3)身体は今を生きている 東洋医学の五臓

毎日、色々な事がおきますねえ。

過去のわだかまり、未来への不安。

身体は今を生きている イラスト

私達が生きているのは今です。
その今を生きていることを認識し、理解するために
私が考える、身体のいまをお話しさせていただこうと思っています。

 

より深く観察するための:場の設定

 

人を診るときに大切なのは、どんな観点で人をみているかという場の設定です。
この場の設定の概念を意識しないと、見ている観点の整理ができず、論理が通りません。

場の設定を気血とし考えることも、陰陽とし考えることもできます。またもっと小さく部位でくくり、手、耳、足などを場として捉え考えることもできます。

東洋医学の場では、同じ言葉を違う場の設定で使っていることが多くあります。
このための混乱がとーーーーっても多い。
気という言葉も、まるごと一つの身体を場の設定にして、気ということもありますし、
気血というまるごと一つの身体を気血という場の設定をし、二つの概念を使ってみようとすることです。
陰血ということばは、陰陽の概念をわけ、そのなかの血。肝血というのは五臓の中で肝気と肝血という気血の関係性を肝の臓腑の中で考えている言葉です。

これら言葉、本当に混乱して使ってしまうのが、東洋医学の世界です。
なじみのある言葉だから、どうしてもイメージで使ってしまいガチです。
注意が必要ですね。

人をよりよく観察するためには、場の設定をおこない、どのような場を観察しているのかということを明確にする必要があります。

五臓の場の設定

東洋医学では大きく肝心脾肺腎の五臓を代表的な臓として括り、その役割を設定しベクトル(方向性と強さ)を考え、相互の関係性を考えています。

 

人間をよりよく診て観察するにはときには生命としての括りである場の設定が成り立ち、そこに気の昇降出入があり全体との関係性があればよいわけです。

 五臓のそれぞれの特性によって、気の昇降出入のベクトル(方向性と強さ)を考えていますが、特定の臓腑に特定の方向性だけがあるのではなく、全て臓腑に全ての気の昇降出入のベクトル(方向性と強さ)が存在しており、臓腑に示されている気の昇降出入は、全てあるうちのある特定の方向性が強い性質をもっているということを示しているにすぎません。

 

五臓について

五臓については対応する五腑と合わせて考えることも多く、それぞれの役割が考えられています。飲食物の消化吸収については脾胃が大きな上向きと下向きのベクトル(方向性と強さ)を用いて考えられています。これは脾胃の場を消化吸収ということを中心に考えたときにはこのベクトル(方向性と強さ)の方向性が成り立つということです。

まるごと一つの人間

五臓では飲食物の消化と吸収、水液代謝、呼吸、神志などの代表的な役割についてそれぞれ配当されています。これは場の設定を変えればかなり角度が違う見方ができます。また臓腑の言葉を使いながらも表裏や、経絡の状況によって、臓腑に割り当てられた役割を超えた考えも用いています。これは臓腑が西洋医学的な場に与えられた名前ではなく、一つの存在をよく観察するために付けられた記号であり、場の設定によりみかた考え方がちがうためです。生きている存在をよりよく観察するときに相互の関係性の中で考える札(タグ)であると考えられます。

 

脾:運化、昇清、統血を主る

 

脾は運化、昇清、統血を主るとされます。

水穀の運化ということは、飲食物の消化吸収輸布をおこなっているということです。脾は上向きのベクトル(方向性と強さ)である昇清を主り全身へ滋養を散布していくと考えられています。胃は下向きのベクトル(方向性と強さ)で、通降を主り飲食物を受納腐熟し排出されていきます。

 

肺:宣発と粛降 大きなベクトル出しの要

 

肺は宣発と粛降を主る、気を主り呼吸を主る、百脈を通じ治節を主るとされています。

宣発とは外向きのベクトル(方向性と強さ)で気血を全身にめぐらせ呼吸や発汗を主るとされています。また粛降は下向きのベクトル(方向性と強さ)で粛降下降させることにより吸気や水分を下向きに降ろしていくとされています。

 

心:血脉 神志を主る

心は血脈を主る、神志を主るとされています。

血液を推動して脈中に運行させ身体各部を滋養するとされています。

 

腎:水(陰)を主る。納気、蔵精、発育を主る

腎は水を主る、納気を主る、蔵精と発育を主るとされています。

呼吸において肺との呼気を主る関係と相対し納気を主り摂納します。また水を主り気化作用によって水液代謝が促され外への排出となる。また蔵精、発育生殖を主りまする。

 

肝:疏泄、蔵血を主る

肝は疏泄、蔵血を主るとされています。

気機の調整をおこない全身の気の昇降出入の拠り所とされています。
脾の運化機能を促進し昇降機能に影響を与えます。

また情志の調整を行い、肝が主る怒の感情はとくに全身の気機へ強く影響を与えると考えられています。

参考文献

マインドフルネス瞑想の怒り低減効果に関する実験的検討(心理学研究2013年 第84巻 第2号 pp.93–102)

日本の心理臨床におけるマインドフルネス(人間福祉学研究 第7巻第1号 2014. 12)

瞑想(Meditation)厚生労働省統合医療に係わる情報発信推進事業サイトより。

(https://www.ejim.ncgg.go.jp/public/overseas/c02/07.html)

「実践カウンセリング」 監修、野田俊作 アドラー心理学会(http://adler.cside.ne.jp/)

☆1 東洋学術出版社 針灸学基礎編131ページより