腹痛には九種類あります。
綿々として増減のないものは冷えです。
たちまち痛み、たちまち止むのは熱痛です。
食事をするときにはお腹が痛み、下痢をしてのちに痛みが減るのは宿食です。
時に痛み、時に止み、顔が白く唇が赤くて、お腹が空いたときに痛みが甚だしく、
食事をするとしばらく痛みが止むものは虫の痛みです。
痛むところが移動しなければ、死血です。
脇下に引きつれ痛みがあり、音がするものは痰飲です。
手で腹を按じたときに、お腹が軟らかく、痛みがやわらぐものは虚です。
お腹が固くて、手で按じたときにますます痛みが強くなるものは実の痛みです。
どの腹痛でも、腹部を先に鍼灸をすると、かえって痛みがますものです。必ず
まず足の穴に鍼灸して、痛みが和らいだのちに腹に刺しなさい。
普通の軽い腹痛には、まず腹、滑肉門を重く押さえて刺しなさい。
もし腹痛が甚だしく、目が眩み死にそうなものには、隠白、湧泉に針をして、正気
をつけなさい。
上脘、中脘、巨闕、不容、天枢、章門、気海、崑崙、太白、太淵、三陰
交。
【訳者私見】
拒按、喜按、寒熱、おけつ、湿痰など、基本的な考え方が提示されているような章
ですね
滑肉門は穴性学ハンドブックによると「通降を主る性質があり よく腸の蠕動を助
ける」とあります。普通の軽い腹痛を気欝と考えて通降をさせ、腸を動かして治そ
うという発想ですね。
上脘、中脘、巨闕、不容、天枢、章門、気海、崑崙、太白、太淵、三陰
交。
まず、足の穴に鍼灸してと正豊さんは、仰しゃり、崑崙、太白、三陰交を提示して
います。腹痛でどうして崑崙なんだろうかと考えてしまうのですが、経験則なので
しょうか。太白、三陰交は、脾経を引いていると考えられますね。
上脘、巨闕、(足付)陽、章門などの上腹部の経穴は、正豊さんのお得意って
感じですね(*^^)v。下に引き、上腹部を散じるといったところだろうと思います。
痛みに対しては、裏をたてたりするという発想はあまりもたず、引いたり、散じ
たりというのが、基本的な考え方なのでしょう。