不妊・妊娠と鍼灸」カテゴリーアーカイブ

待つ、やめる、やらないも大切な選択:妊活、不妊、不育

ネットのアドバイスは、貴方へのアドバイスじゃないのです。

そして読んだアドバイスは、自分の聞きたいものだけ耳に入ります。

だから、血流が大事と聞くと、血流のために運動しちゃう

ストレスが大敵と聞くと、ストレス発散のために活動しちゃう。

血流もストレスも大事な要素です、でも、どの方向にもっていくかは、
人それぞれなんですよ。

でも、どうしても、耳は聞きたい方向で聞いてしまうものだと、つくづく私は思います。
当然、私の耳も、そうです。

だから、少し俯瞰したものの味方、メタ認知的な視点はとても大切です。

壁にぶつかった貴方の妊活を前に進めるために

3)不妊・不育・着床障害・妊活、着床から妊娠12週までを乗り切るコツ

今日もいいお天気です。
さきほど、たのまれごとの原稿を送付できて、ほっとしながらも、ご機嫌です。
みなさん、元気にやっていますか(^^)。
さて、今日は、不育、不妊のお話の続きをさせていただこうと思います。

 

☆不妊不育着床障害妊活、着床から妊娠12週までを乗り切るコツ

着床の時期から、妊娠初期の12週までは『血流活性化の必須ゾーン』
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《女子胞の図》

イラスト

子宮のことを東洋医学では女子胞といいます。
この女子胞は、東洋医学で考えるところの五臓(肝心脾肺腎)と深く関係をもっています。

女子胞は、生命の土台の力である腎気に強く支えられ、気血をめぐらせるコントロールをする肝によって周期性を持ちます。まず肝と腎との関係が一番大切なのです。

肝ーのびやかな心身をつくります。人間がストレスや気の鬱滞によって非常に大きく
左右されやすいと言うことがよくわかりますね。鍼灸が得意とするところです。

腎ー生命の土台
生命を支える土台としての腎は、卵子をはぐくみ、受精卵を受け止め成長を促し
出産までしっかりと胎児を滋養していきます。
鍼灸、ご自宅でのお灸、温灸などがとくに力を発揮します。
生命の土台の力ですから、簡単には充実させることができませんが、
この充実こそが、血流活性化が必要な妊娠初期から12週までの時期を支えます。
12週の時期をこえ、女子胞が胎とお母さんの身体をしっかりと結びつけてくれてからは脾胃(胃腸の力)に問題がシフトしていきます。お身体を拝見していますと、背部腧穴(背中の経穴)の変化がこのとおりです。脾胃に負担がきつくなり大きく陥凹して手入れの必要を感じさせる場合が多いです。

 

イラスト

 

 

☆しっかりと充実した赤ちゃんのために(3000㌘50㎝を目指して)
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以前に助産師さんとお話しさせていただいていて、3000グラム50㎝というのが一つの目安になるんですよとおっしゃっていました。

確かに確かに。でも、いまは全体に赤ちゃん小さいですね。

これは平成12年までの統計ですが、さくっと右肩下がりですね。

出生時体重の変化

 

妊娠の初期(~12週まで)は腎気の充実、下焦の血流確保

しっかりと赤ちゃんの体重を増やすには、妊娠初期に血流をあげ、胎盤が大きく充実していることがポイントです。

不育症のサイトをみていただくとわかるのですが、妊娠初期の血流をしっかりと確保し、胎盤が形成させていく時期を助けることで、血流がよくなること、大きな胎盤が作られることが期待されるようです。

この胎盤の大きさは妊娠の初期、15週までできまります。
その後は、胎児と一緒に大きくなり、胎盤と胎児の体重は比例します。
つまり、胎盤が小さければ胎児は小さくなり、大きければ大きくなります。

大きな胎盤はしっかりとした赤ちゃんを育んでくれます。当院で出産なさった方は3000㌘を充たしてのご出産報告をよくいただきます。そして『胎盤が大きいわねえ~』と助産師さんに言われたという私にとって密かに嬉しい報告も多いです。3000㌘50㎝を目指して頑張りましょう。

一昔であれば、3000グラム50㎝のお子さんの胎盤は普通だったのだと思いますが、
出生体重の減少の中みる胎盤は小さめで、3000グラムのお子さんの胎盤は大きく見えるのかななんて思います。

 

赤ちゃんへのプレゼント、胎盤を充実させる、妊娠初期を大事にすごしてくださいね。
コツは子宮血流です。

 

子宮血流をあげるコツ4選

1)安静にして手足への血流を抑える。
→血流は、必要とするところ、動かしているところにあつまる。
→運動→手足へ→子宮血流↓
→考えすぎる、頭を使いすぎる→頭へ→子宮血流↓

