鍼灸・東洋医学と健康」カテゴリーアーカイブ

つわりの鍼灸治療 (妊娠中の鍼灸治療)

いま、治療院では複数の妊婦さんが鍼灸治療をうけていらっしゃいます。

皆さん、妊娠前からの患者さんで、もう出産が目の前だという臨月の方もいらっしゃいますし、

20週前後で、一番妊婦らしく、かつ動き回れる時期の方。

妊娠初期の不安定な状態の方までさまざまです。2-3回、15週以降は週に1回程度の頻度で、
鍼灸にての妊婦さんのケアはおこなっています。

妊娠中のケア:つわりについて

 

当院では、妊婦さんの身体のケアとして、鍼灸治療を長年おこなってきました。
その経験からアドバイスできることを、少しお話ししますね。
今回は、特につわりについてです。

つわりはつらいですね。

妊婦さんは、身体の中心にある胎児をしっかりと保持するために、身体のベクトルの状態がいつもと少しかわります。

身体の下から上に向かうベクトルが強くなり、しっかりと赤ちゃんを支えようとするのです。

便秘もこの上向きベクトルが強くなったことでおこりやすくなりますし、上逆の症状として、つわりも辛い症状としておこります。

体の中の下から上に向かうベクトルが強くなり、しっかりと赤ちゃんを保持しようとする身体のありようであるとも言えるかなって思っています。

ですので、つわりが辛いからといって、つわりそのものの原因である上向きベクトルを弱めることは推奨しません。最優先課題は赤ちゃんをしっかりと守ることですからね。

食べつわりが起こる理由

「食べる下向きベクトル < つわりの上向きベクトル」

胃腸は上から食物が入り、下に向かって消化吸収がおこなわれます。

なにかを食べるとつわり が一旦治まるのは、食べ物が上から下へという下向きベクトルが出る
からです。

また、つわりの上向きベクトルが過剰な場合は、吐き気につながっていきますね。

 

時に過剰なつわり(上向きベクトル)が出現する理由

・上向きベクトルが強い阻滞
  (もともとの肝鬱タイプはきつくなりやすい)
・「身体が疲弊していること」
・「身体が弱っ ていること」

こんな条件がそろっていると、「きついつわり」となりやすいようです。
つわりは、身体の休めのサインと思って頂いて良いのではないかと思います。

そんな赤ちゃんを守ろうとするベクトルから生じるつわりです。
つわりは治そうとするよりも、つわりの主因である強い気逆がおこらない身体作りをしてあげましょう。

対策:

・「休む・寝る」 上向きベクトルは自然、闘わないこと

・気負いをひとまずおろす。つわりは世間にも認められやすい。気楽に

・「病院へ受診もあり」 点滴や入院など安静は効きます。

 

つわりは一時的、もうすぐ治まりますよ。

辛いつわりも、時期が来れば治まります。

ご自身の身体を信じて待ちましょう。
妊娠15週をすぎ、帯祝いが終わってもつわりが辛い場合は、しっかりと胃腸などのケアをしていくことも対策となります。

薬の飲めない妊婦さんの場合、鍼灸は力強いサポーターとなり得ます。
よかったらとりいれてみてくださいね。

リンパ浮腫診療ガイドライン2024

鍼灸の業界紙、テハモ10月号が届きました。

『リンパ浮腫診療ガイドライン2024』に掲載された鍼灸治療の評価

について、冒頭の記事でとりあげていいます。

問題としているのは、『リンパ浮腫診療ガイドライン2024』に掲載された鍼灸治療の評価についてです。

 

このテハモの著者が最も多い字数を使って紹介している鍼治療RCTの論文の中には、中脘、中極、および両側の肩髎肩髃、合谷、、足三里、三陰交である。このうちリンパ浮腫の患部となりうるのは、患側の合谷と尺沢ぐらいなものでと書かれています。

