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寒熱錯雑の弁証論治

病因病理:弁証論治  5/5


虚実、寒熱が錯綜し、症状が多岐にわたっており、ご本人にとっても、非常に辛 い状況になっています。

中学校での陸上の運動がきつかったせいか、睡眠異常と、股関節、膝関節の問題 がでています。これは、身体が思春期の不安定な時期に、過度な運動のため、腎 気をいためてしまい、睡眠が安定しなかったこと。また、過度な運動が直接的に 関節の負担になっていたのではということが考えられます。

その後、生理の前に異常食欲が出て、がーと食べては、苦しくなり嘔くというこ とが続き、動悸や皮膚症状の始まりにつながって来ています。

これは、
肝陽が亢進した時期に、
  肝の鬱熱が胃をつき胃熱と為り異常食欲となった可能性、
  嘔くことによって、胃の陰虚を引き起こし、より胃熱の亢進をきつくした可能性、
  胃熱が心をつき、動悸となった可能性
  上焦全体が、肝の鬱熱と、胃の陰虚という状態から熱を持ち、、
         皮膚の状態を悪化させた可能性が考えられます。

もともと、生理周期が2週間程度という、非常に早い周期でまわるということは、 腎の陰虚が潜んでいたのではという可能性をうかがわせます。下焦の陰虚と、中 焦である胃の陰虚、それに、肝陽の亢進と重なってすすんでいるため、20才の ころには、上焦の皮膚の状態の悪化と、多汗をみるようになってきたと考えるこ とができます。

23歳ぐらいのときの、胃が悪いことが多く気分が悪くはく、アゴの状態の悪化 というのは、胃の陰虚状態がかなり進んでいるということをものがたっています。

腰痛は、お酒を飲むと翌日により強く出現しています。
お酒により、脾気がいためられ胃の陰虚がきつくなると、腎気の困窮(腎の陰虚) がきつくなったため、重く刺すような腰痛の出現したと思われます。

しかしながら、ときがたち、胃痛もやわらぎ、24歳の半ばより、生 理の周期が安定していきます。ある程度、身体がそれなりの調和を保ち始めたと いう可能性があります。






生理周期が安定したことにより、より強く、生理と身体のリズムの状態が判明していきます。 つまり、腎陰の虚損、肝陽の亢進の状態が明瞭になったといえます。 また、お血による、生理痛の問題もよりきつくなっていっています。

生理前は、
 腎陰の虚損のために、肝陽の亢進が生理前にきつい形ちであらわれています。
生理前のイライラ、肩こり、のぼせなどは、かなりきつい肝気の高ぶり、肝陽の 亢進を思わせます。これは、一義的には肝陽の亢進、熱症状ですが、腎の陰虚陽 亢の虚熱でありますから、非常に取れがたく、きついものとなってきています。熱を 払うことでは対応できないということなのです。

こういった、虚熱には、熱の症状があるからといって、熱を取り去る治療を中心 に考えるべきではなく、その熱のよりどころとなる器(土台)をしっかりと養い、 熱をその器のあるべきところに導くという発想が必要です(引火帰原)

生理当日は・・・
 生理当日、前日は、下焦にあるお血を排出するために、身体がより頑張ら ねばと、非常にきつい気欝になっています。これも、ご本人を苦しめている点で す。

生理がくると・・・
 腎気の土台がないために、生理がくると、風邪のような後頭部痛になりま す。これは生理という生命力を使う時期になると、腎の陽気不足が明瞭になり、 風邪のような後頭部痛となるのです。
 つまり、これは、腎の陰虚から、腎の陰陽両虚へと一歩腎の虚損が進んでいる 可能性をしめしているものです。

生理前の症状は腎の陰虚肝気の亢進による、陰虚熱による熱症状
生理の辛い状態は、肝気鬱結による疏通不利
生理後の頭痛は、生命力の不足による風邪様状態

この生理前後の状態だけをみても、寒熱の錯綜が非常に深いということが、よく わかります。

 そしてこの寒熱の錯綜を深くするものが、腎気の弱りなのです。

また、この寒熱の錯綜状態がこのまま続いていくと、この方自身の器の虚損へと つながりますので、非常にあぶないところです。

腎気の弱りがあるので、夏の方が身体が辛い、クーラーで手足が冷えます。 胃の陰虚があるので、夏になると食欲がまし、

     胃の経筋であるアゴの問題をひきおこします

腎の陰虚肝陽の亢進があるので、多汗、皮膚の悪化した状態になります。

熱症状が、非常に取れがたく、きついのは、陰虚からの虚熱であるからです。虚 熱は熱を払っても、本体の陰虚を補うことがなければ、まったく状態が改善しま せん。改善しないどころか、その熱を払い続けることにより、生命力が小さくな り、病情がより複雑化することになっていきます。






治療の流れについて考えておきます。

24歳前後が、症状のピークです。

アゴの状態が箸が入らないほど悪化し、胃が悪いことが多く気分が多く嘔くとい う状態です。

これが26歳の現段階で、なんらかの原因で、胃の状態が落ち着き、アゴの状態が 少し良好に為り、生理が2週間に一度から、一ヶ月に一度に変化しています。

つまり、これは、陰虚内熱のきつい状態が、ピークをうったということを意味し ていると思います。

そしてその後、生理前後の諸症状として、はっきりと、生理の前、生理直前、生 理後と問題がわかれています。そしてここで明瞭に、熱の問題と、生命力そのも のの問題があらわれています。

ですので、生理の問題を中心にかんがえていくことで、問題の流れを解決してい くという方策をさぐっていこうと思います。






まず、第一に、土台を整えることが一番です。
腎気を養うことです。

腎気を養い、肝気が納まる器を作ることを狙っていきます。
このことで、生理時、生理前の、肝陽の亢進が、通常の範囲をこえて発生したこ とによっておこる、生理前のイライラ、のぼせ、生理痛などを減らしていきます。腎気を養うことが中 心ですが、体調がよいときには、気欝を適度に調整することにより、お血の排出 を促し、生理時の トラブルを減らしていきます。

第二段階としては、腎の陰気が養われてくると、胃熱の亢進が減少してきますの で、食欲の亢進が抑えられてくると思われます。つまり生理前の異常食欲が徐々 に減少してくるわけです。また、その結果、胃の生命力が充実してくると、胃の 経筋の問題も落ち着き、アゴの状態も良好になるってきます。

第三段階としては、全身の養いが整い、内熱の問題がおさまってきますと、多汗、 皮膚の状態が良好になってくるでしょう。

目の前の症状としては、熱の亢進、皮膚の状態の悪さ、イライラなどが目に付い てしまうと思いますが、まず土台からということをしなければ、立ち直ることが 難しいのではないかと考えられます。時間はかかりますが、ステップを踏んで、 少しづつ、少しづつ、しっかりとした身体になっていけるようにしていきましょ う。






第一段階

 弁証 :腎の陰陽両虚 肝陽亢進。

 論治 :益気補腎、従として疏肝理気

状態により、第二段階、第三段階へと進む。








主訴:問診 1/5

時系列の問診 2/5

切診 3/5

五臓の弁別 4/5

病因病理:論治 5/5






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