 

2)動きをつける
→交代温冷浴、足腰の血流連動
→軽い運動→臍下丹田に納める

3)女子胞(子宮)の温養補腎
→臍の棒灸、関元(CV4)、大巨(ST27)の棒灸

 

4)体幹を中心とした生命力up
→胃の六つ灸 脾兪(BL20)、胃兪(BL21)、三焦兪(BL22)、腎兪(BL23)、次髎(BL32)のお灸

 

 

参考文献:不育症学級 杉俊隆著P47より

4)妊娠の継続を願う、あれこれの対策 NK細胞活性など

不育症関連のお話、続けます。

いろいろな話しがあり、迷いますよね。

免疫療法の治療成績

このNK細胞活性と流産については、不育症を扱う先生方の間でも、見解がわかれるとこ
ろであり、 このあたりはクリニックによってかなり考え方、取り扱いが違うところで
はないかと思います。

どちらの考え方も読めば納得しますが、比較検討して結論を患者側が出すということは
、どちらの先生を信じるかというような、信心をするような境地になってしまうのでは
ないかと思います。まあ、これはどんな医療でも立ち位置、考え方でおこることで、患
者の選択ということになるんですけどねえ・・・。

とある先生がこの検査には根拠がないとしてあげられている論文があります。

 

NK細胞を標的とする不妊症や不育症の治療:否定的見解

NK細胞を標的とする不妊症や不育症の治療に科学的根拠はない、英国研究者が警鐘
https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/hotnews/archives/346288.html

現時点で(2023/09/15)で、ググると杉ウイメンズクリニックのWEBサイトではアップデートされた情報がありました。

NK細胞活性が異常低値で悩んでいる方へ。NK細胞活性検査を土日に採血した場合は、検査に回るまでの間に細胞が死んでしまうので、平日に再検査をお願いして下さい。
http://www.sugi-wc.jp/news_disp.cgi?news_no=0&id=1553851611_004AB1

この検査は、お勧め出来ないという論文もあるし、検査そのものがかなり難しいということですね。

 

NK細胞を標的とする不妊症や不育症の治療:そうであってもやってみたい場合

 

それでも、やってみたい。自分自身には有効であるのではないかという意見もそれはそれでありなんだろうなあとは思います。

先般も連続して、東京のとある有名クリニックでピシバニールの注射を受ける方がいらっしゃりました。結果にどうむすびつくのかという疑問はありながらも、できることはやってみたいというお気持ちはなっとくできるところです。

難しいですねえ。

 

不妊治療第1世代、神奈川レディースクリニックの見解

神奈川レディースクリニックでは、いろいろと考え方が示されていました。

流産を繰り返さず、出産へと導くために。
http://www.klc.jp/cure/cure3.html

私は長らく不妊治療に携わっています。
不妊治療は、体外受精の始まりによって大きく変革しました。
その前後の変化を知っている先生方を私は第1世代と勝手に呼んでいます。

この第1世代の先生方は、『不妊』に対して強い、熱い、情熱をもっていらっしゃいました。
今の先生が情熱がないということではないのですが、自費の高額な治療を、患者さんと
必死な思いで挑戦する、しつづける。これがどんなに負担か、そしてどんなに辛いか。

そして次の1回の治療が扉をあけ、人生を変えるかもご存じ。そんな先生方の
情熱を感じることがこの第1世代の先生方にはあったような気がします。
この神奈川レディースの小林先生は、そんな情熱を感じさせる先生です。
もう、お亡くなりになっていらっしゃりますが、加藤レディースクリニックの加藤先生も
私の中で患者さんのやりとりの沢山のエピソードの思い出があります。
新宿でまだ一軒家のクリニックだった頃からビルに移られてのこと。
食事チケットを配りながら、患者さんを応援など、微笑ましく、そして患者さんに
頑張ってほしいという願いがはしばしから伝わってきました。

加藤レディースクリニック:加藤 修先生

 

★ピシバニールが効いた? 効かない? 難しいねえ。

 

さて、NK細胞活性で使うピシバニール。かなり痛い注射らしく、つらかったというお声
を聞きます。それでも効いてくれればなんていうことはないということですね。

私にとっては忘れられない症例があります。爪の根元が赤黒く、これはなんらかの血液
凝固系の検査でひっかかるのではと思ったのですが、杉ウイメンズクリニックの検査で
は、まったくの白。通院、治療の必要なしとの診断でした。しかしながら検査のあと12
週の流産があり、「今わかっている検査の範囲外の出来事かもしれないね、次回の妊娠
時にはフォローしていきましょう」という結論になりました。