ここで、足三里、三陰交も患部となる場合はあるんじゃないのかなーって私は個人的に思ったのでした。

私は大学病院時代に、リンパ浮腫の患者さんの鍼灸治療をおこなっておりました。

当時はドクターの指示の元、患部にもガンガンと針をさせていただきました。

しかしながら、蜂窩織炎が怖いのは当然で、一般の針灸院における

リンパ浮腫の治療において、患部に針や灸をするのは禁忌ということは当たり前ではないかと思います。
そして逆に、患部以外を使って行う鍼灸治療は、リンパ浮腫をもつ患者さんにとって、有効だろうというのも、まったくもって理解出来ます。
鍼灸の場合、その『現場』はまったく何をしているのかわからないのが現状ではないかと私は思います。

どんな針をつかい、どんな施術をしているのか、隣は何をする人ぞってのが鍼灸の現状。

それを踏まえると、このガイドラインがおっしゃることももっともなのかもと、思ったり。

 

断片的なお話になってしまいますので、テハモを買って読んでねとはなるのですが、このガイドラインが鍼灸治療についてどのように扱っているのかはこのサイトなどで触れられていますので、イメージはつくかなって思います。

https://www.carenet.com/news/general/carenet/58540

ご参考まで。

久しぶりのおでかけ。実技の講義をしてきました。

実技のあれこれ

久しぶりに、新幹線にのっておでかけ。

zoomで定期開催しいてる鍼灸勉強グループの実践会でした。
zoomも講義は本当に便利なんだけど、たまには実践会やりたいよねえ。

この会は、若い方が多く、とっても楽しいです。
今回はちょいとばっかり実技指導の講義もさせていただきました。

鍼灸実技は別の先生で、私は補足的に臨床で私が使っているお灸のさまざまを紹介。

前日にちょいとリハーサル的にやって、十字灸だけを単独でやると、胸に気滞が残る度が高いと判明。うーむということで、全体を治療した中で取り入れるべきだと実感し、単なる実技というよりは、一連の人を診るやり方をお伝えしました。

マイブームの十字灸。
この十字灸は本当に応用の幅が大きく、実技したいので、どういう風に取り入れるかうーんと3秒悩み(^^ゞ、みんなで練習してもらうターンをいれるのをやめ、一連の流れで、初めの体表観察からお見せして、仰向けの脉診、腹診、舌診、経穴診と行き、上背部の経穴診そして十字灸のデモ、勘案しながらの中焦下焦背部兪穴処理と、踵からアキレス腱ラインの施術をいれていきました。

ほんでもって、ラストに、リクエストでもあった、棒灸実技と灸ペット実技。

私は途中で身体をみているのがおもしろくなってきてしまい、鼻歌交じりに施術をはじめてしまい(だって、身体って面白いし、道具としての鍼灸もおもしろいんだもん)、質問されて、ハッと我れにかえる。

督脉の5ばんか7番あたりを中心とした十字灸見せたかったのに、この二つに反応がない。実技モデルとは言え、反応のないものにはやりたくないもんね(やる気がでん)

で、みると、陶道(GV13)、大椎、風門(BL12)あたりに。ううううむ。これほると、多分ほかが出てきて、時間足りるのか?は頭によぎったけど、まあイケイケ。で施灸。

そのあと督脉みると、やっぱりふふふ。7に出てきましたねということで、7(至陽(GV9))も追加して施術。

カルテって言うか、記録をその場でつけてないので、もう半分忘れかけてる。
記録って大事だなあ。参加者の誰かがとってないか聞いてみよっと。

久しぶりの大坂、とっても賑やかでした。ただ、ダッシュでいって、ダッシュでかえりました。新大阪の激コミップルにドン引き。トイレに入るのに10分以上並んじゃったよん。

その日暮らしの五臓、生活防衛資金の一源三岐②

人がいきるっていうのを、東洋医学ではごじょごじょと難しい単語を使いますが、

お金の流れで表現してみます。続きです

自転車操業的五臓の発想の中でも腎は余力の積み増し

 五臓は自転車操業といいました。脾胃を中心とし、肝気が気の昇降出入をおこない、肺気が助けます。

そのなかで、腎は少し毛色の違う臓腑ですね。五臓の中で、ほかの4臟を下支えする役割をもちます。土台なんですね。まあ日々を支える生活防衛資金が腎と考えます。

例えば睡眠の時には、気が納まる必要があります。この納まるところが腎。呼吸も納まる必要がある、納まるところが腎です。いろんなものの受け手になっているわけです。

気が納まり睡眠

ここが余力である一源三岐の発想や、奇経八脉の発想につながるポイントの場処となります。

生活防衛資金が貯められたら、余力は投資に回し複利の効果で大きくしていく発想が人生を豊にします。この発想が臍下丹田を充実させる、奇経八脉の充実をといった発送になります。

