人に天地人の三才があります。鍼にも天地人の三才があります。
人の胸より上を天とします。鍼を軽く浅く刺しなさい。
胸より臍までを人とします。鍼を中様に用いなさい。
臍から下を地とします。重く深く刺しなさい。
中でも、胸から上の鍼を刺し方は大切なところです。胸は心の兪
であり、神【原注:たましひ】の舎るところに近いためです。天
に鍼をさすときは、鍼を伏せて浅く軽くひねりなさい。もし鍼を
刺して過ちがあったのならば、病人の面を袖にて
覆い、口鼻の息を温め、面に風をあてないようにして、男は足三
里、崑崙、女は三陰交、そして男女とも臍下一寸五分の気海穴を
鍼にて刺して補瀉しなさい。必ず蘇生します。
鍼にも天地人の三才があります。
刺して皮肉に至ることを天といいます。
肉のうちに至ることを人といいます。
筋骨に至るのを地といいます。
難経には、春夏には浅くするのがよく、秋冬は深くするのがいいとあります。男は
浅く、女は深く、午前は男は浅く、女は深く。午後は男は深く、女は浅く刺しなさ
い。これは陰陽の法です。
鍼灸を行うにはまず、行年宜忌【原注:よしあし】人神の在る所を定めなさい。
そうしなければ害があります。万物は五行の理にそむかず、人
は天地の正理であるためです。経に人は天地の気を受けて生じ、天の陽気は気とな
り、地の陰気は血となり、天地は万物の父母ですとあります。頭面喉胸心腹臍下肩
背肘腿手足各々手法があります、みだりに治を施してはいけません。