【訳者私見】
頭痛を風寒によるものと湿によるものにまず分類しています。
また、痰火によるもの、そして死証の頭痛とわけています。
頭が重く鼻が壅がるという風寒のものに、百会とあります。百会の散頭寒、回諸陽
という、陽を助け頭寒を散ずるという作用を期待しているのでしょう。後頂と前頂
の使い分けは面白いですね。臨床的に前頂はぶよぶよした感じが出やすく、めまい
などの症状を起こしている方にはよく反応のでるところです。百会よりも、少し前
の前頂を取るほうが、めまいなどの風を中心とするときにはよいのでしょう。ま
た、後頂を考えるときの、項がこわばり悪寒するというのは、風寒の邪を受けて、
葛根湯証のような状態になっているということでしょうか。このときには、後頂を
使うということなんですね。
風寒と言うことを中心に考えると、風池、風府、合谷、曲池が中心に考えられ、
湿痰を中心に考えると、 風市、三里。また、頭痛という身体上部に症状があると
いうことで、手足に引いて症状を取るという発想で、経穴が選ばれているという事
もあるのではないかと思います。
腕骨は手の太陽小腸経の原穴、
京骨は足の太陽膀胱経の原穴、
合谷は手の陽明大腸経の原穴、
衝陽は足の陽明胃経の原穴です。
頭痛に対して原穴を執るというのは、風寒の邪ではなく、病が五臓六腑にあるとい
う発想なのでしょうね。そういったときには、この原穴を使っていくということな
のでしょうか。
頭痛といっても、内因、外因、不内外因と各々から考えられ、アプローチしている
のだということがわかりますねえ。面白いなあ。