そもそも、日々が自転車操業では余力の積み増し、貯金や投資なんて無理です。まず生活防衛資金を貯金できる日々にすべきです。

その上で、貯金が生活防衛資金の要件をみたしたら、投資に手を出すべきなのです。

このあたりを、むちゃくちゃに考えるから、日々が自転車操業のまま、貯金の積み増し、投資に手を出すなんて言う、それってムリゲーなことを思っちゃうわけです。

まず、日々の充実! 余力を生活防衛資金レベルで貯める! そのあと投資(生殖)なんです。

 

次世代につなぐ生殖の力を支える腎、その命を注ぎ込む任督衝脈

子宮を支えるのは腎です。
子宮に生命力を注ぎ込むのは、任督衝脈です。
任督衝脈に気血を注ぎ込むのは肝心脾肺の臓腑です。

腎 生命は立ち上る

人間には、生命力の有余を大きく蓄える流れが用意されています。一源三岐と呼ばれる衝脉、任脉、督脉です。この一源三岐の経絡は女性においては直接的に子宮に注ぎ入り、有余の生命力を注ぎ込みます。生殖を支える大いなるエネルギーとなるわけです。

日々をしっかり生きて、毎月投資して、生活防衛資金を貯める。
蓄っていけば複利の法則で伸びていきます。
お金も、身体も、日々を楽しく生きると同時に投資してのばしましょ(^^)

その日暮らしの五臓、生活防衛資金の一源三岐①

人がいきるっていうのを、東洋医学ではごじょごじょと難しい単語を使いますが、

お金の流れで表現してみます。

 

日々が生きて行くには、フローのお金(自転車操業的お金)

人間が日々生きていくには、五臓の働きが必要です。

五臓のありよう

 

日々を生きて行くには、今日のお金が回ればOKです。

江戸っ子じゃ〜宵越しの金はもたねえ!とお金を使い切るのがかっちょいいってのありますよね。

食べて寝て、今日を生きるのには、今日の生きる分だけ食べて寝る。
これだけで充分だったりします。
なんとか、毎日が自転車商業的に回る感じです。

自転車操業(4臟)の日々と、生活防衛資金(腎)

 

投資の世界でよくいわれます。生活防衛資金を残して、投資せよと。

この生活防衛資金は五臓の中では腎です。腎は自転車操業の4臟を下支えする臓腑であり、

生活防衛資金です。

そしてこの、なんとか日々をやり過ごしていく発想に、投資的な発想が一源三岐の発想です。

つまり、五臓の働きの余力を貯金しておくようなスペースとして任脉、督脉、衝脉ほか全て合わせて奇経八脉があるのです。そしてこの投資が複利の効果をもち、生殖をにない、私達の日々のブレをカバーしてくれますし、いざというときの支えとなります。

 

日々を自転車操業的に生きるのが五臓のありよう。その上で生活防衛資金を貯めて、余力をもっていきるためのありようが奇経八脉です。

 

 

 

 

 

 

妊活にはこの余力、投資資金が大事なのです。

日々の自転車操業的な五臓の働きから余力を積み増しし生活防衛資金として腎気の支えを補強し、任督衝という投資によって余力の気血を注ぎ込む。そんな発想が余裕ある身体を作ります。

生活防衛資金がないのに、大きな資本が必要な状況(妊娠)になってしまうと

この、余力であるという発想をもつことが、子宮を中心とする女性の生理、生殖を考えるときのポイントです。

生活防衛資金、つまり生命力に余力があれば、スムーズに生殖のリズムを乗り越えられますが、余力がなければそもそも成り立たなかったり、余力のない中では、本体に大きく負担がかかり課題として残ってしまうことがあります。

余裕のない子宮

余力、生活防衛資金の積み増しの発想が必要なんです。
投資と一緒と考えていただければわかりやすいです。