症例を、きちんとした文章に仕上げてみました
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月経不順の弁証論治の目次へ

病因病理から論治へ  5/5


本症例の患者さんの主訴は月経周期が長く、また、来潮日数がばらばらで不安定だということです。

月経は、臓腑の生理機能が正常で、腎気が充実して盛であり、肝気の調和が取れて、脾胃が 充分丈夫であることによって、衝任の二脉が盛に通じ、順調におこります。

問診からは、二便の状態もよく、食欲、胃腸の状態もよく、睡眠の状態も安定していて、 疲労感もなく、問題を感じません。

ただし、経穴をみると、足三里の虚、右の脾兪から三焦兪を中心とした気海兪までの虚。そして 脾募の固い湿痰、梅雨時にひどくなる主婦湿疹など、脾胃の虚、内湿をうかがわせるものが 多数あります。ストレスにより皮膚症状であるアトピーが悪化することなどにより、この脾気の 弱りは肝気の横逆の可能性が考えられます。







風邪を引いたときに鼻血を出す、少陽の熱を思わせる耳下腺炎をおこすということからも、 本症例の患者さんが上焦に熱を持ちやすいタイプであること がわかります。

そしてこの熱はどこから来るのか?

それは肝の鬱熱ではないかと考えます。

肝の鬱熱が心をつくので、心に熱がこもり、軽いパニックや動悸をおこすでしょうし、また、心の熱が 手少陰の部位の湿疹につながっているのではないかとも思います。

この熱と、湿痰がついてでた症状がこの患者さんのアトピーであり、これがさほどきついものになっていないのは、 脾胃の虚が中心ではなく、肝気の横逆や、肝気の鬱熱が主導であるからではないかと思います。

また、肝の鬱熱は、月経にも影響をあたえます。肝の鬱熱により、肝血が渇かされ、月経の調節が 乱れる原因になっていきます。不規則なのはそのような原因であるかと思われます。

そして衝脉は脾胃によって長養されます。ここでも、肝気によって脾気が横逆され暢びやかさを 失っていますので、充分衝脉を養うことが出来ていない可能性があります。







腎気の発達と月経の問題は密接です。女性を考える場合、精を蔵する腎と血を蔵する肝が根となり、 すこやかなる肝気がたちあがり、血海が充分に満ち溢れ月経が腎と肝の調和によりおこります。

今の時点で、直接的な腎気の弱りを示すものはみあたりません。これは、強い肝気の張りによって、 隠されているのか、またそれほど、損傷がないものなのか、わかりません。まず、肝気の欝滞をとり、 素体の暢びやかさを取り戻して論ぜられる問題なのでしょう。ただし、ここまでの論考で、月経を 不順にしているものは肝気、それも肝の鬱熱の問題を中心に考えてきました。そうであれば、月経の 周期が早まることがあってもよい感じがしますが、全体に月経周期が長いというのは、腎気の虚損、 あるいは衝任脉が充分に盛ではないのではないのか、という可能性が高く考えられます。このあたりも、肝気の問題を整理しいくと、みえてくると考えています。







とりあえず、まず初めに、

弁証:肝気鬱結
論治:疏肝理気

その後、衝任脉を養う、腎気の問題はないのか?という問題を考えていくべきでしょう。




.....月経不順の弁証論治のはじめに戻ります........





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