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身体の建て直し弁証論治

身体の建て直し弁証論治
病因病理:弁証論治
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昨年10月の初診時点では、主訴の肩こり腰痛、冷え。月経前症候群(PMS) ということでありました。






もともとあった、肩こり腰痛は、ひどいときにマッサージなどで一時的に治療し ても、常にあるという状態で、単なる気滞による肩こりではなく、何らかの全身 的な弱りに乗じた気の動かざる状態としての肩こり腰痛であると考えられます。

これが、30歳になったときに、月経前症候群が加わります。

時系列の流れをみてわかるように、この月経前症候群は、会社員としての仕事と、 音楽の仕事を同時に休みなくなさるという、疲労のなかでより強くなって来てい る症状です。

つまり、強い疲労の連続という腎気の損傷が、肝陽の上亢をまねき、月経前症候 群による、生理前の数々の不調(むくみ、吐き気、発熱、イライラ、胸の腫れ) などとなってあらわれているわけです。

これら状態は、腎虚肝欝として、八味地黄丸などの服用により、軽快するものと 思われますが、以前かかっていた大学病院で服用した八味地黄丸がまったくあわ ず、腎気を養って症状をとるということが奏功しないということがありました。

なんらかの虚に乗じた、気の滞りと症状(肩こり、腰痛、PMS)ということで、 虚をたて、実が自然と消えていくという方向性を考えていきたいのですが、過去 に、腎気を建てることが奏功しなかったことをあわせると、脾気を建てることを 中心にしてはどうかと思われます。






直接的には中心の問題は腎気か?と思われるところですが、少し迂遠かと考えら れても、かなり落ちている脾気の状態をたてることが、補気と為り、一番の中心 の問題である腎気を養うことにも繋がるだろうという考察でもあります。

実際、補中益気湯をのみ、中(月完)ー内関ー足三里を中心とした鍼灸治療をした ことで、仕事が忙しくない間(10月から12月の初旬)は、舌の状態が安定し、 多少の仕事の忙しさにも、以前のような食欲不振を招くような舌の状態にはならず、裏がたってきたことが明瞭です。また、全体に月経前症候群も収まりました。 とくに、発熱などの症状が消え、生理という自然の流れの中でおこる肝気の高ぶ りが、根となる腎気の小ささに由来する陽気の大きな高ぶりとならず、収まって いるということは、脾気をたてることが、腎気を少しずつですが、養うことにも 繋がっているということもわかります。

補中益気が、全身状態を少しづつですが好転させていくことができるということ が見えてきたというところです。






ところが、年末から、年明け。

仕事が繁忙をきわめ、長時間労働、睡眠不足と続くことになります。

極端な生命力の損傷であり、それを底辺で支える腎気の損傷です。

ここで、症状としての首や肩の凝りがあまりにも強くなり、局所を動かすことを 中心とした緊急的な治療や、胃の動きが極端に悪くなり上腹部に動かざる食滞が 溜まり平胃散にてやっと解決するということになってしまいました。そしてこの治療の結果、背部腧穴の状態が悪くなり全体の器がまた一段小さくなってしまいました。






2月3月と仕事はそれほどないのに、首が腫れたり、唇の腫れ(血管腫)が大き くなったり、肩、背部の凝りはよりきつくなってしまいました。以前の補中益気 していく方針が入りにくくなっている感じです。

10月からの、虚に乗じた気の滞りであるので、その虚を救い、自然と気の滞り や欝滞は解決するものとしことは、12月から年始のご本人の生活のありようと は残念ながらあわないということなのでしょう。

補中益気していく方法だと、ひとたび、虚が強くなり、実の症状が強く出たとき には対処不能になってしまっています。このときに、結局、きつい肩背部の痛み をとるような治療をうけることで、その場の実(きつい肩背部の痛み)は取れ症 状は一息つけるものの、経穴の状態はより悪化し、器が一段と小さく、問題の根が深くなっていくということが、12月から3月までの経過です。






御本人の生き方が、自分の状態がどうであれ、肝気をはって生きるということに あるとき、どうしても必要なのは腎気です。

つまり治療の軸を、脾気ではなく、腎気にうつし、腎気をとにかくたて、多少の 肝気の張りも病的な状態にしないようにしておくということが、まずこの方の生 き方を支えるためには第一に必要なことだと思われます。

ここで、漢方薬による、腎気を救う方針がとれなければ、鍼で行なっていくしかないのではと思います。

鍼灸治療で、腎気をたて、不要な気の滞りを瀉していく。

この方針は、虚(腎虚)を立てることと、滞りをとることを同時に行います。

虚(脾虚から全身の気虚)をたてることを軸足とした10月からの治療方針と比べ、虚を救っていくスピードは多分鈍るのではないかと思われますが、ご本人の生活が、どうしても気欝を持ちやすい、病的な状態までの気の滞りを引き起こすのであれば、こちらのほうが、ご本人にあっているということであろうと思います。

また、症状としての気の滞りの肩こりや背部の凝りなどのほかにでている、舌や 唇の状態の変化は、常の変化とはいえないこの方の特徴的なものとなっています。 この変化が疲労などの腎気の損傷とリンクしていますので、この問題の解決に対 しても、やはり腎気を建てるということは、効果的な方法となります。






弁証:腎虚肝欝
論治:腎気を建てることを中心とし、必要に応じて、肝欝も晴らしていく。








主訴:問診 1/5

時系列の問診 2/5

切診 3/5

五臓の弁別 4/5

病因病理:論治 5/5






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