遠い耳鳴がする【訳
注:あるいは、耳鳴がして耳が遠くなるかもしれません】、腰や膝の力が抜ける、
小便が頻回で、汗が沢山出る、またあるいは、遺精、尿の白濁、内熱、夕方の発
熱、口の乾き、咽の乾き、心神の落ち着きがなく、目がさえて寝ていてもねられ
ず、小便が少ししかでず、遺尿があり、身体が寒を恐れ、鼻息が速く、めまい、物
忘れ、四肢倦怠などの症状をあらわします。
灸、肺兪、肝兪、脾兪、腎兪、三里、膏肓
針、梁門と中脘を何回も刺します。
【訳者私見】
虚損病をどのように考え、建てていくのかという事に対する、正豊さんの基本的
な配穴になっているようですね。
背部兪穴を使って、肺、脾、腎を建てること。そしてその中に、肝気を建てると
いうことが入っていること。
また三里、膏肓という天地の気をたてるということもあわせた組み合わせにして
いくようですね。
鍼では、いつもの不容梁門ではなく、梁門と中脘を使っています。梁門を鍼
でいつも触っていきますね。上腹部の胃経の経穴で気欝をとっていくねらいではな
いかと思います。そして状態によって、もう一穴上腹部の経穴を取るという感じな
のでしょうかね。今回の中脘は、やはり虚損病をたてるときに、胃の募穴を取
るという発想でしょうか?。