【訳者私見】
汗は生理的な状態であれば、発散のために出るものだと押さえてあります。そのう
えで、自汗と盗汗を説明しています。
陽虚ですとして、脾兪、肺兪に灸をしていくということは、陽虚ということを、こ
の場面では、温め、めぐらせる力がなく、腠理の状態が悪いためにおこってい
ると考えているのかもしれません。また陰虚というときに、他の証で治しがたしと
いう言葉と共に出ることが多いということを考えると、この陰虚の中には、腎の陰
陽両虚という意味を含んでいるように思えます。
針で、合谷、曲池など、肺経の経絡と、湧泉、然谷といった腎経の経絡をとってま
す。これは裏の腎気をたて、表の肺気を整えることで、腠理の開闔状態を改善
していくというねらいでしょうか?。それとも、脾兪、肺兪に灸するときは、合
谷、曲池を用い、腎兪に灸するときは、湧泉、然谷を用いるということかもしれま
せん。湧泉然谷は、陰虚熱を払うという意味合いも強いかもしれません。
ただし、汗がもれでるということを、生命力が脱してしまうと考えると、どちらか
だけを用いるというよりも、両者を用いて、裏と表を整えるという発想の方が、面
白そうですね。