カテゴリー : 不妊・婦人科 東洋医学 コラム

子宮内膜症と妊娠、大豆イソフラボン

堀田かよさんの『不妊治療、やめました。~ふたり暮らしを決めた日~』という本の中で、堀田さんがだいぶ子宮内膜症に苦しんでいらっしゃる様子が描かれています。堀田さんの不妊治療は、子宮内膜症で手術したことがスタートです。内膜症のために妊娠を考えた方が良いというドクターのアドバイスから取り組みが始まっています。こういうケースは不妊治療のスタート年齢が早いケースだと思います。自分の身体の状態に気がつくきっかけがあったわけです。

堀田さんは、「不妊治療、やめました 堀田あきお&かよさんインタビュー」の中で以下のように述べられています。

(かよさん)私は治療ノートをつけていて、役に立つかもしれない、と思ってお医者様に見せたら必要ない、と言われました。検査をして治療計画を決めましょう、と言われた。不妊治療が生殖医療になっていて、できるだけ効率よく、何人産ませたかが病院の実績になるのでしょう。

確かに、病院はそうなんだと思います。よく病院では2、3時間も待って、診察は3分、5分などと言われますが、結局非常に忙しい現実があり、質問者に寄り添い言葉を引き出してしまうと、診療全体が成り立たなくなってしまうのかなと思います。また、質問をする患者さんも、各々の価値観、状況、社会的な背景、ご夫婦の考え方など沢山の問題を抱えていらっしゃいます。この問題をゆっくり考えるのは、医療を取り扱う場である病院ではないのかなと私は思いました。

私は不妊カウンセラーとしてご相談に乗るときは、病院からは一歩引き、そして私のフィールドである鍼灸、東洋医学からも一歩引いて、「まず、一緒に、今の不妊の状況を考え、お二人の希望を伺いたい」という姿勢から始めています。そして、どの様な現状があり、現代医療も含めどんな手助けがあり利用できるのか、病院各々の特徴はどうなっているのかなど、私の知る限りの情報提供をしていきたいと思っています。

しかしながら初診の方に2時間のお時間をとってあります当院でも、時間は足りない。きっと患者さんからすれば、語り足りないこともあるのかなと思います。このあたりは、当院では鍼灸治療に毎回1時間ぐらいのお時間がかかりますから、少しずつお話をしていければと思っております。

さて、この方は以下のような経過で1度自然妊娠していらっしゃいます。

タイミング
転院
排卵誘発剤を使った治療
卵管造影(左右方ともOK、子宮も問題なし)
フーナーテスト(不良、精子が動いていない)
精液検査(良好、問題なし)
フーナー不良で精液問題なしなので人工授精へー半年継続ー妊娠せず
治療中断ー自然に妊娠ー出血流産

あれこれと沢山のことを頑張って、休憩中に自然妊娠というのは案外よく聞く話です。これは休憩という肩の力の抜けたことで気血の巡りがよ良くなり、するっと妊娠に至ったのかなと思います。東洋医学で言うところの肝鬱気滞、この方の場合は子宮内膜症もきつかったようですから、そこから一歩進んで肝鬱気滞瘀血(かんうつきたいおけつ)といったところでしょう。

そして本当に残念なのはここで出血流産しているいうこと。可能性としてはかなり子宮内の血流が悪いのではないかということ。対策としては

1)不育症の検査を受けてみる
2)棒灸を中心とした積極的な温灸療法で、15週までの初期を乗り切る

1)の不育症ですが、いわゆる不育のカテゴリーは流産を2回あるいは3回ですので当てはまらないとは思います。しかしながら、子宮内の血流が悪い場合は着床障害の可能性もあるでしょう。なかなか妊娠しないと言うときには、こういった観点も合わせて考えてもよいのではないかと思います。また、かなり強い子宮内膜症があります。