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不定愁訴の弁証論治2

病因病理:弁証  5/5


患者さんの主訴はあれこれ多くありますので、不定愁訴としました。

もともと、足全体にしびれた感じがあったり、ちょっと手足を使うと、関節が痛くなってしまうなど、 全体に、気の不足、気虚気味なタイプであろうと思われます。

ご本人が胃の痛みと表現している胸脇部の痛み(胸脇苦満)が、ガシンサンで解 決するのは、簡単な気の停滞をはらうことができていたからだと思います。ただ、 ご本人は、このガシンサンを、胃を丈夫にする薬ということで、からだの調子が 悪くなるにしたがって、よりたくさん服用し、だんだん効かなくなってきてしまっ ています。

これは、気虚気味のかたが、欝滞を晴らす薬を飲みすぎたので、虚がより進んで しまったということの可能性を示しています。

その上、子宮筋腫による貧血(現在は、閉経し貧血は解消)状態や、遠隔地への 勤務、ご家庭の事情などで、無理な生活を重ねてしまったために、より気虚が進 んだと思われます。

がんばり屋さんであったために、一生懸命気を張って、土台が気虚が進み弱くなっていたのに、 とにかく無理を重ねたため、いろいろな気虚によるものと思われる症状がでてい ます。







ご本人は胃の痛みといっていますが、季肋部上の不容付近から胸脇部にかけての 痛みは、胃自体の痛みというよりも、肝気鬱結による胸脇部の痛みと考えたほうが よい感じがします。これが以前はガシンサンで解決するも、解決することができなくなってきたのは 気虚がすすんだために、取り残された気欝となっているからだと思います。

52歳ごろから出ている、関節症状や、3ヶ月前から出ている夕方のほうが痛くなる腰の痛みも 全体の気虚が進んだために、無理する場処に症状がでているのではないかと考えられます。

このころまでの気虚の原因は、先天のもののベースとしてありますが、後天の本 である脾気による養いの不足が問題の中心ではなかったかと思われます。これは、 腎気不足までを思わせる症状がなかたこと、肺気の虚を思わせる症状が特段ない こと、脾兪、足三里を中心とする経穴の状態が非常に悪いことなどから推測でき ます。

そのうえ、ここ最近の夕方のほうが痛くなる腰の痛みは、気虚が腎気の弱りをも示し始めているということを顕わしています。 また動悸などは、心の変動、取れがたい季肋部の痛み、肩の痛みと虚の状態が大 きく広がり始めている可能性を感じさせます。

全体の弱り(気虚)ではあったけれど、なんとかバランスをとっていたかたが、 虚がよりすすみ、全体の器をより小さくし、いままで特段目だっていなかった、 腎気の弱り、心気の問題などもどんどん派生させていっているのではないかとい うことです。







会社をやめて楽になったのに、かえって、動悸などの問題が出てしまったのは、 それまで、なんとか張っていた 気持ちの張りがなくなってしまったために、素体があらわれたものだと思います。脾気の問題は 会社をやめてほっとしたとたん、お菓子を食べても美味しいと思わないという脾気自体の落ち込みと、 心脾の問題の可能性を感じさせています。

ご本人に対して直接的に辛くさせているのは気欝による症状であると思われます。ただ、それを きつく動きがたくさせているのは、進行している気虚のせいだと思います。

全体の器が小さい気虚気味のかたであっても、それなりのバランスが取れていれば、なんとか日々を 過ごすことができます。しかしながら、重なる疲労、心労、薬の副作用、腎気の 虚損、脾気の虚損と、直接的に 臓腑がぐっと弱ったために、ご本人にとって、どうしたらいいかわからないような疲労感、種々の 症状となっていったと思われます。

気虚を立て直すには、本症例の方の場合は、穴の出方、生活習慣からみて、後天の本である脾気からということ になるでしょう。脾気をたて、全体の器の虚をすくうこと。
地道に少しづつがんばっていきたいと思います。







弁証 気虚

論治 益気補脾







主訴 1/5

問診 2/5

切診 3/5

五臓の弁別 4/5

病因病理:論治 5/5






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