風秘は風痰が大腸に結したために、大便が通じなくなったものです。風を発散しな
さい。
気秘は気が滞り、後重せまり【訳注:でよう、でようとしているのに出ないで苦し
い状態】お腹が痛み、煩悶し、脹満したものです。気をめぐらせなさい。
寒秘は、腹が冷え、痃癖【訳注:積聚の一種で、腹部や脇肋部にできた腫塊】し、
結滞したものです。温補しなさい。
虚秘は津液が虚し、血が少なくなり、乾き渋ったために生じたものです。潤し滑に
しなさい。
熱秘は実熱があり、気がふさがり、心が満ち、腹が脹り、煩渇したものです。熱を
さましなさい。
灸、肝兪、胆兪、腎兪、大腸兪、関元。
針、天枢、滑肉門、石門、陰交、承山。
【訳者私見】
大便秘結を原因から風秘、気秘、寒秘、虚秘、熱秘とわけています。
しかしながら、配穴は全部まとめて書いているんですよねー(^。^;;。
いつものことですが。
灸で、肝兪、胆兪、腎兪、大腸兪、関元とあげられているのは、面白いですね。
子午の表裏で、腎兪大腸兪と使うのは、腎気をたてるという意味から、そして大
腸の腑気を高め便通がつきやすくするという意味から、そして結果として大腸の
裏、肺気をも高め、下向きの気を強くし、便通を付けるという考えもできますね。
腎兪ー大腸兪という配穴は、臨床上非常に使いやすい組み合わせではないかと思い
ます。
針、天枢、滑肉門、石門、陰交、承山。天枢、滑肉門はお腹の胃経、石門、陰
交は任脉です。臍のまわりを取り囲むような経穴ですね。
滑肉門は、通降を主る性質があり、よく腸の伝導を助けるとあります。天枢は大
腸経の募穴でもあります。
承山は、血分の熱を落とすと言われる経穴ですね。陰交との関連で使われるので
しょうか?また、承筋、承山より肛につながるという経筋を考えての配穴でしょう
か。