経にいわく、脾の栄えは唇にあり、唇が動くのは風です。ささくれるのは熱で
す、そるのは冷えです。唇が腫れて裂け、あるいはまた瘡を生じ米粕のよう
になっているのは瀋といいます、脾経の風熱です。
唇が緊張し口が小さくなるのを緊唇といいます。また、中気が虚損して、唇や口
に瘡を生じるものがいます、あるいはまた、陰虚火動して唇が燥き裂けて繭のよう
になるものもあります。
唇がかわいて、唾液があるものには、下廉。
唇がかわいて、食べ物が下がらないものには、三間、少商。
唇が動き、虫が這っているようなものには水溝。
唇が腫れれば迎香。
緊唇には虎口に灸をしなさい。男は左、女は右、さらにまた、承漿に灸を三壮し
なさい。
【訳者私見】
唇の病証に対して、局所や熱を泄らすところにしか経穴が提示されていないの
は、唇の状態自体が病証をよくあらわすものであっても、簡単に治ることのないも
のだということだと思います。病状を軽くしやすいものは、熱を引けるものだけで
しょうかねえ。
虚損病の範ちゅうになるものは、まあやってみたら(;^^)といったところなので
しょうか?。
曲沢、大陵という心包経、二間、商陽という大腸経、尺沢、少商という肺経の経穴
をあげています。肘関節まわりの経穴や、末端穴を使い、熱を手に引いていこうと
したり、熱を漏らそうという発想ではないかと思います。