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論考、弁証 8/8



初診時から一ヶ月強のあいだは、腎気をたて、内風を瀉しバランスを取るとい う治療が奏功しました。これは、小さい器ながらも、そのなかで、バランスがとれていた ということなのかと思います。

しかしながら、きつい風邪により、肺気の損傷、脾胃の損傷、陰虚内熱が強く なるという三点セットを引き起こし、すっかり元の木阿弥状態になっています。 とくに、年末から年初にかけての中耳炎を伴った風邪は、風邪自体もきついうえ に、使った抗生物質などのせいか、脾胃の状態もすっかり悪くし、1月からの非 常に悪い状態のきっかけになっています。

これは、初診から一ヶ月強の間の治療は、器は小さいながらもバランスをとる ということで、奏功したものの、器そのものがあまりにも、小さいままだったの で、通常なら生理的な範囲として受け取ることが出来るような風邪ということをきっか けに、ふたたび、腎気の虚損、肝陽上亢陰虚内風という状態にもどってしまった のだと思います。

つまり、この器の大きさのままでは、状態の改善は望めないということです。 道は遠回りでも、器を大きくするしか、道はないということです。

ここで、症状をとりあえず取るという内風に注目をした手法をきっぱり やめ、どんな状態であろうとも、腎気をたて、肺気を立て華蓋の蓋を作っていき、 津液の損傷をふせぐということを目標に進んでいくことになります。これが初診 から2ヶ月目12月からの治療になります。

腎気の器ができてくると、肝陽の上亢もその根が張ったことにより暴走しにく くなることが期待できます。また、肺気がたち、華蓋の蓋がしっかりすることに より、津液の損傷が過度におこることがなくなり、陰虚内風への悪循環をたつ効 果も期待できます。

12月、1月の間は効果がみえませんでしたが、2月ごろより落ち着き、臍下 丹田の状態が改善されるとともに、痙攣の回数が減り、痛みが減っていきました。そして 初診時より8ヶ月目ぐらいには、腰部の痛み、痙攣がほとんどなく、1年ほどで 社会復帰というところまで、進むことができました。12月からの治療方針はまっ たく変えることなく、そのまま継続していっています。







ここで、ひとつ面白いことがあります。本症例の場合、一度も、腰部の経穴を 使用して治療をしていないのです。

腰部の痛みが主訴であったとき、必ず腰部を注目することになると思います。 しかしながら、私は、腰部そのものには、まったく注目しませんでした。腰部は 症状のある場処であっても、病の原因ではないと考えたからです。

本症例は、深い虚損病の状態にありました。そして、虚損したところからでた、 内風でした。この内風自体を症状の出ているところだからと注目して追うという ことは、整体治療をはじめてから、痙攣などがより強くなり、状態が悪化していっ たということなどにも象徴されるように、虚をより強くするということにつなが るということを、実感として感じさせられる症例であったと思います。







また、器が小さいながらも、瀉すことによって、一時的にも症状を取り去るこ とが出来るということも教えてもらった症例です。これは初診時から二ヶ月の間 のできごとに現われています。

このとき、もし、風邪もひかず、またご本人が生活上の無理をしなかったら、 きつい症状も出現せず、腎気をたて内風を瀉すという治療も、全体の養生とあい まって、効を奏しだんだんと器が大きくなり、状態が改善する可能性もあった と思います。しかしながら、ご本人の生活や風邪により、それはできず、もう 一段階すすむことになります。

ここで、迷うのは、初めから内風には注目せず、腎気をたて、肺気をたてるべ きであったのかということです。結果論からいえば、正解のようですが、初診時 のあの状態を思い浮かべると、試行錯誤しかなかったとは、いまでも言えるよう な気がしています。







弁証  腎陰虚損、肺陰虚損による、肝陽上亢陰虚内風。

    11月の弁証     補腎、瀉肝風

    12月よりの弁証   補肺補腎






.....角弓反張の弁証論治のはじめに戻ります........






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