そして次回の妊娠時の前に、他院にてNK活性の診断を受け、ピシバニールを使い無事に妊娠出産されました。何度もの流産の後ですが、無事の経過となりました。

不育症の治療は、次回無治療であってもかなりの数字で妊娠ー出産に結びつきます。つ
まり、その治療が有効であるかどうかを本当に検討するのはなかなか難しいことなので
す。

でも、患者にとっては、「その治療が有効であるかどうか」よりも、「いま、子の
妊娠を継続させたい」という一点につきるわけで、私はいろいろ対応してダメなときの
次の一手を求めることを否定はできません。

2016年2月14日の杉先生のTh1/Th2、NK細胞活性検査についてのインフォメーションです
。ご参考まで。
http://www.sugi-wc.jp/news_disp.cgi?news_no=0&id=1456305506_002FFC

 

まあ、一番大切なのはリラックスかも。
リラックスの達人、ギルバルスに教えてもらいましょう!

イラスト

タイミングについて:排卵検査薬、オリモノの伸からの考察

タイミングについて

ある方が、ご自身の体験をもとにレポートを作ってくださいましたので、シェアいたしますね。

タイミングについては、諸説ありますね。
病院での指導は卵胞の大きさをみながらアドバイスされることが多いかと思います。
ただ、周期が乱れがちの方の場合、卵胞の大きさだけでは、判断できませんね。
私は結局、タイミングの場合は、ある程度の頻度でとっていくのが一番かなと
思っています。また男性側の要因も大事なので、健康管理も忘れずに。

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タイミングとオリモノの伸、排卵検査薬

この方は、LHの変化をみる排卵検査薬と、オリモノの伸についての観察をしっかりと行い、
ちょうどよいタイミングについて考えてくださいました。


図:オリモノとタイミング

 

 

 

 

1)オリモノが出始めたらLHと合わせてチェックする
2)LHの出始め時間で、タイミングのスケジュールを行う
3)オリモノのピークを特に意識する。
4)オリモノの伸のピークはベストタイミング。

オリモノのピークを目安にタイミングをとると心がけることがベストの選択であるとこの方は考え、実践し、見事妊娠、出産につながっています。

そして、図の下にある時間をみていただくとわかるように、LHが出始めてからの36時間のなかで、タイミングが取れる夜の時間帯になるのはどのパターンなのかという分析がなされています。

 

 

また、不妊治療歴が長かったこの方には
1)腎気上げの八味地黄丸
2)ガッツリと頻度を上げた妊活鍼灸治療
3)甲状腺機能の確認。
4)着床障害、不育症のチェック。

以上の4点をアドバイスさせていただきました。
タイミングは大事です、ただ、ご自身の素体の問題、血流の問題、身体の代謝機能の問題など
妊活では注目されないけど、身体が今を生きるという観点では非常に重要なポイントが
必要だったのかなと思います。

長らくの妊活が、タイミングのよさと、ご自身の素体への鍼灸などによるフォローが、妊娠の扉をあけることで決着がついたのかなと思いました。

ひとりでも多くの方のご参考になれば。

2)不妊と不育症:解決へのアプローチが同じ場合が多い!

今日はいいお天気です。
みなさん、元気にやっていますか(^^)。
さて、今日は、不育、不妊のお話の続きをさせていただこうと思います。

☆初診でいらしたSさんの物語

初診でいらしたSさん、41歳。主訴は不妊
長らくの不妊治療をされていました。
体外受精も10回以上の胚移植をなさっています。

 

☆妊娠反応がでるも、若いときには胎嚢確認、いまは化学流産を繰り返しています。

1,2度は妊娠反応が出たこともあるとのことですが、残念ながら化学流産。
治療前の年齢が若いときには、胎嚢確認まではできたのに流産になってしまっていますとのことでした。

その後、妊娠せず、不妊治療を開始、高度生殖医療を取り入れるものの不妊治療が前に
進まないというお悩みでした。

お身体を拝見して、不育症では?と思いました。
流産歴もあり不育症の検査は?とお伺いすると、

『不育症の検査は念のためということでしましたけど、不育症ではないと診断されました』
とのお返事。

 

☆不育症の検査といっても、範囲が違うという現実

うーん、
ここで考えたのは、彼女の不育症とおっしゃっているものと、私が不育のカテゴリーではと考えている中身が違うと言うこと。

そこで、『その検査は保険の範囲内ですか?』と伺いますとYESとのこと。
是非、もう少し踏み込んだ不育症の検査を受けて下さいとお勧めしたところ、自費の検査を受けられ、不育症と診断されました。そしてその後は鍼灸治療とヘパリンを使い、無事に赤ちゃんを抱くことができました。

 

☆不育症の定義を満たしてからの検査では遅いのでは?

