女性の人生において、出産は生命力が大きく傾き、リセットされるときです。
出産前の生命力が充分に充実していれば、出産も、大きな生命のリズムの中の出来事として『生理的なこと』の範囲として飲み込まれます。
自然と陣痛がきて、出産し、さっぱりと悪露を出します。
母乳がでることで子供を育み、子宮が収縮していくのです。また排卵を抑制することで大きく気血を虚損した母体が回復する時間もかせいでくれます。
出産は、時が満ち、赤ちゃん(胎児)が充分成熟し、自然と実り落ちるときに、お母さん側のしっかりとした腎気に支えられて、外界へと繋がる出来事です。
出産前後の出来事をスムーズに運ばせる原動力は腎気の力です。充実した腎の陰気、陽気にささえられて、出産という大きな生命のうねりをしっかりと乗り越えることが大切なのです。出産前に充分充実したお体作りをしておくことが大事です。
そして、充実した状態で出産を迎え、産後は充分に休養し、気血の虚損を回復させることで、出産前の状態に上手に戻ることができます。
出産は、大きな生命力の傾きがあるときですが、ダイナミックに回復できるときでもあります。とくに産後の1,2ヶ月は、女性は急速な回復期にあります。
大きな子宮が引き締まり、臍下丹田に力が戻ります。そして下焦(下腹)が引き締まることによって、上焦(胸)が開かれ、母乳がでるのです。
自然な波に乗ることが、お母さんの回復であり、赤ちゃんの成長につながります。
あらためて、そのからくりの巧妙さに驚くばかりです。大事にすべき時期に大事にして、自分の回復力を使ってしっかりとした生命力を取り戻しましょう。
気持ちを穏やかに、無理をせずに、赤ちゃんのリズムに寄り添って過ごすことが大切です。
少し疲労が目立つ場合は、産後に漢方薬などの手助けを考えてもいいでしょう。
人工的な出産になりそうなときには
お腹の赤ちゃんは、月日が満ちその実が充分に熟し蒂から落ちるように生まれてきます。
そのときは、あくまで自然が決めてくれます。
ときに、もう充分大きさがあるのに、生まれてくる兆しがなかなか見えず、人工的な出産になる場合があります。このとき、少しだけ鍼灸でお手伝いすることができることがあります。
無理はできませんが、お母さんの体の力をちょっとつけ、のんびりしている赤ちゃんに、そろそろ生まれようかという気にさせてあげるのです。
ただ、やっぱり時が満ちていることが条件です。ほんの少しの刺激で、すうっと陣痛がつき、生まれてくることがあります。
もし、人工的な出産がいやなかたは、ご相談くださいね。