 

不育症は、定義があります。しかしながら、現状では不育症の定義をまって不育症の検査をするのでは遅いのではないかと思うことが多々あります。

そしてこの定義で語られる不育症と、不妊にもつながり初期の着床障害や心拍確認前の流産を繰り返す不育症では少し違うように私は感じます。

 

☆不妊でひっかかり、やっと妊娠したのに、不育でもひっかかる。前に進まない

 

また不育と不妊の要素が重なっている方の場合は、不妊が解決し、妊娠反応陽性がでても、不育要因でひっかかり、出産までたどりつけないわけです。

不育の定義は、あたりまえと言えばあたりまえのことが前提です。
20代であれば、妊娠はさほど問題なく成立し、その上で流産を繰り返し、不育症の定義をみたします。

でも、不妊がある方にとっては、不妊の壁を越えてやっと成立した妊娠が、不育要因で前に進まなくなってしまえば、また不妊の壁からの挑戦となりあす。

 

☆40歳での高度生殖医療での妊娠、流産後の治療の進み方

たとえば40歳で体外受精に挑戦しながら不妊治療をしている方。

2回流産してから不育症の検査をして・・・と言っていると、不妊治療そのもののタイムリミットを越えてしまいます。

流産がからむと採卵が数ヶ月から半年先になってしまうことも多く、治療が中断するからです。

ですので、検査は自費でハードルは高いのですが、私はお身体を拝見させていただいて『おかしいな』と思われた方には、不育症の定義は充たしていなくても、不育症の検査をお勧めすることがあります。そして残念ながらなのか、早めに発見できてよかったのか、検査が陽性になり『行ってよかったです』と言う結果が多くあります。

 

☆年齢要因によっては、不妊の課題が解決し得ない状況も・・・

 

そしてときに、行って不育症の診断はもらったものの、それまでの治療歴が長く、年齢要因的な因子が強く関与し、時すでに遅し・・・となることもあります。もっと早くご相談させていただいていれば・・・となることが1度や2度ではありません。

 

☆厚生労働省のサイトよりの情報

厚生労働省の研究班によってこんなサイトがつくられています。
不育症の定義は以下の通りです。

【不育症の定義】(厚労研究班の研究成果を基にした不育症管理に関する提言
(患者様用)から)

2 回以上の流産、死産、あるいは、早期新生児死亡(生後1週間以内の赤ちゃんの死亡)
がある場合を不育症と定義します。すでに子供がいる場合でも、流産・死産、早期新生児
死亡をくり返す場合は、不育症に準じて原因精査を行っても良いとされていますので不育
症外来を受診して下さい。現在のところ、妊娠反応のみ陽性で赤ちゃんの袋が子宮内に確
認されないまま、その後に月経になってしまう化学妊娠については流産回数には含めませ
ん。ただしくり返す化学妊娠については不育症に含めるか否かにつき今後検討していく必
要があると提言されています。

この定義の中で、やはり化学妊娠についても今後の課題ということで取り扱われているのは進歩だなと思います。着床障害もこのカテゴリーに入っていくのではないかという気がします。

現在(2023/08/21)、化学流産に関してはこのように提示されています。
化学流産について

”生化学的妊娠をされたからといって検査や治療を受ける必要は現時点ではありません。あまり神経質にならず、次回の妊娠に臨まれることをお勧めします。
ただし、欧州生殖医学会では2017年に生化学的妊娠を流産回数に含めるとしました。今のところ、日本、アメリカでは生化学妊娠は流産としていません。今後、繰り返す生化学的妊娠をどのように取り扱うかについて検討していく必要があります。”

化学流産、着床障害は、不育症と一般的に言い切るまでにはやはりなっていないと思われますね。
まあ化学流産の段階は、ある程度の”生殖の淘汰”の中でおきることでもあります。

 

☆鍼灸治療で血流をあげ、不妊や不育にお力になれます。

 

当院の鍼灸治療では不育症と非常に関連の強い、血流を改善して、この時期を乗り越え、無事に妊娠を継続出産に至った方を数多くいらっしゃります。

東洋医学的な体表観察や、冷え、血流といった観点からの鍼灸、セルフケアアプローチが効果的である症例も多いです。

当院の鍼灸治療では、着床の時期から、妊娠初期の12週までを特に『血流活性化の必須ゾーン』として、特に力をいれて治療をしています。是非、ご相談下さい。そしてなんとか、妊娠12週をこえ、赤ちゃんが抱けるところまで一緒にがんばりましょう。